§2 ビオトープの条件
①人間の世話がなくてもバランスがとれている
餌をやったり、水換えしたり、水やりしたり……そういうことをしなくても、物質の循環、ひいては生態系のバランスがとれているというのがひとつの条件です。
とはいえ、でっかいビオトープでは草刈り、落ち葉の集積などの管理が必要とされますし、小さいビオトープでも、池の泥上げをしないと陸地化してしまったりします。
いわゆる里山・里地なんて巨大なビオトープは、昔ながらの農業などの「人間活動」がないと維持できないこともわかっています。
ですから人間が世話しないといっても「程度問題」といえますね。
その辺の「区切り」としては、「人間」つまりあなた自身も生物であり、ビオトープの一員と考えて、人間の生活リズムで継続的に何かやっていて、それがビオトープに影響を与えていても、それはまあ「よし」ってことで良いと思います。
②「地域」や「場所」本来の生態系を維持した空間。
しかし、自分で書いてて何ですが、堅苦しい書き方ッスね。
でもまあ、書かないわけにはいかないことなんで。
生き物が住んでいれば何でもいいってワケではなく、地域本来の生態系を回復、もしくは保全、維持させた場所がビオトープと呼ばれるのです。
ですから、庭に池を作って買ってきた金魚を放した場合、「金魚のビオトープ」と呼ぶのはちょっと違うわけです。
でも、買ってきたのがメダカならどうなのか? と考えた場合、メダカならビオトープである、ってわけではありません。
その地域に住んでいる、あるいは住んでいた種類で、その地域の遺伝子を持つ生き物が住んでいることがビオトープの条件といえます。
つまり、出所不明の生き物を買ってきた時点で、そいつが金魚だろうが、メダカだろうが、フナだろうが、絶滅危惧種の超珍しいタナゴだろうが、ビオトープとは呼べなくなってしまいます。
まあ、『何が何でも絶対に生き物を買って来ちゃいけない』ってわけでもないのですが……
そのあたりは別項で詳しく述べさせていただきます。
さて、その場所がどんな場所かによっても、目指すビオトープは変わってきます。
例えば海岸にメダカ池はおかしいでしょうし、高原にクヌギ林を創っても、うまく生育しません。果樹園地帯に水田ビオトープを創るってのもヘンな話です。
そこの気候環境、生物史、植生、歴史や文化をふまえて、どんなビオトープにするのか決めていくのが、「的外れ」なビオトープにしないコツです。
③外来生物、園芸種を積極的に導入しない
またまた堅苦しい書き方になっちゃいました。
この部分が、ビオトープの敷居を高くしている、って言ってもいかもしれません。
少し前の、専門家用の手引き書とかだと「外来生物はビオトープに絶対に導入不可」なんてことを書いてあったりもします。
でもまあ、実際やってみれば分かりますが、今の日本に「外来生物のいない場所」なんて、ほぼ、あり得ません。
国道脇の『雑草』の外来種率は『八割~九割』と言われていますしね。
ですから、外来種ゼロのビオトープなんて、実際問題あり得ないわけです。
人跡未踏の原生林やなんかなら、可能性はなくもないでしょ? って思われるかも知れませんが、生き物は移動するんです。特に異境の地で根付くような、バイタリティとフロンティアスピリッツに満ちた生物、それが『外来種』ですから、その辺の在来種より移動力や定着力が強い連中が多いってことでもあります。
また、もう一つ言えば、海を渡ってくる理由の一つに「人間にとって有用」って部分もあって、「美味しい」「花が綺麗」「可愛い」「見た目おもしろい」「釣って楽しい」などの理由で、あちこちに運ばれちゃったりもしますしね。
実際、東洋のガラパゴス・西表島のジャングルのど真ん中にも、世界自然遺産の知床半島にも、ちゃっかりと外来種は入り込んでいました。
というわけで、繰り返しになりますが外来種の完全排除なんてのはまず不可能です。
ですから、外来種を積極的に導入しない事と、ビオトープ内にどんな外来種がいるか、把握しておくことが重要です。
在来種だと信じ込んで、外来種を大事に保護していたなんて事例は、いくらでもありますから。私などは逆に、外来種と信じ切って絶滅危惧種を駆除してしまったことも……無知は罪ですな。
とりあえず、入れた覚えがあろうが無かろうが、目につくものはきちんと種類を調べておく事です。
バランスが崩れたときに、急に殖え始めてえらいことになる場合が多いのも、外来種の特徴です。普段は放って置いて、そうなったら駆除するって方針でのぞむのも良いと思います。
しっかし、誰が読むんだろうなこんなの(笑)