俺の姫様 バハル目線
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苦手な方ごめんなさい。
うちの姫様が隣国の船に乗っていたのを回収した次の日。
街で、買った女と歩いていると肩を掴まれた。
振り返れば俺の肩を掴んだ鬼の形相の隣国の王子がそこにいた。
後ろから姫様の兄貴のローランドの旦那とうちの国の王子が見えて、俺はため息をつくと女に苦笑いを浮かべて見せた。
「わりーな。仕事の話しねぇーとだから宿に先に行っててくれ」
「早く来てねバハル」
「ああ」
女が先に行くのを見送って俺は三人に笑顔を向けた。
「何だ？俺になんか用か？」
「貴様！ユリアス嬢にプロポーズしたくせに他の女と一緒に居るとは何事か！」
「ああ、何だ。そんなことか」
俺がため息をもう一度吐くと、旦那に睨まれた。
「バハル、お前ユリアスにプロポーズしたのか？」
「糞侯爵と破談になったんだろ？姫様なら喜んで俺がもらってやんよ」
「誰がお前にやるか」
俺はニシシっと笑って言った。
「だろうな。けどよ、姫様が良いって言うなら俺は姫様を拐ってでも幸せにしてやるぜ」
「貴様！他の女とイチャイチャしておいて何を言っている！」
隣国の王子ウゼー。
俺はゆっくりと隣国の王子に言った。
「あんた王子だからって調子にのってんじゃねぇぞ。俺らはあんたらなんか微塵も恐かねえからよ」
「何だと！」
俺は旦那に笑いかけた。
「そろそろ行って良いか？女待たせてんだ」
「まあ、そう言うな。船は暫く出ないんだ。午後からでも遅くないだろ？」
「悪いな。午後からは姫様とデートだ」
「「「！」」」
旦那と隣国の王子の顔が見る見る怒りをあらわにする。
「これだから貴族のボンボンは」
「貴様！そこになおれ！叩ききってやる！」
「王子だからって調子にのってんじゃねぇって言っただろ？こちとら貴族のボンボンに負ける柔な作りしてねぇんだよ！」
俺が隣国の王子に殴りかかろうとしたのを止めたのは姫様だった。
「バハル船長！ジュフア様に何をするつもりなの？」
「姫様」
突然現れた姫様は隣国の王子の前に立つと腕を体の前で組んで俺を睨んだ。
「………悪かったよ」
「喧嘩なんかしないでね」
「……ああ」
姫様の細い腕に紙袋が４つ下がっているのが見えて俺は軽く頭をかいた。
「バハル船長に聞きたいことがあったの。子供達の人数なんだけど」
「今は18人だな」
「そう」
俺は孤児だ。
育ててもらった孤児院は財政難で俺らは金を集めるのに必死だった。
だが、孤児って人間に良い仕事は与えられない。
そのせいで俺達は海賊になったんだ。
人を殺せば、また孤児が増える。
だから殺しはやらない。
それが俺達のルールだった。
けど、一人の仲間がミスって俺らの半分が国に捕まった。
海賊は無条件で晒し首だ。
捕まった俺らは他の奴等が無事なら良いかって思ってた。
自分達は死ぬのだっと思ったその時姫様が現れた。
姫様は冷たい眼差しで俺達を見下ろすと小さな声で言った。
『貴方達、私の言うことをきける？』
逆らったら駄目だ。
その時、そこにいた全員がそう思った。
俺達が頷くと姫様は役人に向かって言った。
『うちの従業員だわ。迷惑をかけたわね。出してあげてくださらない？』
姫様の言葉に俺達は救われた。
そして、俺達は姫様のために本当の従業員になった。
しかも、姫様は孤児院まで面倒見てくれた。
『子供の時から、うちの従業員になる英才教育が出来るんだから安いものよ』
姫様の言葉に俺は笑ってしまったっけ。
そんなこんなで、俺は姫様には幸せになってほしいって思っていたんだ。
それなのに、婚約破棄だぁ？
俺が幸せにしたいって思って何が悪いんだ。
「私はまだ買い物があるけどバハル船長はどうする？買い物に付き合う？」
「あ、あぁ、その、野暮用で」
俺が視線を逸らすと、姫様はニコニコしながら言った。
「女物の香水をつけてくると、子供達にからかわれちゃうでしょ」
「………勿論、風呂入ってから行くよ」
「じゃあ、喧嘩しちゃダメよ」
姫様は俺だけを叱りつけると三人に頭を軽く下げて去っていった。
「姫様の方が理解がある」
思わず呟いた言葉にうちの国の王子が呆れたように言った。
「女を抱くのはユリアスのためって事か」
ああ、こいつも理解がある。
「三ヶ月禁欲生活してたから、たまってんだ。こんな状態で姫様と居たら襲うことしか頭に無くなる」
この三ヶ月の間に姫様を襲う妄想を何度したと思ってんだ。
「バハル。小遣いやるからさっさとヌイてこい」
「今日はもう無理ってぐらいヌクつもりだったのに止めたのはあんたらだろ？」
旦那が懐から金貨を出して渡してくれた。
くれるんなら遠慮なくもらっておこう。
「ユリアスに手を出すなよ」
「旦那、それは無理な相談だな。姫様が俺で良いって言ってくれんだったら、もう一度海賊に戻ってでも奪い取るさ」
王子二人が目を見開いたのが見えたが俺はそのまま宿屋に向かって歩き出したのだった。
スランプさんはいつまで滞在する気でしょうか？
