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マニカ様と友達になりたい

新キャラです。

〝ユリアス様と殿下は禁断の恋をしている〟

 最近良く聞く噂です。

 どうやら、お昼寝事件でお兄様が怒鳴っていたのを誰かに聞かれてしまったようです。

 貴族棟の皆さんは私は殿下に不釣り合いだと陰口を叩く者と、私と殿下はお似合いだと言う者にわかれた。

 お似合いと言われても困る。

 庶民棟の皆さんは全面的に応援ムード。

 勘弁して欲しい。

 

「お兄様のせいです」

「殿下のせいだ」

「……すまなかった」


 三人でいつもの木の陰でそんな話をしながらバナッシュさんと婚約者様のイチャイチャを観察する。

 お兄様に怒られてからの私達三人の日課だ。

 

「っにしても、この噂は痛いな」


 お兄様は私の頭を撫でながら呟いた。

 殿下も渋い顔をしている。


「殿下がユリアスに腕枕なんてして寝てるのが悪いんですよ!」

「ローランド、どうやってそうなったのか解らないから許して欲しい」

「尚更、問題ありだと解らないのか?」


 腕枕?

 初耳なんですけど?

 私がキョトンとするとお兄様の手が私の頭を乱暴に撫でてくるので、もう髪の毛がぐちゃぐちゃだ。


「むこうは、この噂を盾にしてくるだろうな」


 殿下の呟きに私はお兄様に撫で撫でされながら言った。


「何を怯える必要があるんです?」

「「ユリアス?」」


 ハモるとは殿下とお兄様は仲良しですね。


「証拠があるんですか?」

「「証拠?」」


 本当に仲良しだな。


「ただの噂と私の持っているバナッシュさん達のイチャイチャ記録どっちの信憑性が高いか?………解るでしょ?」

「「ああ!」」


 二人の仲良し具合についつい笑ってしまったのは許して欲しい。


「むしろ噂だけならおおいに結構。彼方が私を負かせると思っていれば思っているほど私には有利と言うもの」


 私がクスクス笑うと殿下は恐ろしい者を見るような目で私を見た。

 失礼だ。


「本当にユリアスが敵じゃなくて良かったよ」


 殿下の呟きがやけに大きく聞こえた。







 学食に行くと婚約者様とは別の侯爵家のご令嬢とその取り巻きに声をかけられた。


「貴女がノッガー伯爵家のご令嬢かしら?」

「はいノッガー伯爵家長女ユリアスともうします」

「私はパルプール侯爵家の三女マニカよ!」


 取り巻きが名のるのは割愛させてほしい。


「単刀直入に言うわ!殿下と恋仲なんですの?」

「いいえ」

「………嘘ね!」

「いいえ、嘘ではございません」


 マニカ様は私を見ながら首をかしげた。

 なんだ?何気に可愛いなこの人。


「殿下と私は友人です。マニカ様のように可愛らしく身分も相応しい人が殿下にはお似合いだと思います」

「い、いえ、私は別に殿下が好きなわけでは……」


 何だか歯切れの悪くなってきたマニカ様に私は首をかしげて言った。


「では別に好きな殿方が?」

「そ、それは……」

 

 マニカ様は顔を赤らめてオタオタしだした。

 か、可愛い!

 真っ赤な髪の毛がフワフワな上にウエーブをえがいていて撫でまわしたくなる。

 赤茶色の瞳は何だかウルウルしていて小動物のようだ。

 可愛い~頭撫でたい~。

 私が密かに萌えていると呆れ顔の殿下と目があった。


「あ、殿下」

「君はローランドそっくりだな」

「お兄様に?」

「頭撫でたいって思ったろ」

「何故それを!」

「小動物や君を見たときのローランドと同じ顔してた」


 お兄様と同じ顔って……


「何を考えていた?」

「いえいえ、殿下とお兄様が仲良しすぎて一本そっち系のお話を誰かに書かせようかと」

「それだけは止めてくれ」


 殿下の顔色が悪い。

 売れそうなんだけど。

 視線をマニカ様にうつすと何故か驚いた顔で私を見ていた。

 

「マニカは俺の幼馴染みだ」

「知ってます。お兄様がたまに話してくれますから」

「そうか……」


 殿下がマニカ様に視線をうつした時後ろからお兄様が来たのが見えた。


「まだ座ってないのか?………ごきげんようマニカ様」

「ご、ごきげんよう。ろ、ローランド様」


 お兄様の登場にマニカ様の顔が赤く染まった。

 ああ!マニカ様はお兄様が好きなんだ!

 これ、小説にしたら………


「う、売れる」


 私が思わず呟いた言葉に殿下がため息をついたのが解った。


「私の心を読むのは止めて下さい」

「読んだんじゃなくて駄々漏れていただけだと思う」


 マニカ様は私の制服のスカートをきゅっと掴むと上目使いで私を見上げた。


「や、やっぱり殿下とお付き合いなさってるんじゃないんですの?」

「付き合ってません!ご安心を」


 ………?お兄様が好きなのに殿下とのお付き合いを気にするって何だろ?

 黙ってしまったマニカ様の頭を撫で撫でして私は笑顔を作った。


「マニカ様の髪の毛は柔らかくてとっても素敵ですね。今度髪飾りをプレゼントしても宜しいですか?」


 私が思わず言った言葉を聞くと殿下が吹き出した。

 マニカ様は顔を真っ赤に染めていた。


「何笑ってるんです?」


 お兄様に助けを求めようと見ると気まずそうに苦笑いを浮かべていた。

 なんなんだ?


「ユリアス、君は女性だろ?」

「男性に見えますか?」


 言っとくが男性に間違えられたことなんて一度もない。

 胸だってある方だ。


「女性にしか見えないが、ローランドと全く同じことを言うから疑いたくなった」


 お兄様に視線を戻すと気まずそうだ。


「可愛らしい方にプレゼントしたいと思うのは悪いことですか?」

「君に関して言わせてもらえるなら、何をたくらんでる?って疑いたくなるのは否めない」


 私は軽く舌打ちをした。


「俺の幼馴染みだ」

「殿下、営業妨害ですか?あの女の前につき出しますよ」


 殿下の顔色が悪くなった。

 私はマニカ様に笑顔をむけて言った。


「申し訳ありません。お詫びに殿下がフルコーディネートをプレゼントしてくださるので安心してください」

「な、何を安心?………」


 その瞬間、マニカ様が怯えたように私から離れた。

 そこにお兄様が困ったような顔でマニカ様に近付いた。


「マニカ様、妹が申し訳ない。殿下ではなく僕がお詫びを致します」

「ろ、ローランド様」

「怯えずとも大丈夫です。妹には僕から言っておきますから」


 気が付かなかったが、私が怯えさせたみたいだ。

 私は慌てて頭を下げた。


「マニカ様、ごめんなさい。マニカ様がうちの商品を身に付けてくださったらどんなに素敵かと思ったのですが、興奮して怯えさせてしまいましたね。本当にごめんなさい」


 マニカ様は侯爵。

 マニカ様がうちの商品を身に付けてパーティーやお茶会に出てくれたら、うちの商品が売れる気がしたのだがもう少し仲良くなってからじゃないとダメだったか。


「だ、大丈夫ですわ。頭を上げてください」


 マニカ様は優しくて可愛らしい人だ。

 私はマニカ様と仲良くなろうと密かに企んだのだった。

長くなりそうなので次に続きます。

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