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音楽室に近づくにつれ、その音は段々と大きくなっていく。
むっつめの七不思議。音楽室で深夜、ピアノが鳴り響くのを聞いた。その音を聞くと呪われる。
ん?ちょっと待てよ?この音を聞くと呪われるんじゃなかったっけ?僕がそう思っていると蔵持が口にした。
「この音を聞くと呪われるって本当ですかね?」
「そういえばそうね」
そうDeathね。
沢渡先輩がそう返すと蔵持は、なにやら叫んで来た道を走って戻っていった。
「蔵持」
僕が蔵持を追い掛けようとしたら沢渡先輩に腕を掴まれた。沢渡先輩の顔を見ると無言で首を降っている。どうやら中に入って音の正体を突き止めろということらしい。足音からして下に降りたはずだから昇降口で待っているだろう。蔵持には、このメモを頼りに記事を書いてもらうとするか。扉を開け中に入りグランドピアノを懐中電灯で照らした。件のピアノは、姿はなく音だけが鳴っていた。
沢渡先輩が鍵盤側に回り込むと短く悲鳴をあげた。
「きゃ」
なにそれ。意外とかわいいところがあるじゃん。危なく惚れそうになるからやめてほしい。僕も気になり沢渡先輩の隣に立った。
「うわっ」
鍵盤は、ついさっきつきましたと言わんばかりに血で汚れていた。血の跡を見る限り、上から滴ったのだろう。天上を照らしてみるとそこから地が垂れた様子はなく、今まで通りなにも変わらない天上のままだった。
「行きましょうか」
「そうね。蔵持くんも待っているだろうし、なにも起こらなさそうだし」
なにそのフラグ。あなたが言うと縁起でもないからやめて。いや、まじで。
僕が扉を開けようとしたが扉は固く閉ざされていてびくともしない。懐中電灯を脇に抱え両手で開けようと試みたが、まったくといっていいほど動かなかった。まるで施錠されているようだった。
「あの。こういう冗談やめてもらえますか?」
なんてことはない。言葉通り、沢渡先輩の手によって鍵がしめられていただけだった。沢渡先輩は、クスクスと笑っている。このまま朝まで出られないかと思っていた。さすがに無断外泊は避けたいし、朝まで女の子と二人っきりというものもいろんな意味で避けたい。
僕は鍵を開けて廊下に出た。
“夜の校内に響くピアノの音。そのピアノは血に塗られていた。”そう記入しポケットにしまう。
昇降口に向かうと両手で耳を塞いでいる蔵持がしゃがんでいた。音を聞かないようにしていたらしい。
ななつめはわからないままだが七不思議の解明はできたということで僕らは、鞄を取りに部室を目指す。
「そういえば、最後のひとつってなんだったんでしょうね?」
「さぁな。案外たいしたことじゃないのかもな」
部室に着き、帰り支度をしていると沢渡先輩が口を開いた。
「最後の七不思議知りたい?」
「……まぁ。知りたいですけど」
神保中学校七不思議、ななつめは沢渡 要、蔵持 進は幽霊である―――。
そもそも、新聞部に部員は、ひとりしか存在しない。




