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散文の後/南風  作者: 新辺守久/小珠久武
開幕 死を繋ぐ者
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第〇〇一話

気分転換に勢いで書いてしまいました。

我が妄想。……です。

 時刻は明け方の少し前。場所は東北北部の日本海側に位置する寂れた地方都市。何処にでも在りそうな賃貸アパートの一室。薄暗い部屋には煌々と明かりを放つ3台のPCモニター。壁一面に二次元美少女キャラのポスターが貼られ、一部は天井まで侵食している。


 本棚はその機能を放棄したが如く、漫画やラノベ、アニメのDVDが大量にあふれ出し、所狭しと詰まれ、大小様々な箱入りフィギュアが隙間を埋める。まさに趣味人の部屋。


 大好きな趣味に没頭する余り、彼女も作れず、当然の流れで結婚も出来ず、独身貴族を謳歌するんだと負け惜しみを言いながら、自由気ままに悠々自適な生活をして、今月頭、目出度めでたく五十歳を迎えた男の部屋。


 ちなみに死んだ爺さんは「人生は五十歳からだ」と言って、九十過ぎまでバイタリティにあふれ、健康に、元気に、長生きをして、ある朝起きて居間で水を飲んでそのまま息を引き取り大往生を遂げた。ある意味、羨ましい人生だ。人生五十年なんて言葉は、今は昔な話だと思う。


 何故、羨ましいのか? 今、俺の眼下には物言わずベットへ横たわる見慣れた男の姿が在った。


「……やっぱ、如何見ても俺、だよなぁ」


 ブラックな企業に就職して幾星霜。思い起こせば、何時になったら終わるとも知れない残業の日々は何時の間にかそれが普通となっていた。


 この日も時計の針が両方とも天辺てっぺんを越え徐々に下り始めた辺りで、ようやく仕事の残業から解放され帰宅。何時も通りネット徘徊と配信アニメを見ていて、意識が飛びそうになったのを機にそのまま寝オチした記憶がある。


 なのだけれど、目を覚ますと俺は宙に浮かび自分の身体を見下ろしていた。現状を認識するに、幽体離脱の状態にあるのだと考えてしまう。


 横を見る。丸眼鏡を掛け、丸い形の帽子をかぶり、髪の毛は三つ編みお下げでまとめている。つつましやかな身体のラインに合った黒い喪服ドレスを纏った女性が一緒に浮かんでいる。


「過労死、ですね。なんともご愁傷様です。あ、失礼。わたくし、こーゆー者です。以後、お見知りおきを」


 彼女は名刺を差し出してきた。簡潔に死神と書いてある。死神は現世の縁や迷いを断ち切り、の世へと魂を運ぶ使者。綺麗系ではないけれど、好みのどストライクな可愛い系の死神。マジかっ! 俺の心の天使が光臨した!?


 俺の心の天使様もとい、死神は言葉を続けた。


「おめでとうございます。貴方はたいへん運がいいのです。次の転生先が既に決まっているんですよ。更に今回のみ限定でオマケが付いてます」


 ……うわぁ、すっげぇ怪しげな電話勧誘みたいなフレーズだ。オマケ付きなんて特別感をあおってるけれど、扱ってる内容からにそんな単純なものじゃないだろう。絶対に運がいい感じがしない。多分、きっと、転生先がキワモノとか変なモノなのかもしれん。


「……変なモンじゃないだろうなぁ? 魚とか昆虫とか、植物とか」

「いえいえ、きちんとした人間ですよ、ただ、この世界じゃない、みんなの憧れ、魔法と剣のファンタジーな異世界! ……なんですけどね」

「異世界だって!? 確かにその通りだけれど、……いや、その通りなのか? 長い事オタクをやっていると普通の基準が判らんっ。つか、何故に異世界? そこに行く意味判んねしー」

