ジュフア様は良い人
もっと早く更新したい。
ごめんなさい。
ジュフア様に船のなかを案内してもらえることになった。
………なんと言うか、ジュフア様が私をチラチラ見ている。
聞けば隣国では婚約破棄された女性は結婚に物凄く苦労するらしい。
隣国では婚約破棄は女性に問題があると思われるらしい。
ジュフア様には私が物凄く可哀想に見えるのだろう。
「そ、その、何で婚約破棄なんかになってしまったんだ?」
ジュフア様は気まずそうに言った後に顔を青くした。
「言いたくないなら言わなくて良い!」
気になりすぎて聞いたけど、聞いたらまずい話だと思ったようだ。
「相手の男性にお前と結婚するつもりはないと言われ、浮気されましたので婚約破棄しました」
更に青くなるジュフア様が可哀想に見える。
「私にとっては結婚した後に浮気が解るよりはマシだったので気にしないでください」
「いや、だが」
「ジフ、気にしなくて大丈夫だ。ユリアス、君も面白がるな」
「殿下は私を何だと思ってるんですか?面白がってなんていません」
殿下にじっとりと睨まれた。
「なんなんですか?私が婚約破棄に何も思うところが無いとでも?私だって婚約者様がどんなにアホでも愛したいとは思っていたんですよ」
「えっ?」
本気で驚くって何だ?
「君は利益のためにラモールと婚約してたんじゃないのか?」
「一生一緒にいる決意をしたんですから愛したい〝とは〟思ってましたよ」
「………とは?………それって愛したいと思ってたけど愛せなかったって事じゃないのか?」
「気づいちゃいました?さすがにあの人アホ過ぎて………」
殿下は物凄いため息をついた。
「何で殿下がそんなこと気にしてるんですか?」
「君のためだと思って婚約破棄の手助けをしたのに愛してたなんて言われたら間違ったかと思うだろ?」
「殿下が私に協力してくれたのは自分が助かりたかったからでは?」
「それがほとんどだが、友人の助けになりたいと思って何が悪い?」
殿下の正直なところは好感が持てる。
私は思わず笑うと言った。
「殿下が協力してくれたので円滑に婚約破棄出来て助かりましたよ」
「………なら良いけどな……」
殿下が安堵の息を吐くと、ジュフア様はまた気まずそうに私をチラチラ見た後、何かを思い出したように近くの部屋に入って行った。
暫くすると、ジュフア様が大きなブルーの宝石のついたネックレスを持って出てきた。
「これをやる」
「えっ?何故?」
「……失礼な事を言ってしまった」
私は苦笑いを浮かべた。
「要りません」
「何故だ?お前は強欲なんだろ?」
「はい。強欲ですが、こんなに良いものをもらっても売れませんから」
殿下がまた、ため息をついていたが無視だ。
「………」
それを聞いたジュフア様はどうしたら良いのか解らなくなったのか、フリーズしてしまった。
「ユリアス、受け取ってあげたらどうなんだ?」
「ジュフア様が思っている以上にショックも何もないのに、それを受け取ったらショックを受けていると認めることになるでしょ?それは癪です」
ジュフア様が困ったような顔をした。
ちょっと可愛く見えてしまった。
「ジュフア様、私は小石の契約をしていただけた事が凄く嬉しかったので気にしないでください」
「だが」
「ジュフア様は女性が苦手なわりに紳士的ですね」
私がクスクス笑うとジュフア様の顔が少し赤みがかった。
あ、怒らせちゃったかな?
「その、なんだ……お前は我が国の何が見たい?」
「そうですね~………色々ありますが、そのジュフア様が着ている服もですがランフア様もムーラン様も素敵なドレスを着てらっしゃいましたよね」
「服か。よし、ついてこい」
ジュフア様は怒りをおさめてくれたのか隣国の服を見せてくれると言う。
ジュフア様、良い人だ。
「無自覚タラシか?」
「殿下?何か言いました?」
「君が末恐ろしく見えると言った」
「今に始まったことじゃないでしょ?」
「………まぁな」
殿下は少し納得いってない顔をしながら頷いたのだった。
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