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武器屋の店番



「なんだこの有様は…」



ギルドの扉を開いたレイラは、中の惨状を見て絶句する。椅子机が散乱し、食べ物や吐瀉物と一緒に大の大人が数人横たわっていた。



「あ!おはようレイラ!そうか、今日は週末だね!」



箒で床を掃除するリリィが、レイラに向かって手を振っていた。



「リリィ、一体どうしたんだこれ?」



毎週末レイラはこのギルドに訪れている。どんちゃん騒ぎも何度か見てきたが、ここまで酷い有様になっているのは初めてだった。



「そこで寝ているユウが悪いのよまったくもう」



リリィが箒で指した先には、にやけ顔で寝ているユウがいた。リリィは頬をぷくーっと膨らませ、掃除を再開する。



「こらユウ!そんな所で寝ているな!」



レイラはそう言ってユウの顔を引っぱたいた。



「ふげ!…んあ? レイラ? え?」



「さっさと起きないか」



目を開けるとくっそ可愛い奴が目の前にいた。俺にこんな可愛い奴知り合いにいたっけ?と思ったらレイラだった。



「あう〜頭痛い…」



どうやら飲みすぎたようだ。完璧に二日酔いで頭の痛さが尋常ではない。多分まだ酒は抜けていないだろう。周りで横になっているナビィ達を見て、やり過ぎてしまった自覚する。



「やっと起きたねユウ!」



もう1人、くっそ可愛い奴が箒を持って俺を見下ろしていた。



「リリィ、水をくれ」



「何言ってるの!ユウも掃除するの手伝ってよ!それにユウが飲み散らかしたお酒代、5万ギル付けておくからね!」



「ええ!? ここの飲食って無料提供サービスじゃないの? つか5万って高すぎだろ!」



「タダなわけないでしょ!ここに居ない人は皆ユウの奢りとか言って勝手に帰っちゃったんだからちゃんと払ってよね!」



アイツら〜!!金いるなんて聞いていなかったぞ嵌められたわまじで。初っ端から借金生活かよ〜。これだったら昨日我慢して報酬でも貰っておけばよかったな。



「しかも5万って…。E級クエスト5回くらい行かなきゃいけねーじゃん」



今俺が手頃に行けるクエストはE級だった。相場は大体1クエスト1万ギル前後。単純計算で5回分だ。



「掃除を手伝ってくれたら4万にまけてあげるよ」



「おしゃ任せろ!」



そう言って部屋の隅に置いてあった箒と雑巾を持って、散らかった部屋を片付け始めた。



「ユウ、クエストどうだったんだ?」



散乱した机を元に戻していると、レイラが話しかけてきた。レイラが来る週末までにクエストへ行って強くなると言っていたから気になっていたみたいだ。



「そう言えば、もうお昼すぎてるのにユウの報酬がまだ届いていないね」



クエストの話が出たことで、思い出したようにリリィが呟いた。



「報酬って勝手に届くのか?」



「うん。ギルドの依頼とか報酬とか取りまとめている役場があるのだけど、依頼主はクエストが完了したその日のうちにそこへクエスト完了の報告をしなければいけない事になってるの。だから次の日の朝には報酬が届くはずなんだけどね」



「あー。多分報酬は来ないと思うぞ」



「えー!!なんで!? ケルベロス倒したのでしょ!?」



「ええ!? ケルベロス!? なんでそんな高ランクのクエストに行ったんだ!? しかも倒した!?」



「ちょーとちょっと、2人とも落ち着こう」



2人が慌てるのもわかる気がする。昨日からのギルドの反応を見ると、ケルベロスは相当厄介な魔物だったみたいだ。



「あのクエストはおかしな所があってな。報酬が来ないのも多分そのせいだ。それも踏まえて色々と報告したいんだけど、今ナミさんいる?」



「今はマスタールームにいると思うよ。でも後で私にも教えてよね!」



「ああ、わかったよ」



「ユウ、私は今すぐ聞きたい。ついて行ってもいいか?」



レイラはまだ熱が収まらないみたいだ。ケルベロスを討伐した事がこんなに凄いことだと思わなかった。



「構わないけど、マスタールームに案内してくれるか?」



「勿論だ!」



そう言ってレイラはすぐに振り返る。どんだけ早く聞きたいんだよと思うも、何だか嬉しそうなレイラの横顔を見て邪険も無くなった。




ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーー




「まずはクエストからの無事帰還おめでとう。例え下級のクエストでも五体満足に帰ってくるのがハンターとして当たり前。だけどこれが中々難しいのよユウ。初めての1人クエスト、よく頑張ったわね」



