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サンタクロース・エイトオー  作者: 津多 時ロウ
mission4. サンタ・インフィニティ

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4.5 サンタ・インフィニティ

 鉛玉が金属や樹脂のパーツに注ぎ込まれ、次々とサンタロボが倒れ伏す。

 トナ太郎が鉛玉をばら撒く隣では、トナ次郎のエネルギーライフルが、的確にサンタロボの頭部を打ち抜いていく。

 それでも敵の数は多く、近づいてくるサンタロボも多い。

 近づくサンタロボが増えると、今度はソリ()が動き出した。

 急加速で正面のサンタロボをまとめて粉砕して群れの中に飛び込み、すぐに回転。

 狙いも何も関係なく、前後左右、すべての火器を使えるように動き回り、次々とサンタロボの残骸を作り上げていく。

 けれど、多勢(たぜい)無勢(ぶぜい)


「むお!?」


 壊れかけのサンタロボが、ソリ()の外部カメラを塞いだのだ。

 それを皮切りに、次々とサンタロボがソリ()に取り付き、覆い被さっていく。

 通常ならば、すぐに脱出できるだろうが、ソリ()の足下にある(おびただ)しい数のサンタロボの(むくろ)が、それを許さなかった。


「くそ、こうなりゃできるだけ巻き込んで散ってやる! ソリ()、自爆しろ!」

「おやじ、落ち着け!」


 そのとき、サンタロボの動きがピタッと止まり、工場のスピーカーから甘やかな男の声がした。


「やあ、サンタさん、こんばんは。だけどクリスマスには少し早いんじゃないかな。本日のところは引き取り頂いて、金輪際、我々の邪魔をしないというなら、このまま見逃してあげてもいいけど、どうだい?」


 エイトオーはそれを聞いてすぐ、ソリ()の外部スピーカーで返事をする。


「ぶっ殺す!」


 子どもたちの安眠を邪魔する(やから)を、エイトオーたちが許すはずもない。

 答えなど、最初から決まっていたのだ。


「実のある提案だと思っていたんだがね、残念だよ。と、いうわけで、君たちはこのままサンタ・インフィニティに殺されろ」


 冷徹な声が響くとともに、サンタロボたちがソリ()から少し離れた。

 エイトオーが先ほどの声の出所をソリ()に聞いている。

 その間にも、サンタロボは蠢いていた。奴らは抱き合い、腕や足を絡め合い、サンタ団子とも言うべき塊は、どんどんと大きくなり、じきに十体の巨大サンタロボとなったのだ。

 その巨大サンタロボが一斉に動き始めたとき、前に立ちはだかる影があった。

 そう、エイトオーだ。


「はっはー! まとまってくれて好都合だ! ソリ()、コード・ダビデ起動!」

『了解。コード・ダビデの発射シーケンスを開始します』


 サングラスを外した機械仕掛けの左眼の前。その空中に、三つの赤黒い六芒星が重なるように浮かび上がり、不規則に回転し始める。


『……射出補助システム起動成功、

 ……射線予測システム起動成功、

 ……姿勢制御システム起動成功、

 ……熱エネルギー防護システム起動成功、

 視界及びシステム共有オールグリーン。

 いつでも』


 輪唱の如くに次々と重なり伝わるソリ()の声。

 六芒星は細かく移動を繰り返し、その中心が揃ったとき、エイトオーが叫んだ。


「ファイア!」


 刹那、エイトオーの左眼から(ほとばし)る、一筋の赤黒い光。

 それが収まると同時に、巨大サンタロボは黒煙を上げて爆発する。


「残り四! お前ら、やっちまえ!」


 エイトオーの合図で、屈強なトナ太郎たちが「ヒャッハー」だのなんだのと叫びながら殴り始めれば、巨大サンタロボなど敵では無い。

 筋肉の前に次々と崩れ落ちるロボを横目に、エイトオーは悠々と工場の奥を目指した。

 鉄の階段を上がり、頑丈なドアを蹴破って辿り着いたのは、管理室と書かれた大きな部屋。

 内部には、予想通りに仕立ての良いスーツを着た、ちょびヒゲの双子が待ち構えていたのだ。


「無垢な子どもに予告状を送って睡眠時間を削った上に、ネコちゃんの皮を使った本物そっくりのロボットをプレゼントしようとしたそのクソ野郎オブクソ野郎の所業、断じて許さん! ここで死ねい!」

「私たちはただ、子どもたちにリアルなロボットを体験してもらいたかっただけさ。使った猫も、存在するだけで迷惑な野良猫だ。何も悪いことはないだろう?」


 こうなれば、もう男たちに言葉はいらない。

 エイトオーの怒りが彼の筋肉を膨張させ、サンタジャケットがはじけ飛ぶ。

 双子はネクタイを外し、ジャケットを脱ぎ捨て、拳を構える。

 トントントンとステップを踏みながら、エイトオーを挟み込むように移動して、双子は同時に殴りかかった。

 だけど、それがいったい何だというのだろう。

 怒りで赤く染まったエイトオーの筋肉は、二人の拳などものともしない。

 驚愕する双子。

 そして繰り出されるのは、エイトオーの大きな拳。


「喰らえ、サンタパンチ!」


 哀れ双子は鼻血を吹き出しながら、きりもみに宙を舞う。

 階下からは何度も爆発音が聞こえ、事件が終わったことを告げていた。

 気を失った双子を縛り上げ、エイトオーは呟く。


「少し早いが、メリークリスマス。お前らにはブタ箱をプレゼントするぜ」


 クリスマスまで、あと二日。

 よい子のみんなは、夜更かししないでしっかり寝るんだぞ。



 mission4. サンタ・インフィニティ complete


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