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罠にはかかりません

読んでくださりありがとうございます!

 預言書を嫌そうに読む王子殿下を見ているとお兄様が紅茶を入れてくれた。

 

「言ってくれたら私が淹れましたのに」

「この部屋では僕の方が自由に動けるからね。それにしても、あれはなんなんだい?」


 お兄様は苦笑いを浮かべて王子殿下の持っている小説を見ていた。


「預言書です」

「あれが?」

「まあ、簡単に言えばあれを預言書として男性を攻略しようとしている人がいまして………お兄様が見かけた金髪の女性です」

「………それは、僕に話しかけられる前提で噴水に足を突っ込んでいたと?」


 お兄様の口元がヒクヒクしていた。


「お兄様が話しかけなければお兄様の話は進みませんから大丈夫です」

「そうかい?」

「ええ、目的は私が彼女を苛めたりしないって言う確固たる証拠ですから」

「なんだって?」

「あの預言書の中で私は苛めを断罪されて婚約破棄をされます」


 お兄様が心配を顔いっぱいにしているが、私は笑顔を作った。


「私、損をするのが大嫌いでしょ?苛めなんてお金にもならないことしないから大丈夫です。後は証人と証拠さえあれば私は冤罪をかけられた悲劇のヒロインです」


 その会話を聞いていた王子殿下が呟くように言った。


「悲劇のヒロインがそんなに腹黒か?」


 私は舌打ちをして、王子殿下を無視した。


「証拠と証人か……」


 お兄様は銀縁眼鏡をクイッと上に持ち上げるとニヤリと笑った。


「商談を少し増やそうか?」

「ええ、それに人員の確保のために庶民棟の方々と面接をしようと思ってます」

「それは、一石二鳥だ」


 私とお兄様は笑いあった。


「お前らが敵じゃなくて良かったよ」


 王子殿下が呆れたように呟いたが私とお兄様は無視した。





 その日、私は真新しい試作品の靴を抱えて学食に来ていた。


「こんにちは」

「「ノッガー様!」」

「気軽にユリアスと呼んでください」

「そんな恐れ多い!」

「気にしないで、こちらを持ってきたので見てもらえるかしら?」


 私が青と黄色とモスグリーンの靴を出すと庶民棟の二人以外に数人の女の子がよってきた。


「「可愛い!」」

「「欲しい!」」


 あまりの好感触に顔がゆるむ。


「「「!」」」


 何だか滅茶苦茶驚かれた。

 変な顔をしてしまったようだ。


「あ、あの、こちらのデザインのスカートを今度商品化するのですが見ていただけますか?」


 私は慌ててデザイン画を皆に見せた。


「「「買います!」」」


 皆さんが数枚あるデザイン画を見ながらはしゃいでいたその時、私の近くで何かが倒れる音がした。

 バナッシュさんだ。

 豪快に転んでいる。


「!」


 慌てたように近づいてきたのは私の婚約者様だった。


「ジュリー!大丈夫か?」

「………はい大丈夫ですラモール様」


 婚約者様は私を睨むと言った。


「ユリアス何をした!」

「何も」


 ああ、こんな端っこの庶民棟に近い所は人も寄り付かないから安心だと油断した。


「ラモール様、わ、私が勝手に転んだだけです」


 何故か私に怯えたような顔のバナッシュさんにイラッとした。


「お前がそんな女だと思ってもいなかったぞ!」

「そんなとは何の事でしょう?」


 婚約者様は口元をヒクヒクさせた。


「ジュリーに嫉妬して足掛けをした事だ!」

「証拠は?」

「はあ?」

「私が足掛けをした証拠です」

「ジュリーがお前の真横で倒れていたのが証拠だ!」


 本当にこいつアホだ。


「それは、証拠にはなりません。それに、バナッシュさんは私が足掛けしたなどと言っていないではないですか?ラモール様はバナッシュさんのおっしゃることを信じて差し上げないのですか?」

「な、何?それはジュリーが俺に心配をかけないように…」

「嘘をつかれたとおっしゃるんですか?バナッシュさんは嘘つきなのですか?」


 私の挑発に婚約者様は額に青筋を作って怒鳴った。


「ジュリーは嘘つきではない!」

「ならば、信じて差し上げてください。私は足掛けなどしていないと」


 婚約者様とバナッシュさんはポカーンとしていた。

 二人の頭が悪くて助かった。


「あ、あの、ノッガー様」

「ああ、おきになさらず続けましょう。こちらのスカートのカラーバリエーションは何色が良いかしら?」


 私は二人に背をむけて庶民棟の皆さんに顔をむけた。

 私の後ろで婚約者様が鬼の形相だったらしいが、私は二人を無視し続けたのだった。


婚約者様がチョロすぎ?

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