マスタールームに行き、俺が受けたクエストで話がある事を伝えると中のソファへ案内された。座ってナミさんからの開口一番。涙が出そうになった。



「さて、話して貰えるかしら?」



「いいですよ。あのケルベロス、依頼主が放置したケルベロスらしいんです。最初は小さかったんでしょうね、でも大きくなりすぎて処分に困ったんだと思います。それに逃げられても困るので、ギルドに多額の報酬を出して、それに釣られて討伐に来た人をエサ代わりとしていたらしいです」



「なに、それは本当か?」



俺の話を聞いたレイラの表情が曇る。



「ああ、間違いない。しかもあの依頼主、イチャモンつけてきて報酬はくれなかった。これを取ってきたってのに……」



俺は机の上にケルベロスの眼を置いた。



「綺麗…。何だこれは?」



「ケルベロスの目玉…てところかしら?」



「ナミさん正解!依頼主が目玉取ってこいって言うから苦労して取ってきたってのに」



「それでお前はどうしたのだ!? そのまましっぽ巻いて帰ってきたわけじゃないだろうな!」



「当たり前だ!依頼主を殺す…とまではいかないけど、脅した。そしたらその家の執事に返り討ちにあってな…」



「なに!」



「初めての報酬が入ったら、1番お世話になったレイラとナミさんに何か買おうと思ってたんだけどなぁ。それは無理だからこれで勘弁してくれないか?」



そう言って俺はもう1つの眼を取り出して机の上に置いた。



「なっ!そんなのはいい!今すぐその依頼主のところへ行くぞ!」



レイラは相当頭に来ているようで、今すぐにでもあの屋敷に乗り込みそうな勢いだった。俺の為にレイラが怒ってくれていることが分かり、嬉しく感じる。しかし、



「ダメだ」



「何故だ!」



「熱くなると周りが見えなくなる。レイたんの悪い癖だぞ〜?」



「今はそんな事言ってる場合か!ユウの初クエストなんだぞ!」



「少し落ち着け。多分これは慎重に動かなければいけないと思う」



俺の言葉にナミさんが頷く。簡単にまとめて話した内容だったが、事の全体像が見えていそうだ。伊達にギルドマスターをしていないや。



「ケルベロスなんてものを一体どこで調達するんだ? 絶対に裏のコネはあるし、そのコネはとんでもねーと思うぞ。街の人間を餌にするわクエストの達成ももみ消すわ、悪党だぜこいつ。絶対に関わらない方が良い」



「悪党なら尚のこと!」



「それは真相を知っている俺達が分かっている事だ。でもそれを証明する事はできないし、他の人から見れば何も変な所はない。ただただ騒ぐだけ無駄だ」



「でも!」



どうやらレイラは納得しないようだ。筋が通っていない事が大っ嫌いなところは俺と気が合うかも知れない。



「ユウはまだこの街に来て間もないだろ!それにソイツにだって1回しか会ったことないし、一体ソイツの何が分かるんだ!?」



なるほどね…。今のレイラの言い方だと、初めて聞く人はムカッとしてしまうかもしれない。しかし今の俺には少し違ったニュアンスで捉えていた。以前ナミさんがレイラの事を『愛情の裏返し』と言っていた事が何となく分かってきたかも知れない。



「あーだこーだ言ったけど、要するにだな、レイラの事が心配なんだよ」



「ふえ、、?」



予想だにしない返事が返ってきたのか、レイラの目が点になった。ナミさんからはふふっと笑う声が聞こえる。



「レイラの事が心配なんだよ」



「二度言わなくていい!聞こえている!」



「ははは、可愛いな」



「可愛くない!茶化すな!」



あまりこういう言葉に慣れていないのだろう。顔が赤くなっていて反応が可愛い。



「まあまあ。このクエストが成功しようが失敗しようがどっちでもいいよ俺は。経験として得たものの方が、お金よりも良かったと感じてる。それに金なんてすぐに稼げると思うぜ?」



