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(旧)レターパッド  作者: センター失敗した受験生
第三章 タテノツキ・フェスタ編
26/63

早く行きましょう!

ついにファスタの始まりですね

お祭り騒ぎや街の描写などの書き方はこれっぽっちも上手くなくて、本当に悩まされた部分です

これを失敗として、次につなげていきたいですね

第八の旅「フェスタ開催!!」


「後少しですね」


 レイスは隣でウキウキと体を動かしている。


「まぁもう既にどこの区も盛り上がってるだろうがな」

 フェスタ自体の始まりは十二時のドルジバの言葉により始まることになっている。それまで後一分だ。


「まだですかね、まだですかね」

「うるせぇよ黙ってろ。もうじきだからそわそわすんなよ」

「だって外に出られるのですよ!そわそわしないなんて不可能です」

「まぁ、確かにそうなのかもなぁ」

「あ、見てくだい!」

「ん?」


 時計の針が十二時を知らせた。


 演説の始まりだ。




 皆の衆、今日はこの王都タテノツキにとって意味のある一日だ


 パルナの力で国全体に声を響かせている。


 そしてこの時間は、この国の民である皆が、自分の意味を見つける時間であって欲しいと思っている


 日頃の忙しさに生き方を見失うのではなく、今日だけは気ままに生き、愛する者や家族、そして友と過ごしたり、一人の時間を奧深いものにして欲しい

どんな形であれ生けし者は独りではなく、誰かと共にあることを、皆が交わし合うこの空間で改めて心に残してもらいたいのだ


 後のことは皆分かっているはずであろうが、あえて言おう


 二百周年記念など関係無しに、精一杯にこの時を


 楽しむのだ




 演説の終わりと共に都中で大歓声が行き渡った。


「ドグ!早く行きましょう行きましょう!お店はもう沢山開いていますよ!」

「分かったから落ち着けって、闘技区だけは行けないからな」

「もう、分かってますよ。だからこれから市場区に行くのでしょう?」

「物分かりが良くなったもんだな」

「その通りです」


 二人は市場区を歩きながらいくらか食べ歩きをした。箸に巻かれた美味しい物やじゃがいもを細く切り揚げた物等、レイスは日頃食べられない物を沢山食べた。


 ドグは一々あと一味が〜と言って評論家のようだった。確かにドグが作る料理の方が数倍も美味しいが、この味もレイスは大好きだった。


 それにしても民が大勢いる。勿論見た事ない者ばかりだが、皆自分の夢を支えてくれる者なのだとレイスは信じて疑わなかった。


 エメが言ったように、そして自分が思うように。


「レイス、やけに目をキラキラさせてんな」

「ふふふ、だってこんなにも素晴らしい世界を目の当たりにできているんですよ?」

「やけに褒めちぎるんだな」

「駄目でしょうか?」

「いやぁ、良いと思うぜ」


 ドグは改めて市場区の賑わった風景を眺めてみた。笑い合う人々、食べ物の出来上がる良い香り、親子で買い物をして駄々をこねる子供。


「これ買ってよおおお」

「もうリン、あなたもう七歳でしょう?我慢しなさい」

「ほら、リン落ち着けよ」

「ディーナお兄ちゃんはうるさい!」

「え、えぇ…」


 確かに平和だ。


「ね?ドグもそう思うでしょう?」

「まぁな、今日一日は何時もより好きになれそうだ」

「ふふ、それは良かったです。あ、ドグ!あれを見てください!」

「んぁ?」

レイスの指さした方には奇妙な格好をしたピエロがいた。

「ピエロか、祭りのレギュラーだな」

「…」

「おい、せっかく見てやってんだから感想を言えよ」

「…」

「レイス?」


 返事のないレイスの方向を見ると、彼女はもうその場にはいなかった。


「…は?」


 一匹の犬は、ただぽつりと、ざわめきに立ち尽くしていた。


第九の旅「鳥が舞えば、光も踊る」


「にしてもアキラ、珍しいもん付けてるな」

「珍しいもの?」


 瑛達は荷馬車に乗りながらダスと話をしていた。


「その目玉の前にある二つの…なんつーのかな」

「…?まさか眼鏡のことか?」

「おぉ、そりゃあメガネって言うのか。何か意味があんのかい?」


(ふむ、この世界には眼鏡は存在しないのか。ということは皆視力は悪くないと)

