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4日目












『前回までのあらすじ』


この世界を魔王の脅威から救うために降り立った勇者。仲間にしたシーフを引き連れ、ゴブリンの巣となってしまった洞窟へ入る。

ゴブリンは他の魔物と違い、頭脳があるため、洞窟内には侵入者を阻む罠が設置してあった。だが、よく見て進めば全ての罠を回避できたにも関わらず、入り口から最深部の間にあった全ての罠に引っかかる。身体中ボロボロで、トラバサミがあり得ない刺さり方をしている勇者の隣にいるシーフは、何事もなかったかのように涼しい顔をしている。いや、見なかったことにしてあげているのか?それが彼女なりの優しさなのだろうか?

そんな勇者は懲りずに、あからさまに罠だとわかる宝箱を開こうとする。そこで、シーフにそれは罠だと指摘される。魔法で見てた魔王からは、救いの神だと賞賛されていたが、その神の助言をガン無視した勇者は宝箱を開き、そのままキングゴブリンに勝負を仕掛け、ワンパンされてしまった。

進んでは退がり、また進んでは退がる。そのようなことを繰り返している勇者。このままでは、魔王の怒りを通り越して、お母さんが過保護にしてる子を見るような目になってしまうぞ、早く前に進むんだ勇者!





















ゴブリンの巣となった洞窟を越えた先にある街にて


ようやくキングゴブリンを倒し、その街へ辿り着いた勇者一行。宿屋に向かっているようだ。

その勇者の行動を、物陰から見ている二つの影…



「宿屋に向かったわね……また前みたいに、物色するかと思ったわ…いやでも、あとでやりそうね…」


「…あの、魔王様。何故我々はここに?」

物陰から勇者を見ている魔王に問いかけるヴァン。魔王はヴァンを見上げて


「忘れたの?ちゃんと説明したでしょ?」



それは、10分前に遡る。



魔法で、勇者の行動を見ている魔王ユネスとその配下のヴァン。ようやくキングゴブリンを倒し、洞窟から出て森に入っていく。


「やっとキングゴブリンを倒せましたね、あの勇者。」


「本当に見込みも何もないわ…コレ(勇者)と会うって考えると、すっごく憂鬱なんだけど……」

行く先々で必ず妙なことしか起こしていない、まるで出かけた先で必ず殺人事件が起こる某小学生探偵の如く、そんなことしか起こしてない勇者に呆れている様子の魔王。魔王曰く、それのせいで最近頭が痛いとか。



「待って、この森を抜けたらまた街があるよね…?」

確認を取るようにヴァンに聞くと、「るあります」と答えて頷くヴァン。


「まずいわ、また物色する可能性大よ!それを阻止しないと!」


「そうは言いますが、どのようにして…」


「変装よ!変装して、変な方向に進まないように誘導するのよ!」

かつて、勇者の進行を手助けする魔王がいただろうか。


「私達と容姿が似てる、エルフ族に変装すれば、何も問題はないわ。」


「でしたら、この衣装はどうでしょうか?」

ヴァンがエルフっぽい衣装を持ってきており、魔王に見せる。


「んー……もうちょっとこう、悪者感がある方がいいわ。ダークエルフっぽいような」


「でしたら、これはいかがでしょう?」


「んー…もう少し抑えたほうがいいわね…」


「でしたら、こちらはどうでしょう?」




そんな感じで、魔王の服選びで10分かかった。魔王とは言えど、女性には変わりない。







「いい?今の私達はエルフ族よ。魔王ということは隠して、この街に溶け込んで行動するの。」

物陰で、もう一度ここに来た目的を確認するユネスとヴァン。二人とも、どこからどう見てもエルフにしか見えない格好をしている。


「承知しました、ユネス様。」


「まだ勇者が近くにいるわ。もう少し近くで見ましょう。」


少し離れた場所にいる勇者を追うように、物陰から出て自然に追う。すると、ユネスが何かにぶつかる。


「…?」

何にぶつかったのか、見上げる…







「おいおい、ぶつかっといて謝罪もなしかぁ?」

山賊だ。複数いる山賊のリーダーにぶつかったようで、山賊達がユネスを見下している。


「…!」

ヴァンが咄嗟に、魔法を放とうとする。だが、ユネスがヴァンに「うたなくていい」というように、ヴァンの前に手を出す。


「ここで騒ぎを起こすわけにはいかないわ。大丈夫、ここは私が穏便かつ大人の対応で解決するわ。」

そう言って、山賊の前に出る。


「ねぇ、あなた達。」


「なんだぁ?このらちんちくりん」













































「誰が貧乳じゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

魔王がその辺にあった物で、山賊を一掃する。


「そこまで言ってねぇっ!!」

その拾った物で、どんどん山賊を倒していく魔王。いや、もはや修羅である。


「落ち着いてください、ユネス様!!穏便に済ますのではなかったんですか!!」


「人間風情が、私をバカにして…!この魔剣で葬ってくれるわ!!」

その辺で拾った物…物というより、人である。その人でジャイアントスイングをして山賊に攻撃してる。


「魔剣というか、武器ですらありません!!ていうか、よく見たらそれ勇者ですよ!!」

そう、魔王は気づかないうちに勇者を振り回して山賊をなぎ倒していたのだ。振り回されてる勇者は白目をむいており、気を失っている。


「やべぇ、全く隙がねぇ!」


「おい!このままじゃやられる!逃げるぞ!!」

山賊達は、ユネスに恐れて逃げ出した。そりゃそうだ、身長が154cmで可憐に見える少女が、180cmはあるであろう男を振り回しているのだから。




「次会ったら、根絶やしにしてやる……ところでヴァン、勇者は?」


「勇者なら、そこに……」


魔王の足元で、完全に伸びてる勇者を指差す。


「…」


「…」





















「撤収!」


次回へ続く

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