ふと、俺の頭の中にはあの武器屋が思い浮かぶ。まだ俺の手元にある珍しい素材をチラつかせればふんだんに金を取れると思った。あとは技術料とかでコンサルをするのも悪くない。



「そう言って貰えると、このギルドに勧誘した私の気持ちも救われるわ。それにしても、ユウってすごくたくましいわね」



「何もたくましくないですよ。そうやって今まで生きてきましたから」



「ユウのいた世界はどれだけ貧困だったんだ」



どうやらレイラは俺がいた世界はスラムのような貧困な場所だと思ったみたいた。その中で育ってきたから根性があるのだろう的な。



「全く貧困ではなかったし人が死ぬなんて滅多になかったが、結構世知辛い世の中だったよ。とにかくずる賢い奴がのし上がっていく世界だ。そんな所で育った俺が言うから間違いない、今回は無視するのが得策だ」



「でも…」



まだレイラは食い下がらなかったが、俺の言葉に信憑性が増してきたのか、その意思が弱くなってきていると感じた。



「こんなしょうもないクエストで止まってられねえよ、早く次行こうぜ次」



「ケルベロスをしょうもないという辺りになんて言ったらいいのか…」



「ふふっ、レイラちゃん考えるだけ無駄よ。ユウの常識と私達の常識は全然違うからね」



「それはそうだな」



「君たち軽くバカにしてるでしょ?」



「「はははは」」



レイラとナミさんの笑う声が重なる。屈託なく笑う表情は2人ともとても綺麗だった。次いで、空間も和らいでいく。



「だいたいの話はわかったわ。とりあえず、今は様子を見ましょう。依頼主の行動はこちらで気にしておくわ」



「わかりました。ありがとうございます」



「今日はこの後どうするの? クエストいくの?」



「そうだレイラ、クエスト行くのか?」



「今日は、クエスト中止にしていいか?」



「いいけど、何かあるのか?」



週末に一緒にクエストに行く約束をしていたので、急にやめることになった理由が気になった。



「いや。今回の事はある程度納得はしたが、まだ気持ちの部分が収まっていなくてな。このような気持ちでユウとクエストに行きたくないんだ。少し時間をくれ」



レイラの言葉に今度は俺が目を丸くする。なんというか、もっと感情で動くタイプだと思っていたから、こんな言葉がレイラの口から出るとは思っていなかった。



「わかった。俺も寄りたい場所があるし、今日はやめておこう。一緒に行くのは明日でいいか?」



「ああ、大丈夫だ」



「それじゃ、解散!」



「なんでユウが仕切ってるんだよ!」



「「ははは」」



レイラに突っ込まれてさらに頬が緩やかになる。俺達はマスタールームを後にして、ギルドの休憩室へ戻って行った。レイラはそのままどこかへ行くみたいだった。



戻ってきた俺を見てリリィがあれこれ聞きに来たが、適当にあしらっているとまた頬を膨らませてカウンターの奥へと行ってしまった。休憩室は綺麗に片付いており、昨日の大惨事は見る影もない。



