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ランニング68:教育と、大王後継者をどうするかとか

ついに、完全にストックが尽きました。


モチベ維持の為に、ブクマ感想評価等頂けると非常に嬉しいです!

 機械知性体との会合から二年半ほどが経ちました。

 戻ってから準備した何かが効果を発揮したのか、あれからこちらの察知スキルに反応するような事はありませんでしたし、捜索艦隊の指揮官達や統合個体さんに渡した超小型クリスタル・ゴーレムも無事でいる様です。このまま行けばおよそ二年後くらいに先遣隊の方はこちらまで到着しそうですが。


 半神との接触をどうするのかについては、ぼくの中でも、身内や家臣の間でも、意見がまとまりませんでした。サーチスキルの反応があった場所に行ったからと言ってその場に居る訳でも無いし、本当に会いに行って出て来られて交渉が決裂して対立する事になった場合、サブスキルを継承している子供達が成長してからの方が備えやすいという事で様子見にされてきました。

 ぼくに何かあった場合、取り返しがつかない事態になるかも知れず、死ねば巻き戻れるとはいえ、殺されず移動不能とかスキルが使えない状態でずっとどこかに拘留される様な事になれば、その間に何が起きてもおかしくありませんが、子供達が育てば互いが互いの保険バックアップになりますしね。


 この二年半の間にポーラがキゥオラの女王に就任したりとか、他にも細々とした変化はありましたが、ホピア連合王国として取り組んできた事に、教育がありました。

 子供達向けにも準備しなくてはいけなかった事情もありましたが、連合王国という土台がバラバラな国で、教育内容までバラバラなままだといつまで経ってもまとまることも出来ないでしょうから、先ずは教師適性を持つだろう人材を集めて、教育内容や教材をまとめ、各地で教師をしてもらえる人を養育するのに時間がかかってました。

 エフェンデや機械知性の場合は記憶の継承やデータ転写で知識部分に関しては終えられてしまうのであまり参考には出来ませんでしたが、高度な技術文明社会を構築していた彼らでさえ失敗してしまったのは何故か、それを教育で補って将来をより良いものに出来るのだろうか?という難問に対し、お嫁さん達や家臣のみんなも真剣に取り組んでくれました。

 シャーガさん達天空騎士団が特装騎兵ザークトを操縦したり、高空や宇宙空間とかで活動したりするのにも、最低限の教育をしていく必要がありましたし、大人に対する教育事例としてこちらもカリキュラムに随時アップデートがかけられて行きました。元の世界の日本の歴史で言えば、火縄銃で騒いでた様なところに宇宙戦艦とか機動兵器を持ってきて扱わせてる様なものでしたからね。機械知性体リロイが用意してくれてるAIサポートが無ければ操縦とか無理だったでしょう。


 義務教育制度を導入するかどうかでも迷いましたが、ぼくや家臣の子供達を集めて教育するのをサンプルにしつつ、教師などの人材が用意できた都市部などを皮切りに、7ー10歳の初等部、11ー13歳の中等部、14ー16歳の高等部に分割。初等部では簡単な読み書き計算と歴史などの読み聞かせを一日三時間まで。中等部では理科や算数や社会といった科目を増やし、一日五時間まで。高等部では商業や法律とか軍事とか、それぞれの希望する進路に関わる専門性に関わる科目を増やして、連合王国の役人として取り立てるのは基本的にこの高等部までの教育を修了していることを条件にしました。大学については一旦保留にしてます。エフェンデやリロイを教師にすれば学べる事なんて無限にあるでしょうけど、果てが無いので。

 それに、教育の目的が文明の発展だとしたら、それが大崩壊に結実したと考えると、単純により高度に教育すれば良いよね!とも思えなかったので難しかったのも有ります。かと言って真逆の愚民化政策が正しいかと言えば、デモント教団の事例を鑑みるだけでもそう言えない事も確かだったので、落とし所は探り続けていくしか無さそうでした。


 初等部/中等部/高等部のそれぞれの部は単位制で、それぞれの教育過程修了試験と卒業試験に合格出来れば飛び級も可能にしました。ただし成人年齢を16歳にして、高等部までの教育を終えて役人や軍人として召し抱えたとしても、一年は試用期間という習慣を連合王国内では推奨しました。

 親はこの道に進めというから準備してきたけど、実際その道に進んでみたら合わなかったとか、普通に有り得ますからね。元の世界の15歳なんて中卒だし、それで働き始めてる人達もいましたけど、社会としてもう一年くらいは猶予をあげたいなって我儘を通させてもらいました。

 反対意見を言う人達ももちろんいたけど、概ね、特に若者達からは好評でした。連合王国の大王としては、その一年の間は何度転職しても、どこに行って何をしてても、それが悪行とか犯罪でない限りは大目に見てあげる様にとお達しも出しておきましたから、若者達があちこちに行って、新天地で出会いを得たり、納得の行く就職先を見つけたりとか、良いことも沢山起きました。トラブルも起きましたけど、そう言うのは当人ではなくなるべく社会の側で受け止めて最善策を模索するようにしていきました。雇う側と雇われる側なんて、雇う側が一方的に強いのが普通ですしね。


