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荷物持ちの権利

お久しぶりです。

 バハル船長は元々孤児だ。

 街の中でも治安の悪い地域に建つ孤児院で育った。

 孤児は増えるのに国からの援助は一定でバハル船長達は働こうとしたが孤児院育ちを雇うのを商人達はよしとしなかった。

 バハル船長はその理不尽に理不尽で返すことを決めた。

 海賊になって商人達から奪う方法をとった。

 それは、けして良い事ではない。

 だが、それをさせてしまったのは他でもない私達商人だと思った。

 そんな悲しい選択をしなくてすむように、私はバハル船長の育った孤児院を買い取った。

 国の援助をうち切る事によって我がノッガー家が思いのままに出来る従業員養成所の完成である。

 我がノッガー家の関連施設に就職出来るのだから孤児院育ちだからと言って仕事に就けないなんて事にはならない。

 私にも孤児院にも得はあっても損はない。

 だから、安心して海賊団の方達も家に就職してくれた訳だ。






 


 バハル船長と孤児院に顔を出そうと約束した日、孤児院にお土産を買っていこうと店をまわっていたら何故かバハル船長とジュフア様が口論しているところに遭遇した。

 そんな二人のそばにはお兄様と殿下もいた。

 何故見てるだけなの?

 私は慌てて止めに入ったけど喧嘩なんて止めてほしい。

 バハル船長に一緒に買い物に行くか聞いたら曖昧な返事だった。

 ああ、女の人を待たせているのだろう。

 私はバハル船長に喧嘩しないように釘を刺すとその場を離れながら昔の事を思い出していた。







 女の人が居ない船の上で何ヵ月も居ると性欲が抑えられなくなるとバハル船長に押し倒されたことがある。


『姫様が望むなら、姫様以外抱かないと誓うがどうする?』


 艶めかしく囁かれて怖いと思ったが、お父様つきの執事がバハル船長を取り押さえて助けてくれた。

 この執事、元暗殺者のため神出鬼没なの。


『バハル船長、私には婚約者が居ますしバハル船長を満足させる技術もありません。プロのお姉様達にお願いしてください』

『技術は男が実地で教えるもんだろ!』


 バハル船長は執事にお腹を蹴られてうずくまった。


『お嬢様、コイツを蹴り上げてもよろしいでしょうか?』

『すでに蹴った後じゃ………』

『………本気で蹴り上げてもよろしいでしょうか?』

『だ、駄目よ』

『………そうですか~』


 あまり表情を変えない執事の本当に残念そうな顔が今も忘れられない。

 





 気を取り直して買い物を再開させてお菓子のお店を覗いていると肩を叩かれた。

 振り返るとそこに居たのは殿下だった。


「どうしたんですか?」

「重そうだ。荷物持ちするぞ」

「………助かります………お兄様とジュフア様は?」

「君を探している」


 どうやら、私を探して三人は別行動していたらしい。

 

「殿下が一番ですね」

「一番の特典は?」

「はい。荷物持ちの権利が授与されます」


 殿下は深いため息をつくと苦笑いを浮かべて私が差し出した荷物を全て持ってくれた。


「………午後からバハル船長とデートなんだってな?」

「デートと言ってもバハル船長が育った孤児院にお土産を届けに行くだけですよ。まあ、子供達と遊んだりもしますけどね」

「………」

「殿下も行きます?」

「………関係ない俺なんかが行って良いのか?」

「じゃなかったら、誰がこの荷物を運ぶんです?」

「………だな」



 殿下は更に苦笑いを深くした。

 殿下はそのうち国王になるんだから、親の居ない子供について知っておいて欲しいと思ったのは内緒だ。

 

「ユリアスはよく行くのか?」

「マイガーさんの方がよく行ってますよ」

「マイガーが?」

「講師としてマナーを教えに行ってくれてます」

「………マナー?………あいつが?………大丈夫なのか?」


 私は取り敢えず笑っておいた。

 講師をしているマイガーさんは滅茶苦茶真面目で格好良いのだが、見た方が解るだろう。

 その後、お兄様とジュフア様と合流してから孤児院に向かったのだった

頑張ります。

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― 新着の感想 ―
王子様なのに荷物持ち笑
[一言] 命の恩人であり尚且つ惚れた女でもあるのに性欲に逆らえないとか猿かよ
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