 瑛はこの世界の住人が少し羨ましくなった。


「これは視力を調整するものだ、視界が段々ぼやけてくると皆こういうものを付けて見える世界を綺麗なものにする」

「ほぉ〜、グラスのパルナを使わずに視力を戻せるのか…」

「ま、またパルナですか」

「…グラス?パルナ?前々から思っていたのだがパルナとは一体何なんだ?」


 その言葉を言うとダスの口はあんぐりとしてしまった。


「お前さんたち、パルナを知らねぇのか?」

「すまない、田舎の出だと思ってくれ」


(い、田舎の出だけで通じるのかな…?)


「あぁ、何だそういうことかよ。確かに見慣れない衣装だしなぁ。民族衣装ってやつか」

「すまないな、素性を言い忘れていたよ」

「いやいや、俺もタテノツキ生まれで感覚が麻痺してたってこった。良いぜ、説明してやるよ」


(通じるんだ…。流石に瑛君は違和感を見せないな)

 ダスはパルナについて詳しく教えてくれた。


「なるほど、そんな夢物語が実在するという訳だな」

「そのグラスさんって人もパルナを持っているんですね」

「そういうこったな」

「で、でも何だか怖いね。もし悪い人がその力に目覚めちゃったりしたら」


 確かに明日見さんの言い分もよく分かる。世の中は良い人間だけではないというのがありのままの事実だ。


「まぁ、その力を恐れてる奴もいるけどよ。もしパルナを悪用するような輩がいれば、我らが王国最強騎士団であるエースがどうにかしてくれるさ」

「エース…とは一体何だ?人なのか?」

「あぁー、エースってのはな、パルナを持っている奴のみで構成された特殊部隊だ。ヒトがこの王国を仕切っているから必然とメンバーはヒトのみではあるが、そんな種族差別も跳ね除けるぐらいの圧倒的な強さでよ。そいつらの内たった一人でも戦地へ駆けつければ、戦局が変わるって聞くぜ」

「全員が発動者で構成されているのか」

「そんなに強い人達なんですね!」


 二人は興味津々な眼差しをしている。


「一つ疑問なんですが、どうやって部隊を構成できる程の人材を集めたんですか?」

「うーん、それには色々と噂があってよ」

「噂?」

「雲行きが怪しそうだな」

「噂話は嫌いじゃないです!」

「明日見、そうじゃないから馬鹿なことを言うな」

「はい…」


 明日見さんは少しシュンとした。彼の真面目さというのは困りものだ。


「それがよ、国が強制的にパルナの素質を持った奴らや発動者を保護を謳って拘束するってやつだ」

「国の選択としては間違ってはないかもしれないな…。危険な能力が無い事もないのだろう」

「保護されることは確かに安全なんだけどよ。パルナってのは基本何故か十七、八とかで発動するらしいんだ。そのくらいなら巣立ちの時期だから分からなくもねぇ。でもよ、もっと若くして発動しちまった奴らはその歳で強制的に村の仲間や家族と離れ離れにされちまう。これが真実なら非人道的だってことで輩が騒ぎ立てたんだよ」

「手遅れになる前の対処としては仕方のない事と割り切るべきか」

「僕らがその立場になった時の気持ちを考えるべきか」

「どんな方法が正しいとも言えないな」


 人は家族とともにあるべきだ。どんな生物だってそうであるはずだ。確かに例外もそこそこ見るけど、家族と引き裂かれるのはどんな理由があっても辛いだろう。


「その通り、だから国は一番被害の少なくなる方法を取るしかないのさ」

「でも、どうして保護された人達が軍隊なんかに入ってるのかな?」

「確かに、明日見の考えだと保護するだけのはず、これじゃあまるで戦力収集だな」

「メンバーは全員志願者って事にされてるらしいが、実際問題はどうなんだろうなぁ」


(この世界も色々と事情を抱えているということか…。少し興味がわいてきたな)


