第三十三話 戦う方法
ネフェニーが、ルーテを死なせるくらいなら、とロボット姿の生命体を時空間に呑み込ませようと、魔法を発動させる。
しかし、ネサラに手首を掴まれ止められた。
「やめるのはおまえの方だ。俺達時天使は同族以外に魔法を使う事は禁忌。知らないとは言わせない」
ネサラは長として、それを認めるわけにはいかなかった。
「だけど、このままじゃルーテが………!!」
「…………諦めろ。ここまで来たら、もうどうしようもない。世の中には変えられない未来もある」
そう。もっと早くネフェニーがこの事に気付いていれば、未来は違ったかもしれない。しかし時既に遅し。あとは受け入れるしかない。
ドガァァン!!
派手な轟音と共に、ルーテがドサッと倒れる。
どうやらロボットの胸目掛けて光玉のエネルギーを放ったようだ。しかし、光玉で創られた存在には効果は今一つ。
焼け焦げたような痕は見えるが、身体に傷は付いていない。
「ルーテ!!」
ネフェニーはルーテの元に駆け寄った。しかし、彼女はうつ伏せになったまま、ピクリとも動かない。
「おい、離れろ!攻撃が来るぞ!」
「え……きゃあ!!」
ロボットは金色に光る目をこちらに向けて、その巨体から数百キロはありそうな腕を振り下ろす。直撃したら確実に死ぬ。
ネサラは咄嗟にネフェニーを背に庇い、時空フィールドを張り防御する。
「あ……、」
驚き固まるネフェニー。ネサラも思わず舌打ちをした。早いとこルーファウス達が来ないと、自分達ではヤツを倒すことは出来ない。禁忌を侵せば別だろうが、自殺した奴の後始末で俺達が割りを食うのはごめんだ。ここはルーテの計画通り、あいつらに倒してもらう他ない。
「くっそ」
それまではとにかく防御一辺倒だな、と思った瞬間。
バタバタバタ、と数人が走ってくる音がする。
「ネサラ、無事か!」
真っ先に声を出したのはルーファウスだった。
彼が来たことで緊張感が少し緩み、ネサラはふぅ、と息を吐いた。
「なんとかな。だが、ルーテはダメだ」
「!?」
その言葉に全員が、驚愕の表情で床に伏しているルーテを見る。
「そんな、どうして!!」
叫ぶみゆりを制し、ネサラが続ける。
「それより、さっさとこいつを倒してくれねーか。俺達は防御しか出来ないんでね」
またももう片方の腕を振り下ろしてくるロボットに、ネサラはネフェニーを抱えて飛び退く。
「わかった、おまえ達は下がってろ」
言わんとすることを察したノエルが前に出る。
先ほど結界から出てからは精神力を温存していたので、少しは召喚魔法も使える。
ノエルは海竜リバイアサンを呼び出して大津波を起こさせた。
水圧に押されてロボットはたじろいだが、足止め程度にしかなっていない。
「やっぱ防御力は半端ねぇな」
ネサラが空に浮かびながら嘆息する。
「ノエル、水系じゃダメだ。ああいう鉄屑に攻撃するなら雷の方が効く。ラムウを呼ぶんだ」
博が言いながら雷迅の術を唱える。
「僕も雷魔法を使いたい所なんですが、そろそろ魔導書のページがないんですよね」
「マジか?!やばいな……」
ミカエルが到のレーザーガンを敵の関節に撃ち込みながら、焦燥感を募らせる。
「まぁ、雷攻撃なら、魔法以外にも方法はありますが」
到は徐に紫色に光る石を取り出した。魔石と似ているが、円い形をしている魔石とは違い、細長いクリスタルの様な形をしている。
「例えばこれとか」
その握った石の先端をロボットの腹に向け、雷を放出する。
バリバリバリッ!
凄まじい雷の光が、鎧にぶつかりシュウシュウと煙を出させる。
よく見ると、直径五センチ程度の小ささではあるが、鎧の腹部に風穴を空けさせていた。中々効果があるようだ。
「よし!でかした到!これを連続でぶつければ、意外と簡単にヤツを倒すことができ」
「ムリですね」
歓喜するラファエルの台詞を、到は平然とぶったぎる。
「な、」
不満そうな顔のラファエルに到は説明した。
「これは空気中の雷……静電気を集めて放出する石なのですが、それを石に集めて充填するまでには時間がかかります。それまでは別の方法で戦うしかないですね」