「それじゃ、俺も行くか!」



俺は自室に戻り、ケルベロスの素材と財布を持ってある場所へと向かった。




ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーー




「おいボウズ、どうしたんだ?」



準備ができた俺は、またこの武器屋まで来ていた。



「いい物持ってきたぜオッサン、この目玉を首飾りか何かに加工できねえか?」



俺はオッサンにケルベロスの眼を渡した。



「俺は何でも屋さんじゃねえんだぞ………って、ボウズ、これケルベロスの眼じゃないか!」



「ついでにこれもやるからさぁ~」



そう言って1円玉を渡す。



「な、なんだこれ!こんなものまで貰ってもいいのか!それに、ここに書いてある1って何なんだ?」



「ああ、それは1番良いって意味だ」



「そうか!よし任せろ!3時間ぐらいかかるから、お前が変わりに店番してくれ!」



「ちょ、ちょっと待てよ!」



「値段は武器に貼ってるからな!じゃ、頼んだぞボウズ!」



一円玉に余程興奮したのか、オッサンは聞く耳を持っていなかった。



「はぁ……。しゃーねえ、やるか!」



俺は客を呼び込んでみることにした。




「はいはい、そこの姉ちゃん、痴漢撃退に武器を1ついかがっすかぁ?」


「お、お兄さんあんたいい武器もってんね~。もう1つグレードアップしたのはいらねぇか?」


「おじぃちゃああああん!杖、杖だよ杖!この杖凄いよぉおお!若返るぞぉおお!あの日の青春が思い出すぞぉおお!」


「はい、そこの君!今死んだよ!今死んだんだよ!勝負は一瞬なんだ!その一瞬を我が手に!いざ掴もう!ゴールド武器屋へ!カモォオオオオオオンン!!」





「なんだなんだ?」



「あの武器屋ちょっと覗いてみねえか?」



色んな事を叫び散らかしているといつの間にか人が増えてきた。



「おい兄ちゃん、この武器くれ!」



「まいどー」



「お兄さん、私、どんな武器がいいしら?」



「お姉さんはその笑顔が1番の武器っすね!だけどこの武器を持ったらもっと輝きますよ!」



「あはは、この人面白~い!」



「俺にもこれを売ってくれ!」



「あんちゃん、これも頼む」



「これはどんな武器なんだ?」



お店の中は人だかりでいっぱいになった。外に並んで待っている人もいる。



「はいはい、まだまだ武器はありますので落ち着いて順番に並んでくださいね~」



「な、なんだなんだ? ボウズ、これは一体?」



店が騒がしくなってきたからなのか、奥からオッサンがでてきた。



「ああ、オッサン。本気で呼び込んだら大繁盛したぞ!」



「ボウズお前…、ここで働かねぇか?」



「俺がオッサンに何かを頼む時だけだったらな!」



「おい兄さん、さっさとしてくれ」



「はいはい、すいませんすいません、少々お待ちくださいね~」



「ボウズ、じゃあもう少し頼むぞ!がっはっはっは!」



大学時代にバイトでしていた居酒屋の呼び込みがまさかこんなところで役に立つとは。後で売り上げの一部をくすねておこう。



ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーー




それから武器屋は夜まで繁盛した。店の中の武器はもうほとんど売れてしまった。



「ふい~、疲れた~。しかしだいぶ儲かったぞこれ」



「お疲れさん。ほれ、出来上がったぞ。ボウズが頑張ってくれたから俺も奮発したぞ」



オッサンが店の奥から出てきた。手にはブレスレットとネックレスの姿があった。両方とも真紅の宝石が綺麗だ。鎖の方もこの眼からできているらしく、紅く光輝いている。



「さんきゅう!てか予想以上にデザイン良すぎだろ!」



「だから、俺の作るモノは天下一品だって言っただろ?」



「あぁ、確かにそうだな!これでアイツも喜ぶかもな!」



「ほほぅ、ボウズもいっちょ前に誰かにあげるのか?」



「ははっ、まあな!」



「それと、これも持っていけ」



オッサンの手には今日の売り上げの一部が握りしめられていた。



「え!いいのか!?」



「ああ、勝手に持っていかれても困るしな!」



「はっ、バレてたのかよ!」



「がはは!おっと、もうこんな時間だけど、帰らなくていいのか?」



時計を見てみるともう夜の9時を回っていた。



「確かに、そろそろ帰るとするか。さんきゅーオッサン」



「ああ、こっちこそありがとうなボウズ!」



お目当ての物も手に入ったし、荒稼ぎもできて上々だ。俺はオッサンに別れを告げてギルドに戻った。



ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーー




「あ、ユウ!お帰り~」



ギルドに帰ると、リリィがカウンタでグラスを吹いていた。



「リリィ、ただいま!とりあえずご飯ちょうだい!腹減って倒れそうだ」



「いいけど、ちゃんとお金持ってるの?」



「ああ、ちょっくらいい仕事が見つかってな。ほら、昨日の5万も耳揃えて返すぞ」



そう言って俺は財布から5万ギルを取り出し、カウンターに置いた。4万までまけてくれていたが、オッサンからは20万ぐらい貰っていたので全額返すとこにした。



「え!? なんで1日でそんなに稼いで来てるの!まさか変な仕事じゃないでしょうね?」



「な、なんでそうなるんだよ」



俺ってそんなに変な事をしてそうに見えるのか?



