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第三十九話 それぞれの未来③

時を同じくして、ノエルは自室で物思いに耽っていた。

「もーひどーい、ノエル様!どうして最後の戦いに私じゃなくお祖父様を呼んだの!?私だってフィリアに会いたかったのに!」

傍らにはむくれ顔のライラがいる。フィリアの事は幼い頃から世話をしていたため、妹のように思っていたようだ。

「………その状態のおまえを呼んだら、戦いに集中できないだろう」

それに。

フィリアがラファエルの元に行きたがっていたことは、彼女の様子から確認しなくてもわかっていた。それならこちらも、彼女がしたいように出来るよう、極力関わるようなことはやめた方がいいだろう。そう思っての行動だったが、やはり目覚めた娘と一言も交わさず別れたのは正直辛い。

「ノエル様………」

こちらの気持ちを理解しているシヴァが、彼女の方こそ泣きそうな顔で声をかけてきた。

「………良いのだよ、私は。父親なら娘の幸せを願うのは当然だ。例え血が繋がっていなくとも、例え彼女がそうは思っていなかったとしても、それでも私は彼女の父親だと思っている」

半ば自らに言い聞かせるように言う。

「あとは、ミカエルの寿命が元に戻ればいい」

ルーテのおかげというのは口惜しいが、千年後の未来の光玉が消滅したことで、彼の時間は進んで行くだろう。

ルーテが何故自分の命と引き換えにしてまで光玉を消滅させたかったのか、未だに不可思議ではあるが。

光玉の落下地点で初めて会ったあの時は、確かに不吉で禍々しい気を彼女から感じたのだが。それから何があってああなったのか。

「全てを知っているつもりでも、実際は何もわかっていなかったのだな」

ノエルは自分の人生を改まって振り返った。そしてこれから、どう生きていくべきかを思い悩む。

「ほっほ。ともあれ全てを終わらせられたのじゃ。これからは生きたいように生きることじゃな」

ラムウが白く長いあごひげを撫でながら、孫を見るような眼差しでノエルを見つめる。

「生きたいように、か。そうだな」

ノエルはようやく、肩の荷がおりた気がした。


☆ ☆ ☆


一方のミカエルと博は、天界で再会を果たしていた。

と言っても、光玉を消滅させたことにより、現世での天界はクロウとの戦い以前のように、天上から地上に降りてきていたのだが。

「なんか距離が近くなって変な感じだよね。けど元々こうだったんだよね?」

博はミカエル相手に本来の口調で話しかけた。

「そうだな。魔石があるから天使達はそのままの姿だけど、他の人間が見たら驚くだろうな」

「だよねー。その内、天使と人間の禁断の恋とか出てきそうー。って、まぁそれはいいんだけど、身体は?大丈夫?」

光玉の影響を受けなくなって、何も変化がないはずがない。博は心配そうにミカエルの顔を覗きこんだ。

「ああ…。この前風邪引いてびっくりした」

今までは病気など一切しなかった。だから、自分では風邪かどうかの判断もつかなかった。医者に罹って初めてわかったのである。

「………あなたが死んだら、ここは?」

博は眉根を寄せた。

「天使達でやってもらうさ。もう神なんて必要ない」

「………そう。あなたにも、ユーリにも、会えなくなるのは寂しいな」

彼がいなくなるということは、ユーリもいなくなるということ。

「まだ先の話だろ」

「そうだけど」

口をつぐむとミカエルが

「………色々と大変だったよな、オレ達。巻き込まれた感半端ないし」

言葉とは裏腹に、嬉しそうに言う。

「上手くいって良かったけどね。結果オーライってやつ?」

博が真面目に答えると、今度は彼が問う。

「それで、親の方は?どうなってる?」

「ああ……あの二人は今、幸せそうだよ。やっとみんな、自分達の人生を歩めるようになったんだね。私達の物語も、これで一区切り」

そう、それぞれ新しい人生を歩いていく。これから、ずっとーー。

小さく頷くミカエルでありユーリに背を向けて、博はヒラヒラと手を振りながら、新たな道を歩きだした。


~完~







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