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第二十八話 行く手を阻むもの

そう言うと、ルーテは右手を天に突き上げた。

すると、ラファエルの持っている2つのカケラとルーファウスの持つカケラが、二人の手を離れ空中に浮かび上がった。

「!?」

二人が驚きのあまり息を呑んでいると、それらはルーテの持つカケラに引き寄せられていった。

「やっぱりね……。カケラ同士は共鳴する様だったから、一ヶ所に集まれば自然と呼応して光玉に戻るだろうと踏んでいたけど……」

ルーテの手のひらに全てのカケラが集まる。そしてそれらは次第に目の眩むような強い光を放ち始めた。

「くっ」

「まぶし……っ」

皆が光を遮ろうと顔を腕で覆ったりしている中、ルーテは目を瞑りながらも口角に笑みを浮かべて。

「ようやく………カケラではなく、完全なる光玉を手に入れた……」

彼女の手中には、両手に収まるほどの大きさの珠があった。

「バカな………!!」

「カケラが、こんな簡単に奪われるなんて!!」

ラファエルとミカエルが、衝撃的な光景を目の当たりにして青ざめる。

「あとは、タワーで私の本懐を成し遂げるだけ………。貴方達にはお留守番していてもらうわ」

ルーテが光玉の魔力を使い、人造人間や人造獣を大量に、しかも一瞬で作り出す。

「まるで幻影だな」

幸広は、そうではないとわかっていても、そう思わずにはいられなかった。それくらい見事な創造だった。だがそれは同時に、光玉の持つ魔力をかなり消費しているということだ。

(………やはりそれが目的か)

到同様、幸広にも彼女の目的は見当が付いていた。ノエルの策略を聞いたときに、全てが繋がったのだ。

「……とにかく、こんなところで足止めを食らうわけにはいかない………。突破する!!」

「そう、せいぜい頑張ってちょうだい。私達は行きましょう、ネフェニー」

ルーテが相変わらず淡々と促す。

「ええ、そうね」

「待て!」

言い終わるや否や、ネサラが距離を保ちながら制止する。

「ネフェニー……おまえ、自分が何の真似をしているのか、わかっているのか?」

「ネサラ……?」

怪訝そうな顔の彼女に、ああ、これは知らないでルーテに付いてるな、と確信する。

「………あなたがネフェニーの代わりに長になったネサラ?彼女のこと、心配しているのかしら」


心配………?この俺が?

ネサラはモヤモヤした気持ちを抱えながら、それらしい理由を述べる。

「ネフェニーとは同族だし、知らぬ仲でもないからな」

それを聞いたルーテは意味深に「………そう」と呟き、

「そんなに心配なら貴方も付いてこればいいわ。ネフェニー、時空間の歪みを元に戻せるかしら?」

おろおろする彼女に促す。

「……………わかった」

ネフェニーは突然のルーテの提案に戸惑いながら、両手で魔法を発動し、彼女の言うとおりに歪みを戻す。

「それじゃあ、行きましょうか」

タワー内部へと転移魔法を唱えるルーテ。ネサラは無言でそれに倣った。

かくして、ルーテ、ネフェニー、ネサラの三人はクリスタルタワーに足を踏み入れた。


☆ ☆ ☆


「…………参りましたね。これでは多勢に無勢ではないですか」

到がぼやく。立ちはだかる人造の生命体は、ざっと人の姿をしたものが十、獅子や狼などの獣が二十。

みゆりの聖剣の威力はアテに出来ず、元々攻撃要員ではないラファエルやミカエル、幸広も補助魔法が精々だ。となるとまともに戦えるのはルーファウスと博と自分ぐらいということになる。

ノエルが一緒に戦ってくれたとしても、四人。しかもカケラはルーテに奪われた。召喚魔法を使うにも限度があるだろう。

ラファエルが皆に結界を張り、敵からの攻撃を防ぎつつ

「どうする?さすがにこの状況では、作戦を練らんと勝てるものも勝てんぞ」

と苦い顔をする。

「せめて私の聖剣が使えれば……!」

みゆりも自分を責めた。以前も思ったが、攻撃も補助魔法も出来ないなんて、はっきりいって自分は足手まといにしかならない。

綾さまの足手まといになりたくないと必死に剣技を磨いてきたのに、今度は剣が使い物にならないとは。

「…………見せてください」

悔しさや悲しさで泣きそうなみゆりに、声をかけたのはフィリアだった。

「え?ええ……」

みゆりが剣を手渡すと、フィリアはそれをしげしげと眺め

「………光玉の魔力で強化されていますね。それゆえ光玉から作られた彼らには効かない……それなら」

彼女は魔石のペンダントを握りしめ考え込む。

「こちらにその魔力を移せれば………もしかしたら」

「!?出来るのか!?」

ラファエルが娘を見て問う。

「わかりません。ですが……やってみます」



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