神様と冒険。前編ですよー
『黒埼 華乃
クロサキ カノ
9才 性別は男
猫が大好きで子猫がトラックにひかれそうな時 に助けに行ったはいいがひかれて子猫と一緒に 死亡。
で、合ってるかなー華乃君。』
目の前の男の子は子猫を撫でながらコクンと頷いた。
子猫は気持ち良さそうに目を細め男の子の膝の上で大人しくしている。
『あ、なついたんだね~
いままで猫を触らせてもらえなかったから、
良かったねー♪』
嬉しそうにコクンと頷き、子猫を持ち上げ。
「ねぇお兄さん、
どうせいま流行の異世界に転生とかですよね?
だったらこの子も一緒がいいです。
ねぇ、猫さんもそう思うでしょ?」
子猫はよく分かっていないのか首を傾げながらも元気よくニャーと鳴いた。
その反応に嬉しそうに子猫を抱き締め、さっそく名前を考え始めた。
『しょうがないなぁー
今回だけ特別だよー?
で、能力とかどうするー?』
「…あの、猫さんにも能力くれますか?」
『うん、いいよー♪』
「ありがとうございます!」ニコッ
『ぐはっ///』ズッキューン
「?」
首を傾げて顔を覗く男の子に大丈夫だよーと言いながら鼻血をティッシュで拭きながら、念話で部下にいまいる場所まで来るように伝える。
『ねぇ、君の能力は俺が決めて、
猫さんの能力は君が決めてもらっていい?』
「ぜひお願いします!」
『うん任せて♪』
にっこり笑って、少し考えた後
『まず魔力と属性は異世界で困らないくらい
の量と質を。
それプラス相手の能力をコピーし
反映させる能力。
身体能力も最上級に。
華乃君が住んでいた世界と
これから行く世界の知識。礼儀とマナー。
不老不死。
でいいかなー?』
コクンと頷き、少し考えた後。
「…それと同じ能力に、
色々な種族の言語を理解し喋れる能力と
姿を自由に姿を変える事のできる能力を
この子に上乗せしてもらえますか?」
『はいはーい。
じゃあ、さっそく能力をあげるね♪』
青年が男の子と子猫に手を翳すと、白く温かい光りが男の子と子猫を包みこみ、ゆっくりと体に馴染んでいった。
『能力は異世界についてから使えるから、
着いたら試してみてねー』
「ありがとうございます。」
『遅くなりました。御呼びでしょうか、
総合神様。』
白銀の長い髪をポニーテールにした碧い瞳の端整な顔つきの美しい青年が青年の目の前に現れ、片膝をつき、頭を下げている。
『うん、ちょっと頼みたい事あるんだけど
いいかなー?』
『はい。何でしょうか。』
『君、総合神やってくんない?』
『はぃ?』
『よし、いま間違いなくはいって言ったよ ね?ね?いまから君は総合神だよ~
おめでとう頑張ってねー♪』
子猫と少年に同意を求める。
一匹と一人はこくこくと頷く。
『いえ、疑問系になったので、
肯定の意味にはなりえません。
それに、突然そんな事言われても困ります。
引き継ぎなら姉さんにやらせてください。
姉さんこそ総合神にふさわしいのです!
私は何があろうと貴方様から離れません。
って、ちょっと何してるんですか!?』
いつの間にか男の子と子猫を小脇に抱え、
ニッコリ微笑み。
『転移。』
一瞬で消えた主に一瞬固まった。が、突拍子のない行動はいつもの事なのですぐに追いかけようと転移した場所を探知し、転移しようとした。
が
『何処へ行くつもりだ?レイヴァン。』
凛とした声により動作を止める。
『…姉さん。』
レイヴァンと呼ばれた青年は顔を俯かせ…
ふと、考えが浮かぶ。
姉さんに総合神の座を譲れば姉さんが上機嫌。
俺はあの方にずっとお仕えできる…
まさに一石二鳥!!
『レイヴァン、どうかしたのか?』
心配そうに近づいて来る姉さん…
俺は顔を俯かせ、泣きそうな声を出す
『……どうしよう…姉さん総合神様が…』
少し間を置き
『…何があった。』
そう聞き返す姉に、さっきのあの方が話していた言葉を少しアレンジして話した。
そして俺の気持ちも話す。
そうすると、情深い姉さんはこう言った。
『分かった。私が総合神を引き受ける。
お前は…どこへでも好きな所へ行け。』
心の中でガッツポーズをし、
姉さんに抱きつきありがとうと言うと
頭を撫でながら優しく微笑む。
『寂しい時はいつでも帰っておいで。』
『はい、姉さん。
では、行って参ります!』
『ああ、気をつけてな。』
僕は微笑みながらあの方が向かった、
世界に転移する。別に無詠唱でも行けるのに、あの方はわざとらしく詠唱して行った。
まるで俺にも着いて来いと言っているかのように思えた。わざとと言えるくらい魔力の痕跡を残していたからすぐにその場所に着いた。
そこには…
「意外と遅かったね、
お姉さんにでも見つかった?」
ベランダでアンティーク調の高そうな椅子に座り、テーブルに並べられたお菓子を手に取る元総合神。
「あ、さっきのお兄さん。
お茶でいいですか?」
エプロンを身につけた、美少女の様な可愛いい男の子。
「主、俺はミルクがいい。」
ロッキングチェアに脚を組んで偉そうに男の子に注文する猫耳が生えた美男子。
『あ、お茶でお願いします。
…というか、やっぱりわざとだったん
ですね。』
ため息をつくレイヴァン。
「華乃君が家族を欲しがってたから
一人でも多い方がいいからな。
忠犬的なお前なら着いてくると思って、
わざと分かりやすく魔力濃くしたんだー」
「俺は四男のオン。」
「黒埼 華乃改めカノンです。
俺は三男設定です。
よろしくお願いします♪」
「そして、私が美形兄弟の長男
元総合神改めラン。
お兄ちゃんとでもお兄様とでも好きに呼べ。
あ、ちなみに
お前は次男設定な♪」
『父親と母親いなくないですか?』
額に手を当てため息をつく。
「細かい事は気にするな♪
まぁそうゆう事だから、
お前も華乃君達と同じ言語にして、
姿も次男っぽくしろ。」
『次男っぽくって意味わかりませんよ!
