表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮想世界と破滅の道  作者: 如月あにょん
1/1

RPGって美味しいの??

うだるような暑さの中、私は畳の上に転がってお気に入りの配信者のダラダラとした喋りを半分聞きながら溶けかけたアイスの残りをぺろりと舐めた。


投げ銭を投げるほど好きでもないけど、学校で話題についていけないと困るのでチャンネル登録してる…レベルの。そんな何十人いる”お気に入り"配信者の動画をダラダラ見ていた時。


『〜…今流行りのスペバースに登録しました!見かけたら声かけてねー〜…』

…あー。スペバース。去年世界的ソーシャルネットワークサービスの会社が始めた仮想空間サービス。

無料で登録できて、VRに接続し有料で自分の街を作れたり、それに付随するコンテンツを提供できる…んだっけなー


兄に貰ったおさがりのVRゴーグル…あった。

何となく月曜に学校で話題に上がる気がして(いや…人気配信者のSHUに会えるかも!的なミーハーな気持ちも大いにあるけど…。)…登録してみるかなー。


動画を閉じて、スペバースの会員登録ページを埋めていく。

生年月日を…いーれーて。っと。


普段は迷惑メールばっかりだから未読が+1万超えてるメールに仮登録のお知らせが届き、本登録でパスワードを設定したら…完了っと。


ケータイとVRセットを接続して、一度ログインしてみることにした。


…ヴーーン…

コントローラーを左右の手に握りしめ、目を開けるとそこは石畳の街並みが広がっていた。


『Hello!』

風船のような丸いフワフワ浮いている物体が話しかけてくる。

"コレ"はChappy。人工AI。リアルの世界もバーチャル世界のことも何でも教えてくれる。

チュートリアルで決められた動作ができるようになるまでは無料サポートで、チュートリアル完了後は月額980円でサポートしてくれる。

有料会員になると見た目のカスタマイズも月に5箇所まで無料…



…いや。今はいらんかな。

ログインして最初に行うのはアバターの作成。

私は適当に画像フォルダから一番盛れてる写真を選んで、それを元に自動生成してアバターを作成した。


…うーん。もうちょっと細めにしとくか。

"微"修正を各所行って。

ニックネームは「ACCO」本名のあきこからアッコって呼ばれてるから。

アバターとニックネーム作成が完了したら、街の探索に出かけられる。

ここははじまりの街「トイロン」。

街全体は石畳の床と、石造りの二階建ての家がズラリと並び、街の中央には大きな湧き水からなる噴水。

そして街をぐるりと囲む高い壁。

…どこかのネットニュースで見た通りだな。


世界観に圧倒されて、上下左右見回してしまった。

『hello! Acco!』Chappyが話しかけてくる。


まずは…看板の見方を教えてくれる。

…ふむふむ。あれが宿屋で、あれがパン屋。

食料と睡眠は仮想空間でも取らないといけないみたい。

WHOから今年2月に施行された、仮想空間における取り決めでは、実生活に影響がないように最大活動時間を12時間までとする。と定められており、これを超えて活動することが強制的に出来なくなっている。

このスペバースでは12時間を迎えると強制的にその場で8時間の睡眠モードに入るが、宿屋などの安全圏外で睡眠となった場合、次にログインした際に他の人に手持ちのアイテムや仮想通貨を盗まれる危険があるようだ。


食事も同じく。ここスペバース内でオープンソースとして提供されているカスタムメイドの世界では、RPGや格闘ゲーム、レンタルブック、VR配信など時間を気にせず没頭できるコンテンツがある。

4時間に一回食事を摂らせることで、時間の感覚を思い出させて、現実世界へ強制的に引き戻してくれる引き金となっている。


その他に、一方通行のサインやこの世界での信号のみかた、警察と消防署と市役所が一緒になったような建物の看板など、この世界で必要な目印については一通り学んだ。

案内係のChappyが、なにか飯を食えというので近くのハンバーガーショップに入った。


食欲をそそる鮮やかな広告と匂い。

ここは実生活へのデリバリーもしてくれるらしい。


初期費用として配られている10000bcから100bcを支払い、ハンバーガーとポテトをピックアップした。 

空いている席…は。三階の窓側。

外を眺めながらぱくついた。


「あれー???もしかして、あっこー??」

聞き慣れたその声はクラスメイトのミナだった。

「えー!メッチャ偶然じゃーん!」

話のテンションを合わせる。


聞くと、ミナの彼氏である泣かず飛ばずの配信者、マサトが所属するクリエイターズ事務所が、ここスペバースでRPGをリリースしたため、一緒にアカウントを作ったのだそう。


「…てわけで、大手広告会社が共同で作ってるから安心だし一緒にやろー!」


半ば強引に、そのMMO RPGに参加させられた。

名前は 冒険勇者の日記 参加者が自分のロールを持っていて、協力してRPGを進めていくようだ。


あまり興味がなかったので、適当に話を合わせて登録だけしてその日はRPG内の宿屋でログアウトした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