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(旧)レターパッド  作者: センター失敗した受験生
第三章 タテノツキ・フェスタ編
24/63

クソジジイ様

前間違えてこれと思って前書きとか書いてたことがあります

第五の旅「人生は短いんじゃ」


 朝の何やかんやを済ませると、隼人と水希は昨日とは違う部屋へとピンピに連れてこられた。


「ピンピさん、今からどこに?」

「昨日とは違う道っすね」

「二人ともいつまでそのクタクタの洋服着てるつもりなのさ?」

「あ…」

「なるほど、そういうことっすか」

 水希は恥ずかしそうに少しうつむいた。


 付いて来たその先にはそこらのとは違う模様の入った扉があった。

ピンピがドアをノックする。


「失礼します長老様、二人を連れてきました」

 返事がない。


「分かりました、では入らせていただきます」


(え?え?何か言ってたっけ?)


 招かれ、流れで入るとそこは丸く小さい部屋であり、壁や床は一面藁のようなもので出来ていた。目の前には大きなソファがあり、そこに小さな老人が一人ちょこんと座っている。ヒゲが白く長い。目はあるのだろうか。頭は更地だった。


「そこに座りな二人共」

 ピンピに指示された通り老人の目の前の床に座る。


「長老様、彼らが」

「分かっておる」


「えっ」

 私は思わず声が出てしまった。分かっている?隼人の方を見てみても退屈そうな目をしている。


「ワシの名前はジョーニー・デップップじゃ」


 何だか聞いたことのある名前だ。


「よ、宜しくお願いしますジョーニーさん」

「嘘じゃ」

「へ?」

「本当の名前はアメロバロベじゃ」

「アメロバロベ…さん?本名ですか?」

「うむ、嘘じゃ」

 水希は必死にこみ上げてくる苛立ちをピンピに目で訴えたがなだめられるだけだった。


「ほほほ、そっちの小娘は反応が面白いのう。それに比べ、お前さんはヤングワードで大人気のクソガキとか言う奴か?」

 老人は隼人の方を向いてそう言葉を放った。


「は?いや、俺別にクソガキでもないっすけど、というかずっとお爺さんが話してるから、それを聞いていただけっすよね」

「はぁ、冷めとるやつじゃのう…。お主ら歳はいくつじゃ?」

「十七っす」

「私も、十七歳です」

「のぉクソガキ、人生は短いんじゃ。その若さでその生き方は早すぎるんじゃあないかのう?」

「言ってる意味がよく分かんないですよお爺さん。変なカマかけで虐めないでやってください」

 隼人はいつもの笑顔で言葉を返した。


 水希は二人の会話の意味が良くわからなかった。隼人は普通に歳なりな生き方だと思うのだが。

 

「まぁよい、お主ら名は何と言う」

「あ、名前ですか?えっと、風咲 水希です。よろしくお願いします」

「雷陣 隼人でーす」

「ふむ、フウザキにライジン。変わった名前じゃのう。呼びにくいからミズキとクソガキで良いか?」

「はい、名は水希なので、そちらで呼んでいただいて構いません」

「おい待てお爺さん、俺それ四文字で変わってねーだろ」

「ほほほ、名がミズキというのか」

「はい、そうですけど…何か変でした?」

「俺は隼人っていいます。隼人ね」

「いや、何の問題もない」


(確定じゃな)


「なるほど、ワシはお主ら二人をこのライプへと歓迎しよう。どうせ行き場もないと見えるからのう。一段落つくまではここでゆっくりしていきなさい」

「ありがとうございます」

「え、無視っすか?俺完全に無視っすか?もうクソジジイって呼んでいいっすか?」


 流石に笑顔が崩れかけている。


「もう、隼人!折角ここにいても良いっておっしゃってくれてるんだから、そういう事言わないで」

「もう俺こいつら嫌なんだけど」

「ほほほ、ミズキちゃんは優しいのう。どれ、ワシと今夜ベッドにでもごっふぇあ!!」


 その瞬間、尋常でない速度でピンピが老人の腹部へと一撃をかました。


「うがっ、うぐ、死ぬ、これは死ぬ。寿命死ぬ」

 老人はソファの上で丸くなり、青ざめた顔で必死に生を求めている。

「お客様をからかうのも大概にしてくださいクソジジイ様」

 ピンピは満面の笑みを浮かべて言った。


「あ、あれ?ワシ長老様じゃ…」

「ピンピさん、俺貴方に一生ついていきます」

「あんたは見込んだ通りの男だね。よし、挨拶も済ませたし本題にはいろうじゃないか」

「本題?」

「服っすね」

「あ、そっか」



 完全に項垂れた長老様を後にして彼女らは試着室と思われる場所に来た。

「おっ、やっと来ましたねピンピさん達」

「ごめんねぇマル。遅くなっちゃって」

「良いんですよ、どうせ長老様が彼らをからかったりしてたんでしょう?」

「その通り、本当相変わらずで困る人だよ」


(よく分かってるんだなぁ)

 水希は二人に感心した。


 マルが用意してくれた服は彼らと同じラフで動きやすそうな物だった。長袖の身体によくフィットするトレーナーと首周りにモフモフとした毛皮がついた分厚いベストらしき物。ズボンは空間の広すぎないあったか装備だ。外に出る時はモッズコートを羽織るらしい。