「あ、そうだ!さっきここにレイラが来てユウの事を探してたよ!今は部屋の方に行ったんじゃないかな」



「ほんとか? 俺も丁度会いたかったしちょっと行ってくる」



「は~い。ご飯はどうするの~?」



「すぐに戻ってくるから作っていてくれ!」



階段を上がり部屋に戻ると、部屋の前にはレイラらしき人影があった。どうやら俺が部屋の中にいると思って話しかけているらしい。



「おーい、何してんだ?」



「ひゃぃ!………えっ?えっ?」



「なに可愛い声だしてんだ? というかどこいってたんだ?」



「えっと、そのだな…」



「まあ入れよ」



仕事中ずっと立ちっぱなしだったからとりあえず座りたかった。部屋の中に入りレイラを椅子へ案内し、俺はベッドに腰掛ける。



「丁度俺もレイラに渡したいものがあったんだ。はい、これ。俺の初めてのクエストで手に入れたんだから大事にしろよ!」



そう言って俺は出来たてホヤホヤのネックレスをレイラに渡した。



「何これ…。凄く綺麗…」



レイラはそれを手に取り、まじまじと見つめた。



「て、ダメだダメだ。せっかくユウが初めて行ったクエストの記念品なんだ。受け取れないよ」



ハッと我に返ったレイラはネックレスを俺に返そうと立ち上がる。



「いいや、貰って欲しい。これは俺からの感謝の気持ちなんだよ」



「感謝の気持ちって、私は何も感謝をされる事なんか。むしろお前に危害を加えた方じゃないか」



まだこの子は気にしているみたいだ。



「俺はお前と会うまでずっと1人ぼっちだった。気づけばどことも知らない場所にいて、周りには何も無く、本当にどうしたらいいか分からなかったんだよ。どこへ行く気力も起きなかったし、人がいるなんて思いもしなかった。本当に心細かったんだよ」



この際だからと、俺は心境を語り出した。俺の話をレイラは黙って聞く。



「そんな時にレイラが現れてくれて、しかも命を助けてくれて、心が暖かくなったんだ。ギルドにも案内してくれたし、寝食の場を与えてくれた。本当に感謝している」



俺はレイラの目を見て、感謝の気持ちを伝えた。



「…………」



レイラは言葉に詰まっているようで、困った表情をしていた。何故か顔が赤くなっている。あ、これ照れているやつだ。可愛い。



「おーい、レイたん大丈夫か?」



「お、お前は、そんな事を言ってて恥ずかしくないのか?」



「全く恥ずかしくないね。明日死ぬかも知れないし、俺は後悔したくないんだ。さっき俺に危害加えたとか言ってたけど、別に俺はお前の事嫌ってねーよ。どっちかっていうと好きな方だ」



「す、す、すすすす!?!!?」



「お前可愛いしな」



「バ、バカ!またバカ!ほんとバカこの人!!なんでそんな恥ずかしいこと言えるんだよ!」



「この世界の人間は口下手ばっかりなのか!? ていうか、レイラもそんだけ可愛けりゃ学校で誰かに好意抱かれる事あるだろ」



「可愛くないし、そんな事一度もない!」



なん...だと。それはそれでこっちが驚く。



「も、もうこの話は終わりだ!明日はこのクエストに行くからな!」



無理やり話を断ち切り、レイラはある依頼書を机の上に置いた。相当動揺しているようだ。



「おお!レイラがクエスト選んでくれたのか!ありがとう!」



「依頼書はここに置いておくからな、しっかり読んでおけ!それから、10時頃には来るから準備整えておけよ!」



「はいはい、10時ね、りょーかい!」



「そ、それじゃあ私はもう帰るからな!!」



ついに俺の顔を見れなくなったレイラは勢い良く帰っていった。



「ピュアすぎるぞレイたん。あ、いけね、ご飯用意をしてくれているんだった」



腹の減りからリリィがご飯を作ってくれていることを思い出し、部屋から出て休憩所へ向かった。



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