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第二十四話 封印を解く鍵

ノエルの能力は主に結界を張ることと召喚魔法だ。そしてミカエルは建物や武器などの“物”を創ること。それでは使う魔力量もたかが知れている。

ラファエルの封印の能力や、生命を創り出す、或いは創り変える能力は二人よりも多くの魔力を必要とした。だからノエルはラファエルに“またしても”全てを押し付けた。天使達を創造した時と同じように。それもマリクには許せないのだろう。

ルーファウスに対し憎々しげな顔を向ける彼の気持ちは、博にもよくわかる。

「ラファエルが死んでしまうことは想定外だったがな」

ルーファウスはそう言うが、博は内心《よく言うよ》と思った。

結局のところそれは“未必の故意”なのだ。

明確な殺意があったわけではないーーが、自分の行動によって相手が死んでも構わない、と。それぐらいは思っていただろう。長命や不死を畏れ、人の寿命に当てはめるために光玉を壊そうとしていたくらいだ。その範疇であるならば、ラファエルが短命でもノエルには関わりないこと。

そういう、独善的な考えがマリクとは最初(ハナ)から合わなかった。

「あなたという人は……!!」

マリクが憤怒の形相で睨み付けるが、それ以上は言わなかった。賢明な判断だ。わざわざ双子神に、彼らが傷つくような事柄を言う必要もない。


「結局は光玉を完全に壊すことは出来なかったがな。それ故、ミカエル一人を千年もの間生き長らえさせることになった。おまえには辛い思いをさせたと思っている」

ルーファウスはミカエルに対しては心底そう思っているのだろう。ラファエルのように早世が良いと言う話ではないが、かといって千年生き続けるのは想像するだけで辛い。

「………ラファエル様の娘さんを、あなたが育てていると聞きましたが?」

幸広が話題を変える。

「今は己の意思で自らを封印しているがな」

ルーファウスが悔しそうに唇を噛む。

「どういうことですの?」

「俺が未来を視たからな」

「!!」

今まで黙り混んでいたネサラが、前髪を手でかきあげながら口を挟む。

「ラファエルに光玉を破壊させようと目論み、その先を覗いたらネェフェニーとルーテの暗躍する未来が視えた。それを知った彼女が、自分自身を封印したんだ」

「そうだ。ラファエルとリズの娘の自分なら、光玉の魔力を使うことが出来るだろう。だから二人が現れた時に自分の封印を解くようにと。そうすればその時に、自分の力が何かの役に立つかもしれないと。無論私は反対だったがな。いつ目覚めるかも解らぬ封印など。だが、自分で封印を施したのだ。私にはどうしようも出来ない。彼女の望みを叶えることしか」

ルーファウスは苛ついていた。娘のように育てた彼女を、封印させる羽目になるとは。こんなことは予期していなかった。愛した女の忘れ形見として、大事に大事に育ててきたのに。何故こんなことになってしまったのか。

「では、どうすれば封印は解かれるんですか?二人が現れたらって、もう二人は現れているのでは?」

困惑する到に、スルーフが推測する。

「おそらくだが、同じく封印の力を持つラファエル様なら解くことは出来るだろう」

或いはそれが彼女の願いの一つだったのかもしれない。生まれ変わりでもいいから、父親に会いたいと。

「………なるほどな。では、娘の所に案内してもらおうか、ルーファウス」

ルーファウスと裏腹に、ラファエルが少しだけ嬉しそうな顔をする。娘が自らを封印したという事実は心が痛むが、不謹慎にも娘に会えることが心を躍らせるのだ。

「勿論だ。彼女……フィリアは私の住む家の地下室に眠っている。これからそこへ、向かうことにしよう」

未だに不満げなマリクやどうしていいか困り顔のスルーフと別れ、一行はフィリアの封印を解くため、魔導大学校を後にした。

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