このままでいいじゃないですか。』
思わずツッコミを入れると、
ラン様が真顔で
「お前、一応これから兄弟だぞ?」
『…何を仰りたいのですか?』
「俺と華乃君の髪と目の色を見ろ。
疑われないように同じ色にしている。
兄弟じゃないとばれると色々まずいからな。」
華乃君いやカノン君を見ると、
黒髪から金髪になっていて、
目の色もグレーから翡翠色に変わっている。
髪型はセミロングで緩くパーマがかかってる。
もうこの子女の子でいいんじゃないかと思えるほどの美少女的な容姿だ。
あの方は白髪から華乃君と同じ金髪に変わっていて、目は碧から翡翠色に変わっている。
髪型はウルフヘアーで襟足長めだ。
スーツ着たら絶対ホストっぽくなる様な気がする。
オン君は金髪に翡翠の目は上二人と同じだけど、
確実に違うのは猫耳と尻尾が着いている所。
ちなみに髪型は肩までの長さのストレートヘアー。
これにより分かった事は金髪に翡翠の目。
上記三名(?)の髪型に被らず、
如何にして次男らしい髪型にするか。
少し思考した後、
私は覚悟を決めた。
『…分かりました。では、』
一度眩い光を放ち、
光が収まると思考した姿に代わる。
金髪に翡翠の目。
髪型をベリーショートにした。
「名をレイヴァンからレイに、
次男としてこれからよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします!
兄さん♪」
嬉しそうに喜ぶカノン君
やっぱり美少女にしか見えない。
「ま、仲良くはしてやるよ。」
口角を吊り上げ生意気そうな表情のオン君
猫耳と尻尾を生やした理由が聞きたい。
「引き続きよろしく頼むぞ。」
ニヤニヤした笑みを浮かべるラン様
フェロモンが漂っていて女性受けしやすそうだ。
ストーカーなど注意せねば。
「ところで、ここに住むんですか?」
「いや、今日だけだ。
一応これから旅をする。
いわゆる世直し的な事をしに行こうかと
思う。」
真顔でこんな事言い出す長男に次男と四男の声が見事にハモる(笑)
「「はぁ!?」」
思考停止寸前の次男と四男とは裏腹に
三男の可愛らしい弟が衝撃発言をかます…
「わぁー楽しそうですね♪
僕、悪いやつ懲らしめるのとっても
楽しみです♪」
「「…(絶対カノン(君)はSだ)…」」
なぜかここで二人の思考が一致した
「じゃあ、決定な。
出発は明日朝飯食ってからでいいな?二人供」
オンとレイに念を押すように聞くラン
「…しょうがないな。
カノンが行きたいってんなら何処まででも
行ってやる。」
頭をガシガシ掻き、柔らかい笑みををカノンに向ける。
「オン君大好き♪」
「のわっ!?」
カノンがオンに飛びつき頬擦りする
「で、お前はどうすんの?」
ランがオンとカノンを眺めながらニヤニヤしながらレイに問う。
それに対してレイはため息をつき苦笑する。
「いつも貴方に振り回されてきたんです。
いまさら嫌とは言えませんよ。」
「頼りにしてるぞ?レイ。」
「お任せ下さいラン様。」
『…というわけで、四名が神がいない
荒れ放題の『アステカ』という異世界に
潜入し、混沌から救ってくるそうだ。
そのため、私が総合神の座を引き継いだ。
異を唱える者がいなければ、
私はこのまま総合神の座に居座ろう。
よろしいかな?皆の衆。』
凛とした声を響かせ、
大きな広場に背中から翼の生えた住人達に問う。
一瞬の静寂の後、
『うおおおおぉぉーーーーセシル様万歳!!!!』
地鳴りの様な歓声が辺りに響き、
住人達は喜び、お祭り騒ぎになった。
新しい総合神セシルはホッと一息つき、
旅立った弟レイヴァンとその仲間に想いを馳せる。
――つづく?