 それで、これは予測してて当然と言えば当然なんだけど自分が見落としてた事の一つとして、学校教育を同年代層を集めて実施するという事は、それが王侯貴族階級なら将来の結婚相手を探す場にもなる事は当然の帰結で、そうでなくともぼくの子供達との縁組を望む貴族は大陸中から押し寄せて来てて。


 お嫁さん達とも話し合ったのですが、ピージャとの子供の双子の娘のアイの様に生まれる前から約定が結ばれていたような特例を除いて、基本的には当人の好きに任せるという方針をお嫁さんにも子供達にも伝えてありました。ただ、それはそれで、学校という時間を共有できる場所がそういう目的の機会として捉えられる事も意味してしまいました。ムゥ・・・、難しいです。


 6歳から7歳とか、元の世界ならまだ小学校1−2年生ですよ?

 そんな段階で一生の相手を選べとか無理ゲーですよね。


 ただ、身内とも言える家臣の間からも、縁組の打診が来る事は宰相達からしても無理の無い注文というか要請で、こちらもお嫁さん達と頭を悩ませる事になりました。


 さらに言うと、その縁組次第では、異母兄弟姉妹の間で、大王位を継ぐ者と、その家臣になる者という区別までついてしまう事になるので、それがさらに話をややこしくしていました。

 ポーラから生まれたノゾム()はキゥオラの、リーディアから生まれたヒカリ()はイルキハの、リルから生まれたサヤカ()はラグランデの、ピージャから生まれた双子の息子のケン()はダイチの、それぞれの王位か知事か大公位を継承する事が内定していました。ピージャとの間の双子の娘のアイ()はドースデン帝国の皇帝となったヴィヴラ君と婚約済みですから、大王位の継承対象からは外れていました。

 お嫁さんというかお母さんの意向として、ワルギリィさんから生まれた息子のマモル()、アザーディアさんから生まれた息子のラルク()、エフィシェナから生まれた娘のアヤ()、ラルルから生まれた娘のヒビキ()、ニャウノから生まれた息子のニャン():猫人族の次代族長に内定済み、ワーナから生まれた娘のワン():犬人族の次代族長に内定済み、プーテとの間に生まれた娘のノドカ()、イギーラとの間に生まれた息子のユウ()達は大王位継承権を放棄してましたので、子供がそれぞれのお嫁さんとの第一子に限っても十五人もいる中で、イドルとの間に生まれたツカサ()か、オードリーとの間に生まれた娘のドゥへラナ()の二人のどちらかしか候補に残りませんでした。

 神からの祝福を受けてない第二子以降は、第二代大王位候補からは外すとお嫁さん会議で決定していましたので対象外です。


 正直、神様が宿ってるノゾムでもヒカリでも次代の大王位は担えたでしょうけど、神様はこの世界を楽しむ為に人として生まれてきたので、なるべく面倒事からは遠ざけてあげたいという事もあり、当人達が特に望んで来ない限り、大王位継承者からは考慮外としておきました。


 で、ツカサとドゥへラナかの二択であれば、もう、比較にすらならないんですよね。まだ幼いとはいえ、子供達一人一人に面談してみても、その結果からお嫁さん達とも個別面談してみても。

 それらの面談結果を踏まえて、ある日、ぼくはイドルとツカサとオードリーとドゥへラナとの直接対談の場を設けました。次代大王位について打診する為です。

 大島の大王城の謁見の場という公式な場で、けれど五人きりしかいない場で、ぼくはイドルに告げました。


「イドルの希望は分かってるつもりだけど、完全には添えないと思う。それについては、ごめんね」


 イドルもぼくの動きなどは承知の上でしたから、少し残念そうな表情は浮かべたものの、息子のツカサをギュッと抱きしめながら言いました。


「かしこまりました。カケル。我が息子と、オードリーの娘のドゥへラナの出来の違いは、他のあなたの子供達からも聞き及んでおります。私も、あなたの意見に異を唱えません」


 普段よりはだいぶヨソヨソしいというか刺々しくもあるイドルの返答を聞いて、ぼくはオードリーとドゥへラナとも視線を交わしてから、イドルに言いました。


「ツカサの何かが悪い訳でも無いし、ただ、ドゥヘラナには、ぼくの他のどの子供達には担えない役割を担ってもらわないといけないってだけの事だよ」

「分かって、おります」


 分かってはいるけど、受け入れ難い何かも感じてるイドルに、ぼくは重ねて言いました。


「イドルとツカサには、これからもっと辛い事を聞かせてしまうだろうけど、どうか許してね」

「・・・・内容に、よります」

「かまーないよー、パパー」


 ちょっと、これは、自分でもどうかと思う内容だけど、きちんと向き合って伝えないといけない事なので、二人の面前にまで歩いて行ってから、伝えました。


「オードリーも、その娘のドゥへラナも、世間一般に向けてその外見を含めて公開するには弊害が多過ぎると思う。外見からいろんな辛い思いを経験したイドルなら推し量ってもらえると嬉しいけど、だからたぶん、ツカサに、ホピア連合王国の大王位を継がせる事にはなると思う。ただし、宇宙蜂とか機械知性体とか星龍とか半神とかと渡り合うのはイドルやツカサには無理。オードリーとドゥヘラナ親子以外にはね。ぼくやツカサ他の神の祝福を受けた子供達が死んだ後に半神達が動き始める可能性も低くないから、この星の外側との外交折衝を含めて、実権はドゥへラナに継がせる」


