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(旧)レターパッド  作者: センター失敗した受験生
第二章 ツリー編
13/63

乙女心と恋心

レイスは家族から愛されてきました

だからこそ今の彼女があると思ってください

第九の旅「美味しいご飯」


 ドアの奥に入るとやはり、そこには見慣れた小さなテーブルと一つの椅子、そして一人分の食事が机上に並べてあった。そして私の身体は流れるように席へとつかされる


 もう何年も見てきたであろう良く分からない絵画や、綺麗な柄の壁紙。他にも雰囲気を出すために付けられた装飾品という空っぽが沢山あるだけだった。


「おいおいドグ、また姫様を無理矢理連れてきたのか?」

 机の近くにワンが立っていた。


「あぁ?いっつも俺が作るあったかーい料理を食わせてやってるからお前には分かんねーかもしれねぇが、飯ってのは温度が命なんだよ!」

 確かに、出された食事は少しだけ熱が冷めている様子だった。


(命までいくのですね…)


 ドグは本気の目で料理の志を伝えたが、ワンはそれを鼻で笑う。これはワンが料理だけが唯一不得意だからだろう。

「君の本職は料理人じゃなくてあくまでも兵士って事を忘れないようにね」

「んなもんは分かってるに決まってんだろ」 


(ドグが兵士かぁ…)


 いつもは駄目な自分を支えてくれる家族のような感覚しか二人には感じていなかった。その現実は自分自身には遠すぎた。


「でも、こんな平和な世の中では二人とも私の世話くらいしか仕事がなくて大変ですよね。ほかにあっても雑用などでしょうか」

「…あ?平和って」

 ドグの反応は少し奇妙だった―――何か、間違っている事を言ってしまったのでしょうか?

「そうですねえ。本当毎日毎日暇で仕方ありませんよ。姫様も成長が見られませんしねぇ」

 ワンがドグの話を遮るのはよくあることだ。どうやら、そうでもないようだ。


「そんなことはありません!私もどんどん大人になっています。心も身体もご覧の通りでしょう?」

「あぁ、ガキの頃と違いがわからねぇや」

「背がちょっと伸びましたか?」


 確かに、容姿はそこまで変わっていないのかもしれない。でも、ちゃんと背だって伸びたし、胸も少しばかり、サイズ感などは分からないが、邪魔になる位にはなったはずだと、レイスは大人にちゃんとなっていると抗議したかったが。


「もぉ、二人とも知りません!私は早く食べて皆と準備をしてきますから」

 多分あっさりテキトーなことを言われると予想し、降参することにした。

「さっさとそうしてくれ」

「お構いなく〜」

 全く、予想通りで困ってしまいます、プンプン!