「わぁ、良いですねこれ!」

「意外と薄着なんすね」

「そう思うでしょ?まぁ一度着てみな」

「分かりました」


 ピンピとマルに着方を習いながら、隼人は二人に尋ねてみた。


「あのクソジジイ様っていつもあんな感じなんすか?」

「クソジジイ様?ああ、長老様か」


(あ、それで呼んでいくんだ。てか分かるんだ)

 水希は隼人が少し意地らしくなっているのが面白かった。


「そうだねぇ、あの人は人生に退屈しているんだよ。だから君らのような人達が羨ましいのさ」

「確かにもう枯れ葉寸前っすもんね」

「枯れ葉かぁ、あれでも昔は凄い人だったんだよ長老様は」

「お世辞言わないといけないって辛いっすよね」

「いやいや、そうじゃなくて本当に凄かったんだよ」

「そうなんすか?ピンピさん」

「まぁねぇ、この国で一番二番を争う腕だったとか」

「え、そんなになんですか!?人は見かけによらないんですね…」

「今は毎日暇してる変態じじいだけどね」

「落ちたもんっすね」


 隼人の顔を見なくても彼がゲスな顔をしているのは声のトーンだけで理解できた。


「まぁ流石にあの歳になって働いてもらおうなんて誰も思わないよ。そんなことしたら虐待まがいだしね」


 そんな事を話しているうちに二人は服を着替えることが出来た。

「これだけなのに、すごく暖かいです!」

「マジだ、すげぇあったけーな」


 先程まで少し寒かったのが一気に全身丁度いい温度へと変わった。


「凄いだろう?それもパルナのおかげさ」

「パルナ…?それ、ずっと思ってたけど一体何なんですか??」

「おや?あんたらパルナを知らないのかい?」


 ピンピは少し驚いた顔だ。


「すみません、田舎者でして…」

「まぁ仕方ないかもしれないね。一部では迷信なんて言われてるくらいだし、信じてる人も少ないくらいだ」

「てことは、希少価値が高い感じっすか?」

「その態度だと本当に知らないようだねぇ。いいかい、パルナってのは生き物に宿る不思議な力なのさ」

「不思議な力…?」

「そう、発動確率が非常に低くてその要因も不明。そもそも生きてから死ぬまで見た事もない人の方が五万といる。でもどんな生物が持ってるかなんてのも謎なもの」

「そんなに珍しいものなのか」

「そうだね。もしかしたら君らが発動するかもしれないし、これから出会うその辺のモンスターが発動するかもしれない。本当にランダムなものなんだ」

「だからこそどの国もその力を欲しがり、何かと使おうとする。その一つがこの服ってわけだよ。酷使するもんじゃあないだろうにさ」

「具体的にはどんな能力が生まれるんすか?」

「今分かってることは…そうだね、まず予兆としては身体能力の向上。これは大幅に上がるらしい。その辺のへっぴり腰が王国のベテラン兵士と並ぶくらいに、発動者が鍛錬すればそれはもうパルナを所持した者同士でなきゃ戦いにならないよ」


(身体能力の向上)


「次に、目の色が変わるっていうか、発動後は元に戻るんだけど発動寸前に一瞬違う色になるらしいんだ」

「それ、何色なんすか?」

「うーんと、青色だったかな。だから青の瞳の人で発動した人は気づかれない事が多いんだ。本人以外はね」


(瞳の色…)


「まぁ心の拠り所では赤に変わる人もいるらしいけど」

「拠り所で…?」

「それはパルナが判断するらしいよ」

「何だかそれって嫌ですね…」

「まぁその人の心の奥の真実なんて誰にも分からないからねぇ、宛にするもんじゃないさ」

「そうだね、そして三つ目に固有の力が手に入る」

「固有の力ですか?」

「うーん、具体的には言えば物を軽くして浮かせる事が出来る人や、人を転移させるテレポートが使える人もいるね」


(固有の力)


「やりたい放題だな…」

「そんなに多いと選り取り緑になりそうですね」

「まあね、まぁ発動者自体が少ないから観測されてる能力も全然少ないよ。まぁ国で優遇されることは確かかな」

「んでもって最後に魔法が使える。これが一番大きいねぇ」

「魔法ですか?よく映画とかである綺麗な光とかがぶわぁー!って」

「エイガってのは良く分からないが、そんなもんさ。普通の生物じゃ手の届かない領域だよ。神の力なんても呼ばれはやし立てられてるねぇ」


(魔法)


「そりゃあ凄いっすよ。体から熱いのとか冷たいのとか出たりするんすから」

「あんたら、魔法には詳しそうなのねぇ。私らは今まで一種類しか見たことないよ」

「いや、何かそんな感じのことを書いてる本が家にあった気がするなぁって、あはは。それより、ピンピさん達こそ、迷信だなんて言う割にかなり詳しいんですね」

「詳しいって言われても、長老様が発動者だから信じるしかないよ」

マルはしょうがないといった表情で答えた。

「え?」

「は?あのクソジジイ様がっすか?」

「うん、あの人が昔凄かったのにはそれが一番大きく関わってるかな。今は能力使ってるところなんて全く見ないけどね。双子二人と楽しく遊ぶ角の取れたお爺ちゃんだよ」

「信じらんねぇ…」

「やっぱり見かけによらないんですね…」


 二人は多くの情報量に少しだけ困惑し、この世界の現状を垣間見た気がした。

ついにお爺ちゃんキャラが出ましたね

お爺ちゃんキャラといえば自分の中ではどうしても某漫画の甲羅背負った仙人様が思い出されてしまい、やはり変態で昔はすごかったというイメージに固まりました

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