わたし達からすれば天国も地獄も極楽も冥土もの世もの世も全て異世界です。何処どこ彼処かしこも似たり寄ったりなのです」

「なのですって、暴論過ぎじゃありませんかね?」

「と、に、か、く、貴方の魂は次の肉体ステージへ移行するのです。輪廻転生ですよ。本来は凄い長い時間を掛けて魂の坩堝るつぼで延々と精錬と生成を行うのですが、貴方は今回そのスパンが短かったのです、ナウなんですよ」


 ナウって……外見が俺の好みどストライクで可愛いだけに言葉使いがなんとなく残念な気分だ。


「ん、んー? て言うか、定番の異世界転生モノって白い部屋に陣取る怪しげな髭面ひげづらの神様とか女神様なんかの仕事じゃないんですか?」

「一応、私も神様ですよ、死神。ほらね?」

「アッ、ハイ。ソーデスネ」


 如何やら俺は死の神様のお導きで、ファンタジーな異世界転生する様である。安心した所で、……いや、不安材料しかねーよ! それに今世には今以いまもって最大の不安材料が存在している。俺の大事で大切で超極秘扱いな第二の脳……。


「ぎゃーっ、せ、せめて、PCの中身だけ消させてー!!」

「幼い美少女風なエロ動画、擬似的幼い美少女のエロ画像なんて、親戚一同や知り合いに知られたところで、死んでしまった身には関係ないじゃないですか、気にし過ぎですよ」

「し過ぎもなにも、俺の性癖がバレるっ! 両親親戚一同に死んだ後も指差されるって、すっごく恥かしいじゃないか!! ……つか、何で君は俺のPCの中身を知っているの!?」

「我々の手に掛かれば個人情報なんて簡単に手に入りますよ。なんてたって私達のデータベースには生在せいある物全ての一生分の情報が全て蓄積網羅されてますから、検索すればちょちょいのちょい、ですよ」


 恥かしさの余り俺は宙に浮かんだまま、身体を丸め足を抱える様にうずくまって両手で顔面を隠す。そんな状態になりながらも、でも、まぁ、きっと、死神って往々にして世のことわりから外れた存在、なんだろうなぁ。なんて思ってしまう。


「死んでしまったら羞恥心なんて気にもなりませんよ。そも、貴方の部屋の現状が既に恥かしさ天元突破じゃないですか。今更何を言ってるのです?」

「……げふぅ」


 中身だけじゃなく、既に表面上でも手遅れなのだと、死神の情け容赦の無い言葉で俺の心をごっそりえぐとどめを刺してくる。


「さぁ、時間も押しているので、さっさとっきまっすよぃ」


 死神の声と共に光の筋が周囲を覆い見えている世界が全て線状に延び始める。やがて真っ白な光にあふれてなにも見えなくなった。


 ううっ、さらば、我が肉体、第二の脳。今世に未練が無い訳じゃないけれど、来世でその未練が成就出来るようにせつに願おう。剣と魔法のファンタジーな世界らしいからな。あわよくばハーレム狙いで!


 そういえば、三十歳で童貞だと魔法使い、四十歳だと大魔導師。さて、五十歳はなんの職業になるのだろう? 賢者は……賢者モードに突入してハーレムとか無縁になりそうだから遠慮したい。四大精霊使いが無難か? なんにしても今から楽しみである。


 ところで「オマケ付き」って言ってたよな、どんなのが付くのだろう? デュフフ……ワクワクが止まらない。いざかん、我が第二の人生!


 こうして俺は自分勝手な妄想と希望を胸に、極彩色に彩られた光の中を、死神の娘さんに道案内をされながら異世界へ転生した。

読んで頂き有り難うございます。

構成を考えず直感で自己満足しながら楽しんで書いているので面白く読めるかは判りません。

120%の適当加減さ。中途半端な知識を妄想でブレンドして、勢いと雰囲気だけで誤魔化そうとしています。

読み手に対する時間泥棒な作文です。読み辛い部分が多々有ると思いますが、そこは平にご容赦を。

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