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第三十六話 終わりの始まり

ネフェニーは右手を前に突き出し、時空をねじ曲げブラックホールのような空間を虚空に作る。それは決して大きくはなかったが、その小ささにそぐわぬ、全てを飲み込む禍々しさがあった。彼女は左手に持っていた光玉を右手に持ちかえて、異次元空間が消える前にシュッと投げ入れる。

「これで、光玉は完全に消滅します」

光玉を飲み込んだ時空間は次第に小さくなり、やがて完全に閉じた。

「よし、あとはあいつを倒せば……」

ラファエルが振り仰ぐと、味方が巨大ロボと激戦を繰り広げていた。みゆりは『乱れ雪月花』で今度は反対の脚を攻撃し、ルーファウスも炎の球で敵の注意を引き付ける。ミカエルはレーザー銃で首元を狙い撃ち。博は雷迅の術で頭上から稲妻を落とし、ノエルはラムウを召喚して裁きの雷を発動させる。博とノエルの雷攻撃はかなりのダメージを与えていた。ロボの動きが鈍く、足で身体を支えることもままならないようで、今にも倒れそうだ。

「これで終わりです!」

皆が時間を稼いでくれたお陰で、石に電気を充填することが出来た。その石からありったけの電気を放出する。


バチバチバチバチッ

ドシーーンッ


巨大ロボがうつ伏せに倒れ、激しい地響きと共にタワー全体が揺れた。

「きゃっ」

「くっ」

みゆりや幸広が、なんとか体勢を整えて踏ん張る。

「みんな、大丈夫か!?」

ラファエルはフィリアを抱き寄せ、座り込みながら声をかける。

「ええ、みんな無事です」

到が全員の安否を確認して答えた。

「………本当に、終わったんだな」

ミカエルがしみじみと呟く。

「ああ。そんじゃ、さっさとお前らを未来に戻してやらなきゃな」

「そうね……いつまでも過去にいちゃ、歴史が変わってしまうし……」

ネサラとネフェニーが、一息つく間もなく急かしてくる。

「あの……!お願いが、あるんです……!!」

フィリアが唇をぎゅっと噛み、二人を交互に見る。

「何かしら、フィリア……」

「私も、お父様の世界に連れていってくれませんか?やっと………やっと会えたのです!また、離ればなれなんて………」

涙ながらに訴える彼女に、ネフェニーは同情した。

「そうね……」

長であるネサラに顔を向ける。それは自分が決めることではないからだ。

「………ま、いいだろ。どうせ千年間ずっと眠っていたんだ。千年後の世界で起きてたっておかしくなかったわけだしな。いいぜ。送ってやる」

「!ありがとうございます!」

「ネサラ、私からもありがとう……」

フィリアとネフェニーは顔を見合わせて喜ぶ。

大事な人と離ればなれになることほど辛いことはない。まして彼女はまだ少女だ。この戦いで傷つく人がでることを、ネフェニーは望んでいなかった。

「ネサラ、すまないな。ところでおまえ達は……?」

ラファエルも娘と居られることを喜び嬉しそうだったが、二人はどうするのだろう。

「私はこの時代に残ります。元々この時代に生きている者ですし、それに……ルーテをこのままにしてはおけませんから」

ネフェニーは横たわるルーテを見て、悲しげに目を伏せた。彼女をきちんとしたところに葬ってあげたい。それが彼女に出来る最期のことだろう。

「俺も残るぜ。長としての仕事もあるしな。だから、ルーファウス。おまえと会うのもこれまでだ」

ネサラは後方にいるルーファウスを向いて告げた。

「ああ、わかってる。…………世話になった。元気でな」

ルーファウスは目を細めて辛そうにしている。

「俺がこんだけ手伝ってやったんだ。ちゃんとマトモな未来を作ってけよ」

ネサラに励まされ、ルーファウスも目を潤ませながら頷く。

「それじゃあ送るぜ。ネフェニー、いいか」

「ええ」

二人で共に時空転移魔法を唱える。ラファエル、ミカエル、フィリア、みゆり、到、幸広、博、ルーファウスの八人を元の世界に送り返す為に。

タワーの床に現れた魔方陣に包まれ、八人は再び時空間転移した。


☆ ☆ ☆


転移した八人は、五大都市の入り口に立っていた。

「…………戻ってきたんですね」

「なんだか夢のようだったな。現実味がないというか」

到と幸広が呆けたようにいう。

「ああ。私もこの子がいなければ、到底信じられなかったろうな」

ラファエルがフィリアの手を繋ぎ言う。

「お父様………。いえ、この世界では友美さん、ですね。私の方が年上ですけど、そう呼んでも構いませんか。親子としてではなく、これからは友人として、よろしくお願いします」

「………ああ。私もフィリアがいてくれて、ようやく自分の前世の記憶を受け入れられそうだ。私は私として、友美として生きていく」

前世の自分は失意のうちに命を落とした。その記憶を今の、友美の人生と切り離せずにいた。しかし今なら、吹っ切って過去を過去として認められる気がする。そばに、彼女がいてくれるなら。

「まあ、なんかあれだな。とりあえずめでたしめでたしって感じだな」

「色々丸く収まって良かったですわね」

みゆりと博がそう口にするが、ルーファウスはルーテの事が腑に落ちなかった。

彼女は何故、命を懸けてまで光玉を破壊、いや消滅させようとしたのか。彼女が光玉と関わったのは、前世のノエル(自分)が彼女を神にしなかったーー光玉に触れさせないようにしたあの時だけだ。前世の自分が彼女に会ったこと自体、後にも前にもあの時だけ。てっきり光玉を使って世界征服でも企んでいると思っていたが、一体何故光玉の消滅を目的としたのか。

(…………いくら考えたところで、彼女はもういない。今は、この結果を喜ぶだけ……か)

ルーファウスは一人、思った。

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