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親父に会いに… マイガー目線

何度もウトウトして何度も本文消してしまった……

 俺のお袋は庶民だ。

 庶民から王宮の下働きとして召し上がった時、バンシーの血を受け継いでいると有名になったらしい。

 バンシーは主の死を知らせる妖精だが、働き者の主のために子育てを手伝ってくれる妖精とも言われていた。

 バンシーのその伝説のせいでお袋は王妃様付きの侍女になった。

 そこで、親父に会ったのだ。

 親父はお袋に惚れ、嫁にめとった。

 お妃様の出産とお袋の出産が近かったためお袋は乳母に選ばれた。

 俺は寂しい思いもしたがグレずに成長した。

 俺は王子付きの執事になるように教育をうけていたが馴染めなかった。

 周りのやつらからはバカにされ上のやつからは暴力をふるわれた。

 もう、たえられないと思っていた。

 そこに颯爽と現れたのがお嬢だった。

 凛とした佇まいに俺は見とれた。

 俺は執事になれない、お嬢の店で働くと言ったらお袋は付いてくると言った。

 親父はお袋を溺愛していたしお袋も親父が大好きだったがお袋は貴族の暮らしに馴染めなかったのだ。

 お袋と俺はあの家を出た。

 お袋は離縁状を置いてきたけど親父はそれを国に提出するわけがないと、俺はお袋に口に出して言わなかった。




 親父はたまに俺に手紙で連絡をよこす。

 俺がちゃんとやっていけているか?とかお袋はどうか?とか心配らしい………八割お袋の事だけどね。

 そんなある日、親父が俺を呼び出した。

 はじめての事だったから俺も慌てて休みをもらって親父に会いに城に向かった。


「よくきたな」

「呼ぶなんて珍しいじゃん」

「………お前に頼みがある」


 親父が俺を頼るのは珍しい。


「何?」

「………殿下の護衛をしてほしい」

「嫌だ!」

「何故?」

「うちのお嬢は利益にならない事が嫌いだ。俺はお嬢に嫌われてクビになるなんて嫌だ」


 親父はお袋の書いている小説を机から取り出すと、今王子におきている事を説明してくれた。

 

「ああ、店を出禁になった女か」

「出禁?」

「そう。このままあの店に居たら俺はお嬢に殴られるようになるって店で騒いだ女が居たんだ。たぶんその女が親父が言ってた女」


 親父が心配そうに顔をしかめた。


「言っとくけど、お嬢は誰であろうと殴ったりしないよ。むしろ殴られたいって言ったら〝嫌だドM〟って嫌がられるし」

「………色々突っ込んで聞きたいんだが」

「気にしなくてもお嬢にしか殴られたいって思わないから」

「い、いや………」


 俺はお嬢にだったら殴られても蹴られてもいいと、思っている。

 所詮、武術の心得のないお嬢に殴られたり蹴られたりしても死ぬことはない。

 お嬢は暴力ってやつが嫌いだ。

 昔、婚約者に殴られたことがあるらしい。

 すごく小さい時にお嬢の兄と婚約者が殴り合いの喧嘩をしていて仲裁に入って、たまたま当たってしまったらしいけどその時から自分は暴力なんて絶対にふるわないと決めたんだって教えてもらった。

 俺が殴って欲しいってお願いしたら渋々教えてくれた話でお嬢は今まで誰にもその事を言ってなかったらしい。

 俺の宝物の話だ。

 

「………ユリアス嬢が良いと言えば殿下の護衛をするか?」

「お嬢の命令なら何でもするよ」


 親父は机からお嬢の字で書かれた手紙を差し出した。


『マイガーさんへ

 マイガーさんが学園に通い王子殿下の護衛をするように要請されています。

 貴方が居ないと売り上げに響くから嫌だと言ったのだけど、貴方のお父様が損害分のお金を払ってくださると言うの。

 私は考えました。

 貴方の学歴がうちに及ぼす効果を。

 よって、貴方のお父様の要請をうけることにしました。

 異論があればレポートにして提出してください。

 納得できる内容であれば考えます。

 ご検討ください。

 ユリアスより』

 

 お嬢らしい手紙に吹き出してしまった。

 親父は首をかしげた。


「お嬢が親父の言う通りにしろって」

「では、うけてくれるか」

「宰相閣下の仰せのままに」


 俺はヒラヒラと手をふって親父の執務室を後にした。

 勉強も護衛も嫌だけど、お嬢と少しでも一緒にいられる時間が増えるのは嬉しい。

 俺はウキウキした気分で城を後にするのだった。

疲れているようです

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