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私の夢は…… マチルダ目線

 私はバンシーという精霊の血を引く一族に生まれた。

 バンシーという精霊は主の未来を予言する精霊として知られている。

 そのせいか、私にも先を夢に見ることがある。

 例えば、王妃様の侍女になるとか、子供を産んで王妃様のお子様である王子の乳母をするとか。

 まさか、息子のために全てを捨ててユリアス・ノッガーお嬢様のところで小説家になるとは夢にも思わなかった。

 息子は王子と仲が良かった。

 だから、従者になるのだと信じて疑いもしなかった。

 息子が他の従者候補の子ども達にいじめられている夢をみるまで。

 私が聞いても笑って耐える息子を助けたのは、私ではなくお嬢様だった。

 だからこそ、息子のために私はお嬢様のところで小説を書くことにした。

 今でもあの選択は間違っていなかったと思っている。

 決して、旦那様がウザいから離れて暮らしたかったとかでは無い。

 小説も爆発的に売れ、お嬢様にも小説家として認められ、息子もお嬢様の店の従業員としてやっとマシになったころ、お嬢様が婚約破棄をするために動き出した。

 ラモール・キュリオン侯爵子息はお嬢様が結婚するには役者不足な男で、マイガーもお嬢様が本当に嫌だというなら邪魔する気でいた。

 でも、お嬢様は婚約を辞める気はないようだった。

 本人が望んでいないなら、私達が邪魔することはできない。

 息子も半ば諦めていた。

 そこに現れたのが、私のもう一人の息子の王子だった。

 私の書いた小説の通りに王子の彼女に収まろうとした女から王子を守るため、お嬢様は頑張った。

 頑張っていたからこそ、王様にも王妃様にも気に入られてしまうって夢で見た。

 案の定そうなったし、王子も徐々にお嬢様に惹かれていく。

 そして、二人は婚約することになった。

 それを、楽しそうに見つめる息子を見て、お嬢様に恋をしていたわけじゃないのだと気づいた。

 息子にも早くいい人ができればいいなって思っていた。

 だから、予想もしていなかった。

 お婆さんに恋をしているなんて。

 息子はずっと前から、お菓子をくれて相談にのってくれる養護施設に薬を届けるお婆さんが好きだったのだ。

 夢で見た時は唖然とした。

 お婆さんは自分を孫としか見ていないから、最後に看取れたら嬉しい。

 そんな考えでずっといた息子を変えてしまったのは、やはりお嬢様だった。

 人間嫌いのドラゴンがそのお婆さんだとお嬢様が連れてきた。

 ドラゴンだからこそ、姿が変えられるしお婆さんの姿じゃないバネッテ様は本当に妖艶な美人。

 あ、これ見たらマイガー嫉妬するかもと思った。

 案の定、マイガーは嫉妬した。

 父親のように。

 夢で見た息子に飛び起き頭を抱えたのは仕方がないと思う。

 オブラートにガチガチにくるんで言っても、私の旦那様であるこの国の宰相は変態だ。

 恋人になったら外堀は高速で埋めて直ぐ結婚しようとするし、嫉妬も半端ない。国王にだって容赦がない。最終的に監禁されそうになった時はこの人に嫉妬されないように早く結婚してしまおうと思った。

 そんな旦那様と息子が一緒だと?

 絶望で二度寝してやろうかとも思ったが、二度寝して夢を見るのは流石に怖い。

 それに、私は経験者だ。

 大したアドバイスはできないが、バネッテ様を少しでも守らなくては。

 私に王妃様がいたように。

 まあ、恋人だから愛はある。

 私だって、変態だけど旦那様が好きだ。

だから、バネッテ様も過剰な愛だと諦めてイチャイチャしてくれればいい。

イチャイチャしてれば安心だろう。

後は、王子も私の可愛い息子だから、巻き込まれないように注意すればいい。

次の日の夢で嫉妬で顔色の悪い王子の姿を見たが、王子は不憫属性で相手はお嬢様だから大丈夫だと変な安心感を覚えたのは、誰にも言うつもりはない。


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― 新着の感想 ―
[一言] 宰相、変態なんだ…! しみじみとパートナーに語られるなんて、感慨深い…(笑)
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