 イドルは、嬉しいとも悔しいともどちらとも判別がつかない複雑な表情を浮かべましたが、ツカサは嬉しそうに答えてくれました。この子も、世間一般で言う子供の二倍どころではない聡明さを備えていました。普通の国なら間違い無く後継ぎに選ばれてたでしょうけど、兄弟姉妹達が揃って例外レベルにあるので仕方ありません。


「うん。ぼくも、ドゥヘラナしかいないと思う。ドゥヘラナを守らなかったら、ぼくが兄さん達に殺されちゃうし」

「ありがとね、ツカサ。ツカサはこの星の内側に向けて、ドゥヘラナは外側に向けて統治を分担してもらうことになると思う。いろいろ面倒な事も起きて大変だろうけど、やってもらえると嬉しいかな」

「うん、任せて!」

「という感じだけど、どうかな、イドル?」


 イドルは、オードリーの方をチラリと見て、ぼくの頬をちょっとつねってから言いました。


「カケル様は、いえ、カケルはずるいです」

「そう?」

「だって、こんなの、私が何を言ってもただの我儘になってしまうじゃないですか」

「そこに関しては、巡り合わせが悪かったくらいで納得してもらえると嬉しいかな?」


 実際問題、半神なんて余計なお邪魔虫が絡んで来なければ、ツカサが次代大王で何も問題無かったでしょうけど、他のどの子供よりも長生きするであろうドゥヘラナの負うであろう重責とは比べようが無いのです。(ノゾムやヒカリの寿命なんて創造神の思惑次第でしょうけど、人間には推し量る術なんて無いし、我が子達に向かって「何歳まで生きるつもりなの?」なんて聞けませんしね)


 イドルはもう一度ぼくの頬をキリリリと念入りにつねってから、ぼくをぎゅっと強くハグして言いました。


「あなたはくどいほどに、あなたの配偶者になる者達に言い聞かせてきました。みんな仲良くと」

「そうだね」

「それがどれだけ重い制約だったのか、大切だったのか、今、これ以上無く感じています。でも、それもあなたが愛する者達を守る為だったと、これ以上無く納得も出来ました」


 ぼくは言葉ではなく、ハグする事でイドルに応えました。

 でも、そんな最中に、まだ空気を読めないツカサが尋ねてきました。


「でさ、パパ。ぼくがドゥへラナをお嫁さんにもらうのは無しなんだよね?」

「うん。絶対に、無し」

「そっかー、残念、って、痛いよーママ!本気でほっぺたちゅ()ねらないで〜!ほっぺたがふぃぎ(千切)れちゃうー!」


 イドルの額に青筋が浮かんでいるのをぼくは見逃しませんでした。

 ドゥヘラナは、ぼくの息子達みんなのアイドルでもあるので、ツカサのこの問題発言は彼を(ぼくの子供達による)査問会議に強制召喚するには充分な逸脱発言でしたでしょう。ぼく自身がチクらなかったとしても。

 オードリーとドゥヘラナは賢くもノーコメントをその場を通じて貫いていました。


 ただし、司のママからの折檻中に救援を求められたドゥヘラナがそっぽを向いてスルー(無視)を決め込んだ事で、二週間くらいは司の機嫌がどん底を這う事になってしまいました。その理由の半分くらいは、事情を聞き及んだツカサの兄達からツカサが精神的な罰を受けた為らしいので、中立な立場を保たなくてはいけないパパとしてはツカサに罰を与えたらしい息子達に特に強く叱る事は出来ませんでした。


 まあ、ホピア連合王国は、概ねそんな感じに、平和な日々を過ごしていたのでした。


 大王位の継承については、ぼくの次代からは、内王と外王とに権能を分割して、内王はツカサに、外王はドゥヘラナが就任。星の内側に関しての連合王国の動きについては内王が、星の外側に対しては外王がそれぞれ担当し、互いに協力し合って政治を司って行く事を公表しました。大王位についてはぼくの血統の誰かが継承していくけれど、それは血縁者会議で最多数を得た誰かが最有力候補となり、先代の内王と、外王の承認が得られれば継承者として認められる事にしました。

 オードリーは、ドゥヘラナが成人するまでの間(およそ百歳)は、それまでの間にぼくが死んでれば外王代理として機能し、ぼくやお嫁さん達の大半が死んだ後までこの国を守ってくれる事になりました。まあ、身内の揉め事なんて避けようが無く起こるだろうけど、オードリーやドゥヘラナやリロイやガラーシャさん達が付いてれば、最悪の事態は免られるでしょう。


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