 それからレイスは食事を早急に済ませごちそうさまと言うと、口をプクッと膨らませながら、またエメの元へと向かっていった。


 部屋にはワンとドグがいるだけである。

「……」

「いつからだろうな」


 先にドグが口を開いた。


「何が?」

「レイスが遅起きするようになっちまったのは」

「さぁ、国王や王妃と一緒に食餌を過ごせなくなってからじゃない?」

「ドルジバさんもルフェリアさんも忙しいからなぁ、食事の時間はいつもバラバラか」

「姫様は家族との時間を心から愛していたからね」

「そう考えると今俺が出してやってる料理ってもんは、どんなに温かくても意味ねぇのかもしれねぇな」


 ドグの目には少し寂しさが浮かんで見えた。


「意味が無いことはないだろうけど、その辺はお嬢様に聞かないと分からないだろうさ」

「こんなもんが、ドルジバさんの望んだあいつの平和なのか?」

「知らないって事が幸せな時もあるもんだよ」

「俺には分からねぇ世界だなぁ」

「分かってしまった時、その世界は悲しみに満ちてると思うけど」


 少し後ろ向きな考えだった。


「その言い分だとレイスがもっと可哀想じゃねぇか」

「だからこそ僕らがやる事分かってるはずだけど」

「そうならねぇようにするのが俺らの役目か」

「貧乏くじを引いたもんだよ」


 二匹の犬は平和を願った、遠く続く本当の平和を。


第十の旅「なーんちゃってね」


 目が覚めてみると、そこにはさっきも見た天井があった。奥から声が聞こえてくる。


「本当に助けていただいただけでなくお風呂や寝床まで、本当にありがとうございます」

「いやいや、良いんだよフウザキ。17歳のお嬢ちゃんが雪山で死にかけてたらそりゃあ誰だって助けるもんさ」


 どうやら水希とさっきの女性との会話らしい。


「誰でもではないですよきっと。ピンピさんがたまたま通りかかってくれて本当に助かりました」


 名前はピンピというようだ。


「いいってもんよ。可愛いお嬢ちゃんだけじゃなく良い男までセットだったんだからねぇ」

「またまた、私は可愛くもないし隼人に良い所なんて全然ないですよ。さっきも一つ評価下がりましたし」


 声のトーンから少しむすっとしているのが伺える。

(俺は良い所尽くしのはずなんだけどな)


「お嬢ちゃんは年齢の割に大人な対応だねぇ」

「年齢の割に…?もしかして隼人が何か失礼を!?」

「いやいや、そんなのじゃないから安心しなって」

「では一体…」

「まぁまぁ、そんなことはどうでも良いじゃないの。それよりも彼旅仲間なんでしょう?仲良しなのはすぐ分かるわ」

「仲良しって程でも分かりませんが、一応友達ですね」

「友達ねぇ。本当はあの子の事どう思ってるのー?」


 あからさまに何かを探る声色だ。


「ど、どうって、本当に友達ですよ!!友達友達、よし少しあの変態野郎の様子を覗いてきますからね!友達ですから!」

水希は気づかぬうちに顔を赤らめながら立ち上がった。

「あらあら、若いわねぇ」

「17歳ですからね!」


 それから水希の足音がこっちに近づいてくるのが分かる。


(あ、やべぇこっち来るわこれ。どうしよう、寝てるふりしようかな。起きてたら気まづいよなぁ。俺がきまづいなぁ完璧に目が無意識シャッター押しちゃってたしあれ。目合ったら殺されるんじゃねぇのか?)


 そんなことを考えているうちに水希は寝室へと入ってきた。 



 寝室には綺麗な景色の写真や鏡に本棚など、ピンピの所有物と思われる物が多く見られた。そしてピンピの布団であろう場所には変態が気持ちよさそうに眠っている。


 とりあえずドアを閉めて顔色を伺う事にした。


「ぐ、ぐご〜。ぐご〜」


 寝てはいるが少し汗をかいているように思える。顔色も悪いのではないか。咄嗟の判断とはいえ二度も気絶させてしまった事を水希は申し訳なく思った。


「隼人?まだ寝てるかな」

 隼人が返事をする様子はない。


「さ…、さっきは…ごめんね。うち急に驚いちゃって、隼人も不可抗力っていうのかな。そんなつもりだったんじゃないって分かってたのに変に酷いこと言っちゃった。でも、ほかの女の子にはそういうことしちゃダメだよ?うちは心が広いから許してあげるけど、たまたまだったからってあって良いことじゃないんだからね。反省してよね」


(あ、あれ?何か謝られたんだけど、これ俺死なない?明日が来る感じ??取り敢えずもう少し様子を見てみるか)


「ガーフュー!ガーフュー!」


 寝息のようなものがやけに聞こえるだけで、隼人が何か反応する様子はない。


「分かったら早く起きてよね、一人じゃ寂しいんだから。頭が上がらない人と二人っきりってのは疲れちゃうのよ」


 水希は期待の視線をややこっちに向けているように見えた。薄目ってのは案外バレないものだ。


 何も返事をせずにいると、水希は急に周りをキョロキョロと見始めた。


(…何してんだ?一体)


「寝てる…よね?」

 すると彼女はベッドの横に来たかと思うと、何故か顔を少し赤らめ頬をつついてきた。

(!?何やってんだコイツは!?)


「はーやーとー、起きてよー」


 やけにいつもと違う優しい声だった。

 全身が緊張し、いつもと違う良く分からない感覚が胸に生まれた。


「なーんちゃってね。じゃあうち、ピンピさんの所に戻るから、早く起きるんだよー」

 それから彼女は部屋の外へ出ていき、遠ざかる足音だけが耳に残った。


水希はひたすら乙女にしていこうと思います

その方が書いている自分が楽しいので

それにしてもずっと書いていると同じような表現が目立ってきますね

まだまだ拙いと反省させられます

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