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決意

短いです。

 お兄様にお姫様抱っこされて殿下達に連れてこられたのは殿下のお昼寝場所だった。


「何ここ!昼寝に最高じゃん!」

「マイガー、黙ってろ」


 殿下がマイガーさんを黙らせると私の方を見て困ったような顔をした。


「ユリアス、大丈夫か?」

「大丈夫です。お兄様、下ろしてもらっても良いですか?」

「………ああ」


 お兄様が私を下ろしてくれると、私はもれなく膝に力が入らないことが解った。

 ヘナヘナと座り込みそうになる私を背後から殿下が抱き止めてくれた。


「ユリアス!」

「おかしいですね……膝に力が入らない」

「無理をするな」


 殿下は、素早くマイガーさんが敷いてくれた大きいハンカチの上に私を座らせてくれた。

 しかも背後に座り、私の背もたれ替わりまでしてくれて申し訳無い。


「殿下、後で一発殴らせて下さい」

「恐いぞローランド、勘弁してくれ」

「兄弟、席代わって!俺がお嬢の人間椅子になるから」

「………マイガーよりはましか………殿下はそのまま、マイガー、殴らせろ」


 マイガーさんが青い顔で首を横に振った。

 

「皆さん、ありがとうございます」


 私がお礼を言うと三人が首をかしげた。

 

「皆さんが居てくれなかったら、私は……殴られていたかも……」

「俺、あんなやつにお嬢を殴らせたりしないよ」


 マイガーさんは私の目の前に座った。


「マイガーの言うとおりだ。僕だって大事な妹に手なんか上げさせるものか」

「安心しろ。皆、君の味方だ」


 マイガーさんの言葉も、お兄様の言葉も殿下の言葉も全部が嬉しかった。

 私は思わず目の前が揺らいだ。

 涙が溢れているのだと解ると嗚咽をあげて泣きじゃくってしまった。

 殿下が背後から私のお腹に手をまわしてギュッと抱き締めてくれた。


「殿下、どさくさに紛れて何してる」

「………ローランド、見ての通り慰めている」

「………今だけです。次は殺します」

「目がすでに殺したくて仕方がないと言ってるぞ」

「殺したくて仕方がない。ですが、ユリアスの方が大事なので今は我慢します」


 私はお兄様に泣き顔のまま言った。


「お兄…様……大好き」

「ああ、僕もだ」

「お嬢!俺は?」

「マイガー……さん……好き」

「大好きじゃないのかよ~」


 私はお腹にまわった殿下の手に自分の手を重ねると言った。


「殿下……」

「ああ」

「信頼しています」

「最高の言葉だな」


 殿下は私の背中に額を押し付けてそう呟いた。


「皆さん……私、婚約破棄します!協力してくれますか?」


 マイガーさんは悪戯っ子のような笑顔で頷き、お兄様は呆れたように頷いてくれた。

 私の背後に居る殿下は私の耳元で小さく呟いた。


「当たり前だ。慰謝料ぶん捕ってやろう」

「はい。搾り取って……やります!」


 私は溢れる涙をぬぐうと笑顔を作ったのだった。



スランプしんどい。

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