「そんな部隊がいるという事は、現時点で戦争が起こっているのか?」

「物騒な考えだなアキラ。でもまぁ、正解だ」

「嫌な考えが当たった訳だ」

「ど、どういうことなの?瑛君」

「僕もついていけてないよ…」


 明日見さんはアワアワとしながらまだご飯を食べていた。


「そんなガチガチに固めた特殊部隊があるなんて、そういう事しか考えられないだろう?まだ活発化はしていないようだが」

「なるほど」

「そうだな、まだ火がつきかけてる位らしい。まぁこの王都タテノツキ辺りに攻めてくるんなんてこたぁありまいよ」

「…なぜそう言いきれる?」

「簡単だ、エースがいる」

「浅はかな希望だな」


 瑛君は少しウンザリとした顔をしていた。


 それからいくらか時間が経ち、明日見さんがウキウキしたトーンで叫ぶ。

「ねえねえ!あれ!もうすぐ着くんじゃないかな!」

 明日見さんが指を指した先にはこの都の入口のような場所が見えた。城壁に囲まれているから一層目立って分かり易い。


「おぉ!あれだよあれ!ほら、お前さんら地図を見ときな。どんな構造になってるかぐらいは見ておいた方が良い」

「ありがとうございます、ほら瑛君と明日見さんも見ようよ」

「あぁ」

「うわー!こういうの何ていうのかな!」

「正に円形って感じだね」

「四つの地区に分かれ中心に城がある形か」

「その通り、これからあるフェスタってのはどこの地区でも盛り上がる一大イベントってことさ」

「まだ始まっていないのか?」

「あぁ、もうじきだな。後少しで着きそうだから、荷物の近くに隠れとけよ。ここの門番よそ者は嫌いでな」

「分かりました」

「み、見つかったらどうなっちゃうんだろう…」

「身ぐるみ剥がされて十字張りとかな」

「じゅ、十字張り!?」


 そこまで怖がらなくてもいいだろう事に、明日見さんは全力で樽酒の後ろへと隠れた。


「は、早く二人共!見つかったらししし死んじゃうにょ!」

噛んだ。明日見さんはどうやら慌てると噛んでしまうらしい。

「分かったよ、すぐに隠れるから落ち着いて」

「慌ただしい奴だな」

「ほぉら、もう着くぞぉ」


 入口でダスは門番と軽い世間話をし、都の中へ僕らと共に荷馬車を入れた。やけに門番は楽しそうだった。


「やはり今日は何かあるのか?」

「へへ、ほら見てみろよ。夢の一時だ」


 顔を出して外を見てみると。西洋を模したような町並みに、そこを様々な種族が賑わい歓声を上げていた。


 音楽を奏でるミュージシャンに合わせ、旅芸人達が歌い踊る。空を様々な色をまとう透き通った鳥が、仕込まれたのであろう美しい陣形で、飛空艇から振り落ちてくる数多くの球体を割っていくことで、そこから光が溢れだし鮮やかに都を彩っていた。


「綺麗…」

「出し物の一つか」

「こんな事ができるなんて…」


 ただひたすらにその景色が僕らにとっては美しかった。確かに夜のお祭りなどの雰囲気も捨てたもんじゃない。だがこれはそんな華やかさとはまた違ったもので、新鮮さが上回ったのだろう。


「どうだぁ?良いもんだろ。フェスタの始まりだ」


 ダスは僕らにニヤリと笑った。

王様であるドルジバはもう少し後でお出でになります

ファスタの夜の描写はもう少し上手くしたい

祭りの雰囲気はやはり暗くなってからが本番ですからね

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