表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キンレンカ-幼女転生の殺し屋の成り上がり-  作者: 東山スバル
第三幕 グレイト・キング・ラット

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/34

033 酔っ払いの愛は重たい

「おはようございます」

「えぇ。ところで、サーシャちゃん。肌質が良いわね。なにか良いことでもあったの?」

「三大欲求のひとつを満たしたんですよ。キャメルさんが用意してくれたハーブティで」

「へ?」

「え?」


 キャメルは間抜けな声を漏らす。まるで意図していなかったかのごとく。


「ちょ、ちょっと。リオくん。私は確かにティーバッグを渡したのよね? 良く眠れる成分が入ってるから、慣れない場所でも寝られるように」

「……はい。それがどうかしましたか?」

「サーシャちゃん、貴方なんの欲求を満たしたの?」

「宗教国家には似合わない欲望ですね」


 笑みを交えながら、サーシャは答えた。キャメルは途端に血相を変え、呆然としながらその場にへたり込みそうになる。


「……どうしたんですか?」

「アークに飲ませるはずだったのに……。あれ、高かった上になかなか手に入らないのに」

「……どういう意味━━「リオにはこのカルマは重たすぎる。もう少し業を背負ってから出直してきたまえ」

「……なに言っているんだ? サーシャ」


 サーシャとキャメルはなにが起きたのか良く分かっているものの、リオの頭の上には疑問符が現れるだけだった。


「しかし、効果てきめんだと思いますよ。きっとキャメルさんの好きな男のヒトが飲んだら、ケダモノみたいに━━」

「サーシャちゃん、貴方8歳よね? なんでそういうことを知っているのかしら?」

「インターネットの魔法ですよ」


 サーシャがそう煙に巻くと、意気消沈しながらキャメルは椅子に座る。項垂れ、今にも崩れ落ちそうだった。


「まぁまぁ。キャメルさんは美人だから、あんな劇薬使わなくても男のヒトは振り向いてくれますよ」

「……、」

「(……おい、キャメルさん黙ってシリアルにビールかけ始めたぞ?)」

「(アンゲルスは18歳から飲酒OKだろ? ならなにか問題あるか?)」


 キャメルはシリアル入りビールを流し込み、顔を真っ赤にさせながら、


「さて! 行くわよ! リオくん! サーシャちゃん!!」


 突然宣言し始めた。一体どこへ連れて行くというのか。


「……分かりました。行くぞ、サーシャ」

「どこへ?」

「〝魔術師ライセンス〟を取りに行くのよ! いくらスナイパーに狙われたとはいえ、魔術で狙撃手の頭吹き飛ばしたのはサーシャちゃんでしょ!?」

「えぇ、まぁ」

「ライセンスがあれば過剰防衛で済むけど、なかったら女子刑務所送り! 捕まりたくないなら、私のつてでライセンスを取るしかない! 分かった!?」

 サーシャはニヤッと口角を上げる。「キャメルさん、お酒弱いんですね」

「えぇ! おかげでお酒の力を使ってアークを口説けないのよ!」

「まぁ良いや。捕まるのも嫌だし、行くなら行きましょうか」


 サーシャとリオは立ち上がり、千鳥足になったキャメルを支えながら玄関へと向かっていく。


「タクシー使うわよ! 飲酒運転もできないしぃ!!」

「(……大丈夫か、このヒト)」

「(歪んだ愛は、この世で一番重たい物体だからな)」


 サーシャは今にも吹き出しそうだし、リオは心底心配げ……いや、憐れむような目つきでキャメルを見ている。当のキャメルは、靴紐も結べていなければ寝巻きから着替えてすらいない。まぁ、寝巻きで外へ出ても死ぬわけじゃないから大丈夫だろう。


「うぃー……」

「ほら、キャメルさん。お水飲みますか?」

「水商売の男なんて買わないわよ!!」

「(……水商売ってなに?)」


 もう放置してリオの指示に従ったほうが早い気もする。が、酔っ払った人間というものは面白い。

 その後もワチャワチャしながら、キャメルが寝巻きを捨ててゴミ箱に突っ込み始めたところで、さしものサーシャも彼女に水を飲ませるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