朝の彼方が綺麗なんだ
ついに第三章に入り書くのにも慣れてきました
もっと精進していきたいですね
第三章「どこから来たのですか?」
第一の旅「新しい朝が来た」
眩しい朝日が目に迷い込み、鳥のさえずりが耳の奥を揺らす早朝の時間、僕は何となくいつもより早く目が覚めた。
ふおあおぁ〜
我ながら情けないあくびが出たと思う。
周りを見渡すと朝日に照らされ美しく輝く川や、活き活きとした姿を見せる森、少し硬いが煌めきを持つ沢山の石が命を感じさせた。
二人の方を見てみるとぐっすり眠っている。明日見さんは意外に寝相が悪そうだ。昨日と頭が反対方向になっている。
(…朝か。夢じゃないんだな)
少し期待もしていた。目が覚めればまた一人の部屋なのではと、でもその考えは夢にもならなかったみたいだ。
(二人共まだ起きないのかな)
取り敢えず正はすぐそこの川で顔を洗う事にした。水温は朝であったため少し冷たく、目を覚ますには丁度良かった。
(冷たぁ…)
川に反射する顔を見て何とか寝癖直しをし、もう一度二人のいる場所へ戻った。
(あ、明日見さん起きたんだ)
戻ってみるとそこには寝ぼけた顔で辺りをキョロキョロ見回す明日見の姿がある。
「おはよう明日見さん、起きたんだね」
「はっ!天野君!夢じゃないのか!!」
「そうみたいだね、昨日の景色がきれいに見えるだけだよ」
「わぁ〜、本当だ。空も良い色してるね」
空か、そう言えばまだよく見ていなかった。上を見上げてみるとそれは青と赤と黄が混じり合う幻想的な美しさだった。
「本当だ。こんな綺麗な空、久しぶりに見たな。朝焼けっていうのかな?」
「多分そんな感じだと思う」
「また一日が始まるんだね」
「私は朝のこの感じ少し苦手かな」
「学校があるから?」
「うん、寝坊しちゃうもん」
明日見は少し恥ずかし気に眠そうな顔をした。
「でも、今日はちょっと違うんじゃないかな」
「うん、なんか違う気分」
二人は空をしばらく眺めていた。
「そろそろ行こうか。瑛君をお越して身支度しなきゃ」
「うん、そうだね。今日も一日頑張ろ!」
「へばらないようにしなきゃなぁ」
体力のない自分を少し情けなく思った。
「よし、行くか」
寝癖が少しはねたのも気にせず、瑛君は王国を目指す気満々だった。
「うん、まずそこに着いたらご飯食べようね」
「明日見さんって食いしん坊なの?」
「人並みだよ!」
明日見さんは少しむっとした。昨日までこんなに話せるなんて思ってもみなかった。
「ほら、早くしろ。昼までには着きたいんだ」
「はーい」
「瑛君方向分かるの?」
「任せとけよ」
隼人なら不安だが彼なら大丈夫だろう。
僕らはいざ、王国を目指す旅を再開させた。
第二の旅「過去からの歩数」
−タテノツキ、王宮にて−
「おい、レイスお前早く起き」
「私はもう起きています。いつまでもお寝坊さんなんかじゃありません」
ドグがいつも通りドアを開ける前にレイスは自室のドアを勢いよく開けた。
「うぉ、レイス!?お前もう起きてんのか。え、大丈夫だよな?本物…だよな??」
ドグは珍しく心配そうな顔をしている。
「失礼ですよ!私だってもう大人なんですから、一人で起きれます!」
「警備を厳重にして警戒レベルを最高にしねぇとな…嵐が来るぞ」
「ちょっとドグ、聞いているのですか!?」
レイスは自分自身がどれだけ今まで朝干物であったのか、少し恐ろしくなってしまった。
「冗談だよ、むしろ毎日そんな感じで早起きしてくれや。俺のスケジュールからお前の事を省けて時間に余裕が出る」
ドグは可愛らしい手帳を取り出し、スケジュールを変更していた。
(ふふ、確かにこれから必要ではなくなるかもしれませんね)
レイスは心の奥でウキウキしていた。
彼女が早く起きた理由は脱走するための下準備、ただそれだけである。夜遅くまで起きていれば怪しまれるが、朝から準備すればどうせ寝ていると思われて誰も部屋の近くには寄ってこない。我ながらいいアイデアだとレイスは自分の考えにハンコを押した。
「なぁにそんなにニヤニヤしてんだよ。もうガキでもねぇんだから程々にしろよ。結婚には少しはえーが候補は沢山いんだからな」
「え、あ、はい!もう一端のレディなんですから、それくらいは弁えています!」
「だといいんだがな。ほら、飯は用意してあるんだからちゃっちゃと食っちまえよ」
「はい、今から参りますね」
「おいおい、今日はやけに素直だな…。気持ち悪いぞ」
「き、気持ち悪い!?お付きなのですから言葉遣いには気をつけてください。無礼ですよ!」
「ガキからの付き合いに今更敬意なんて示せねぇよ白々しい。ほら行くぞ」
「もう、そこだけはワンを見習うべきです!」
「あいつを見習う奴は人間性を疑うね」
「でもドグは犬でしょう?」
「これ以上喋ったら引きずっていくからな」
「うっ、それはやめてください…」
レイスはその一言で大人しくなった。
(ったく、結局ガキの頃と同じじゃねぇか…)
まだ幼かった頃を思いだし、何故かそれが少しだけ愛おしく感じられた。使命にも役目にも何の重みを感じずに、ただ見守っていたあの日々が。
自分の作品が面白いのかは分かりません
分かっていることは自由に書けるってことだけです




