タイトル未定2026/05/27 02:57
止まらない鼓動は私が腐る死体であることを何度も示しているだけに過ぎない。
流れる血は私がいつでも悲劇の主役としてスポットライトを浴びるための小道具であることをやめない。或いはいつか誰かにつながるためのいい口実だ。それのせいで私の首に臍帯のように締め上げられていることに気づいていない。
私は呼吸をするために、肺をゴロゴロと鳴らしながら、血の泡を沢山吐いている。
生きる度、呼吸する度、私の口から出るのは言葉ほど意味の詰まったものではなく、血の被膜でできたシャボン玉でしかない。そこらへんをふわっと浮いたかと思うと夕焼けの鋭い熱に触れた瞬間に、地面に投げ捨てられた新生児のように簡単に捻じれ崩れる。
論理や思想は泡と脂で紡がれた死屍累々のスライスで、血道を後から歩む者がまるで美術館を周遊するように、苦しみのないレプリカを持て囃している。
私の理解者は私ですらない。私の応援者は私ですらない。私を賛辞するものは私の生を尊んでいるわけではないし、私に恩赦や愛を求めているわけではない。すり減らした肉体から垢として出る勤労の成果物を期待しているのに過ぎず、最初に述べたように私の肉体をやすりにかけても出てくるのは悲劇の小道具としての血しかない。私がスポットライトを人生の最後に浴び、どこからともなく勝手なナレーションで締めてもらうためのイコン。それは貨幣のように交換可能なイコンではなく、三途を渡るための死に金だ。
私も愚かだが、私にイコンを求める全ては私よりも愚劣で、傲慢で、救えない、積みに積み重ねた罪業の崩れるところすら知らない地獄の最下層の住人だ。
殺してやろう。赦しはしない。ここに私がこの悲劇を演じるための貨幣で買い取るのはカロンを通じて、冥府の王への宣言する権利である。
私は私で自らを罪人とする。私はあなたによって罪人になるのではない。
私の罪は王によって発行される罰の為の手続き手形ではないことを、真の交換不可能な罪であることをお教えしよう。
それは救世も不可能な、いわゆる神すら許すことができない、私が私を呪い、裁くための罪。
それを人は責任と呼ぶ。




