番?
ゆっくりですみません。
獣人様方用の建国記念パーティーの衣装を担当させていただけることになってすぐ、私はシュナ様達を自分の店である『アリアド』に招待することになった。
馬車で店に着くと、マイガーさんが店から飛び出してきた。
「お嬢!大丈夫?」
マイガーさんもシュナ様を女性だと思い込んでいたから心配してくれていたに違いない。
「はい。大丈夫です。そんなことよりお客様ですわ」
「そんなことって……」
馬車から下りてきたシュナ様達を見て、マイガーさんが固まったのが解った。
「マイガーさん、お客様をご案内して」
「……お嬢~~」
私はそのまま店の裏にある工房に向かうことにした。
後ろを確認するとマイガーさんは深いため息をついた後営業スマイルを顔に貼り付けた。
「アリアドへようこそ。どうぞこちらに」
そんなマイガーさんを横目にシュナ様は走って私に抱きついてきた。
可愛らしい人である。
私は思わずシュナ様の頭を撫でた。
「シュナ! ユリアスにベタベタするなと言っただろ!」
「ルド兄様のケチ!」
最後に下りてきた殿下にマイガーさんが後ろから蹴りを入れているのが見えた。
その人はこの国の王太子殿下ですよ。
そう、思ったけれどマイガーさんと殿下は乳兄弟。
私が見なかったことにすればいいか? と思いそれを無視することにした。
「さあシュナ様、私の店にようこそ」
私が店の中にシュナ様を連れて入るとシュナ様はキラキラとした瞳で店の中を眺めていた。
「気に入りましたか?」
「うん! スッゴく綺麗!」
「シュナ様を素敵な男性にコーディネートさせてくださいね」
「うん!」
本当に可愛らしい。
その時、後ろにいたはずの残りのメンバーがなかなか入ってこないことに気がついた。
不思議に思って外を見ると何故かシュナ様の侍女のミーヤさんがマイガーさんの首に腕をまわして抱きついていた。
何があったのかと思い外に出ると、ミーヤさんに抱きつかれ助けを求めるように殿下の服を掴むマイガーさんがそこにいた。
「助けて兄弟!」
「自分で何とかしろ!」
「そんなこと言うなよ!」
何だろ? 見なかったことにしていいだろうか?
「あっ! お嬢~~助けて~~」
気がつかれてしまった。
仕方なく店の外に出ることにした。
「え~っと、何故ミーヤさんがマイガーさんにぶら下がっているのかしら?」
私が首を傾げると、ミーヤさんがにっこりと笑って言った。
「私、この人に負けたからこの人と番になりたいの」
その言葉に、私がポカーンっとしてしまったのは仕方がないと思う。
読んでくださりありがとうございます‼
勿論、慰謝料請求いたします!1巻、2巻両方重版決定です!
ありがとうございます(*´-`*)ゞ