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転校生は主人公?

本日二回目更新です。

 高等学園に通いだして二年に上がった時に転校生が来た。

 庶民あがりの伯爵令嬢。 

 私と同じ伯爵令嬢で、ウエーブがかったロングの金髪にクリクリの青い瞳の小柄な令嬢に私は少し引っ掛かった。

 何処かで見た事があるような気がしたのだ。

 彼女の名前はジュリー バナッシュ。

 可愛らしい見た目とぴったりの可愛らしい人で、私の婚約者は直ぐに彼女に恋をしてしまったのだ。


「僕は君とは結婚しない」


 わざわざ私を呼び出して彼が言った言葉に私は驚いてしまった。


「絶対に婚約破棄してやるからな!解ったか!」

「はぁ、了承しました」


 こいつ、本当にアホだ。

 私のその時の感想です。

 だって、こいつの家の侯爵家って我が家に支度金寄越せって毎月定期的に金を要求してきているんだ。

 あのお金、取り戻さないと。

 次に思ったのはこれでした。


「ジュリーに嫌がらせとかするなよ!」


 えっ?しないよ?ってか苛めて欲しいのか?

 望まれても無理だ。

 それをしたら、いくらくれるんだ?

 婚約者様はそれだけ言い残してさって行った。

 

「婚約破棄、出来るものならどうぞご自由に」


 私は婚約者様の後ろ姿に向かって小さく笑って呟いていた。





 ジュリー バナッシュを見たことがある気がしたのが何故だかが解った。


「この主人公、バナッシュさんにそっくり」


 私は一冊の庶民向け恋愛小説を手に呟いた。

『ドキドキ、貴族になっても頑張っちゃうもんね!』は私がある人に書いてもらっている作品で、その主人公にバナッシュさんが似ていたのだ。


「お嬢様?何かおっしゃいましたか?」

「いえ、マチルダさん」

「では、続きなのですが」


 このマチルダさんは65歳にもかかわらず、この『ドキドキ、貴族になっても頑張っちゃうもんね!』を書いている作者である。

 彼女は数年前までこの国の王子殿下の乳母をしていた人である。


「うちの王子でしたら、薔薇園の植え込みの影でお昼寝ですかしら?」

「せめて近くの東屋でお昼寝にしましょう!庶民の皆様に夢をあたえなくては!」

 

 このふざけた題名の小説のあらすじは、庶民として生活していた主人公が伯爵様の隠し子だと解り引き取られ高等学園に転校して素敵な貴族の男性達と恋をしていく話だ。

 この小説が庶民向けな理由がある。

 

「王子はそんな目立つ所でお昼寝はしませんわ」


 マチルダさんが口を尖らせた。

 可愛らしい人だ。

 

「でも、貴族が読んだらこれが私たちの国の王子殿下だと直ぐにバレてしまいますから少しだけでも変えなくては………」

「王子もお嬢様の婚約者様もお嬢様のお兄様も皆様そっくりに書けているでしょ?」

「ええ、名前が違うだけのようです」


 そう、この小説は登場人物のほとんどにモデルがいてそのモデルに忠実に書いているのだ。

 貴族の間で実話だと思われたら困る。

 だから、庶民向けなのだ。

 マチルダさんは王子の乳母をやっていたので王子と同年代の有力貴族に詳しい。

 兄や、婚約者様も例外ではない。

 私はその時、嫌な予感がしていた。

 だって、今の学園ってこの小説の舞台に凄く似ている気がしたからだ。

 私はぬぐいきれない不安を抱えながらマチルダさんと打ち合わせを続けるのだった。


転生ものではありません。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] > お昼寝ですかしら ですかしらってすごく違和感のある言葉。 お昼寝かしらでは駄目だったのだろうか。
[一言] 「書いてもらっている」「続き」ということは、その小説は書きかけってことですよね? 書きかけの小説の内容が現実化している、ってこと? 言ってる意味がわからない・・・。
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