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第十四話 回想~ルーファウス編~

捜索を再開し程なくたった頃、ようやく草と大地の間に埋もれたカケラを発見した。

ラファエルが皆に周囲を警戒するよう告げる。

突然ルーテの手の者が現れ、戦闘になる虞れがあるからだ。

皆目配せし、カケラを手に取ろうとするラファエルを囲んで円陣を組む。

果たして予想通り彼らは現れた。しかし、予想外だったのは

「探す手間を省いてくれてご苦労様」

声と共に、二人の女が空中に浮いていた。一人は時天使だった。翼を拡げている彼女とは対照に、もう一人の女は翼もなしにふよふよと浮いている。

ラファエルたちより少し上の位置から、こちらを見下ろす彼女は。

「………!時天使のネフェニーと………、おまえは」

ミカエルの言葉に、紫色の髪を首の下で一つに束ねた女が、無表情のまま言った。

「会うのは初めてね。私はルーテ。もう知っているでしょうけど。とりあえず、さっさとその二つのカケラをこちらに寄越してくれるかしら」

なぜ今になっていきなり現れたのか?前回の地底の時は部下だけだったのに。

「手荒な真似はしたくないので、どうかお願いします……!!」

ルーテの背後に隠れていた時天使のネフェニーが、おずおずと前に出る。

「断る!何に使うかもわからないのに、そう易々と渡せる代物ではない!」

ラファエルが声高に叫ぶ。

「そう………なら、仕方ないわね」

ルーテは目を細めて、感情の見えない顔で淡々と答えた。



☆ ☆ ☆



その頃。

直人の車で、潜水艦が保管されているという南の洞窟に向かうパーティーは、久美を筆頭にきゃいきゃい騒いでいた。

「お腹が空くと困るから、食糧もたくさん持ってきたよー♪セラフィとスィフト用に、溶けにくいチョコレートも沢山♪」

「なんでチョコレート?」

直人が運転しながら不思議そうな顔をする。

「妖精はチョコレートで魔力回復すんだよ」

助手席の博が言うと

「まぁ敵もいないだろうし、セラちゃんが水膜作るとき用って感じだろうけどね~」

スィフトが、のんびりした口調で返す。

それを見ていたルーファウスは、なんて呑気な連中なんだ、と内心嘆息した。

確かに敵が現れる可能性は低いが、潜水艦などと見たこともない乗り物に乗って海底に行こうというのに、緊張感が無さすぎる。これではただのピクニックではないか。

「そういえば、潜水艦って誰が運転するの?まさか自動操縦ってわけじゃないだろうしさ」

久美が他人事のように尋ねる。

「確かに言われてみれば……」

「考えてませんでしたね」

妖精二人が口々に言う中、

「博君とか得意そうじゃない?そういうの」

久美にテキトーなことを言われ、

「えー何いってんだよ。そういうのは理工学部教授の千慧先生の仕事だろ」

「えー。何いってんのよ。千慧ちゃんがそんなめんどくさそうなこと、するわけないじゃん。ね?」

「当然ね」

千慧が足を組み直しながら、肩にかかる髪を払う。

「じゃあ誰がする?もう俺ら人間でじゃんけんで良くない?」

「えーイヤだよ。この前博くんじゃんけんで負けたことないって言ってたじゃん!」

「じゃあ直兄は?運転」

「あー………操作がわかればやってもいいけど」

「いいのかよ!ホント直兄ってどうでも良さげだよなー。逆に心配になるよ」

なんかもう直人の立ち位置が運転要員になってる気がする……、とルーファウスも思った。


………それにしても。

義信博士がリズの生まれ変わりだとは。

あの時、千慧宅で顔を合わせてすぐにわかった。向こうもそうだろうと思うが、こちらには目もくれなかったし、気づいているそぶりも見せなかった。

(やはり………フィリアの事を怒っているのかもしれないな)


魔物との戦乱が激化し、勝つか負けるかという重大な局面を迎えている頃。

ノエルは聖戦士と共に地上を警備していた。彼女が自分に会いに来たのはそんな時だった。

彼女は産まれて間もない赤子を抱いていた。

「………まさか、本当に子がいたとはな」

「あなたなら、気づいていたと思ったけど?」

「半信半疑だった。だが、君が天界を離れる理由といえば、それぐらいしか考えられないだろう」

「本当に、貴方って人は………。他人事よね。理屈でしか物事を考えられない………。そんなところが好きだったけど、もうお別れね」

「………………………………。」

私も、好きだったよ。愛していたよ。こんな自分を支えてくれる君を、柄にもなく。

だけど、私は君をこの世に繋ぎ止める術を知らない。いや、持ち合わせていないんだ。だから、理論上、一番良い最期を用意した。

「………………っ」

彼女の体が傾いだ。もう限界が近いのだろう。咄嗟に赤子ごと抱き寄せる。

「娘を……、この子をお願い。私には………、まだやることが残っているから」

ふらつく足取りで立ち去っていく彼女を、私はまた、ただただ黙って見送った。



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