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キンレンカ-無神論者の殺戮者が幼女になって神の祝福を受けたのなら-  作者: 東山ルイ
第二幕 ストーン・コールド・クレイジー

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015 キラー・クイーン、ノースAsに降り立つ

 どうやら、サーシャは巷で〝キラー・クイーン〟と呼ばれ始めているらしい。

 殺しの女王? 殺人は極力控えるようにしているのに、ひどい言われようだと思う。

 とはいえ、クール・ファミリーに肩入れし、ネクサス・ファミリーという敵対組織の取引を次々台無しにしていったのも事実。いよいよ連中も、〝見た目は〟8歳児のサーシャが普通ではないことに気が付いたのであろう。


 まぁ、気が付かれたところでなにか支障が出るわけでもないが。


「髪の毛、伸びたなぁ~」


 ツヤのある金髪が、目元を隠すくらいに伸びてしまった。シャワーの際に髪を洗うのが面倒なのは、もはやロングヘアを通り越した長髪の所為だ。


「切ってきたら? アンタ、無頓着すぎ」 


 洗濯物を畳んでいる、最近それとなく名前を聞いた姉リンは、いつまで経っても髪の毛を切ろうとしないサーシャに呆れているようだった。


「そうだね。リンお姉ちゃんの言う通りだよ。切ってくるか~」

「裏社会の薄汚れたお金でね」リンは嫌味を言う。

「そんな言い方もないでしょ。この見た目でお金稼ぎなんて、売春と裏稼業くらいしかないんだからさ」

「アンタ、変わったね」

「なにが?」

「〝祝福〟を受けてから、アンタは目つきも変わった。いつでも獲物に飢えてる獣みたいな目つきしてる」

「なら、祝福がいけなかったと? それしか手段がなかったのに?」サーシャは姉に向き直す。「大丈夫。これでも、自分の制御方法くらい理解している。そして殺されることもない、ってここで約束する。お姉ちゃんは安心して、家のことをやっていれば良い」

「……、」リンはサーシャを睨む。

 サーシャは意にも介さない。「んじゃ、私は髪切ってくる」


 相変わらず小汚い街、相も変わらぬ発砲音、薬物依存者、空気の質が悪すぎて見えない太陽。こんなところに暮らしていたら、いつかうつ病になってしまう。


 というわけで、


(たまには、イーストAsから出てみようかな)


 考えてみると、仕事や普段の生活をしている中で、サーシャは一度もイーストAsから出たことがない。この〝アンゲルス連邦共和国〟は、東西南北の4大都市に〝アーサー・シティ〟という首都で構成されている。なら、たまにはノースAsに向かってみよう。


 そう思ったサーシャはスマホでタクシーを呼び、到着した途端「ノースAsの……運転手さんおすすめの美容院まで」と無茶振りした。


「そもそもお嬢ちゃん、お金あるのかい? ここからノースAsとなれば、200メニーは必要だよ」

「はい」サーシャは100メニー札を3枚、運転手に渡す。

「イーストAsの住民とは思えないねぇ……。まぁ良いや。美容院まで案内するよ」

「お願いします~」


 *


 ぴったり200メニーで、サーシャはノースAsに足を踏み入れた。とりあえずチップ代わりに100メニー札を渡して、サーシャは摩天楼の建ち並ぶ街を一瞥する。


(良い街だ。ニューヨークみてぇだな)


 発展した街並みに、少し感動を覚える。空気もそれなりに澄んでいて、太陽が見えるほどだ。

 またイーストAsには教会はひとつしかなかったが、ここには目視できる範囲で3つはある。異能力を授けてくれて、ありがたい説法を解いてくれる教会も、結局ヒトが訪れなければ意味がない。そう考えると、明らかに人口密度の高いノースAs市にそれなりの教会が設置されているのも妥当だろう。


文字数調節のため、少し短めです。ご了承ください。

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