英雄志望とその下僕
これからビルクリアに向かいます
第四の旅「出発」
僕らはドグに言われた通り、一時間以内に支度をし、王国の門前までたどり着いた。そこではドグが瑛君達が逃げた要因であろうと思われる三人の兵士を叱っていた。
どうやら昨日何故か持ち場を離れ記憶がないのだという。やっぱりここの兵士は大丈夫じゃなかったようだ。
それにしても、怖い見た目だからボコボコにして表を歩けない程の見た目にするのかと思えば、ドグは優しく兵士をなだめていた。何度も思うが、これまで彼は見た目でどれだけ損をしてきたのだろう。
「よし、こっちの要件は済んだ。全員集まってるな」
周りを見ると、ワンさんにドグ、チェックさんに僕らの計五名、ちゃんと揃っている。
「長旅になることは確かだ。服とかは自分で用意しろよ。セイとアイはちゃんとメイドから貰ってんだよな」
僕はポーチの中のカプセルセットを見てみると、ちゃんと道具の一式は入ったいた。しかしこんな物があるなんて超便利だ。
「あります」
「わ、私も!」
明日見さんが慌ててカプセルセットをしまおうとしたために、落としそうになり空中にまうカプセルセットと共にあたふたしていた。良いではないか。
「おいおいアイ、どん臭いぞぉ。このチェック様のように、アァスマートにぃ!アァエクセレントにいかなきゃあなぁ。そんなんじゃこの世を救いし偉大な英雄にはなれないぞ。ハッハッハッハ!」
(何だろう、この人。昨日のパレードやさっきはかっこいい人だなって思ったけど。もしかしてもしかしなくても、痛い人かもしれない)
「す、すみません。どうすればチェック様のようになれるのでしょうか!」
(え、明日見さん本当に様付けするの?さっきさん呼びだったよね、あれ、てかノリノリなんだけど)
「ほう、良い質問だアイ君。流石は我が下僕。良いか、我らはこれより、魔王に囚われし世界を解放するべく、旅を始める。英雄とはかっこよく、そして華やかに全ての民を救っていくのだ!」
「おぉ、なるほどです。私これからも頑張りますね!」
(いや待てよ、いつからそんな設定できてんのさ。下僕って正義の味方が使う言葉じゃないでしょ…。てか、チェックさんそれ、木箱に片足乗っけて話すの小物感半端ないんだけど)
「おぉ、君は俺の良き理解者だアイ君。さぁ、俺と共に英雄になろうではないか!」
「はい、チェック様!」
「そろそろ黙れ天然馬鹿共が」
二人で同じ格好をしながら太陽を指さす二人の後頭部を、ドグが軽く殴った。
「いってぇ!」
「あうっ!」
軽かった筈なのに、二人ともその一撃で伸びている。明日見さんはともかく、チェックさんは大丈夫だろうか。
「良いか、時間がねぇんだよ。ごっこも程々にしろ。まず魔王なんて存在しねぇわ。おら行くぞ」
ドグが二人を引きずり門の方へ歩いていく。その姿はまるで保護者のようだった。
「チェックは相変わらずだけど、アイも中々ですねぇ」
ワンはチェックが演説用に勝手に動かした木箱を元に戻す。
「ずっとチェックさんってあんな感じなんですか?」
「そうですね、彼はいつも真っ直ぐで正義感に溢れているんです。だからこそ英雄を目指すんでしょう」
「英雄…」
「まぁアイがあんなにノリノリになってしまうとは思いませんでしたけどね」
「あはは、明日見さん、ちょっと天然だから…」
「そうみたいですね。でも、チェックも楽しそうなので何よりです」
「いやー、うーん、、そうかもしれませんね」
「さぁ、私達も行きましょう」
「はい、置いてかれないようにしないと」
僕らは三人?でズカズカと外へ出て行く彼らを追って、門の外へと急ぐ。
今、僕らの冒険が、始まるんだ。
自分はチェック様好きですよ。こんなキャラも一人いて欲しいので




