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二つ負うものは

良ければ是非是非

「とは云うものの...宮先輩置き去りにしてきたけど、大丈夫かな...後で説教くらいそーで超こえぇ...」


一人でブツブツ言いながらも、職場の廊下を歩く俺氏。


「はぁ、なんでこうなっちまったんだろ」


下を向いてそう呟いた瞬間、ぶつかった。


ドンッ


「きゃ!」


「うぉっ!」


 誰かとぶつかった衝撃で、後ろへ弾かれたように倒れた。

「いてて」と肩を押さえつつ目を開け、相手の様子を伺う。


そこには、超絶スーパーカワイイ女の子!!!


「だ、だ、だ、だいじょーぶ....ですかぁ...?!」


あまりの可愛さに、つい俺はおかしなテンションで話しかけてしまった。


「イテテテ....あっ、大丈夫です.....!ありがとうございます。」


 かんわいいいいいいいいいいい!!!

手を差し伸べたのはいいのだが、本当に可愛すぎて話にならん。


 整った前髪に、まん丸い茶色の瞳に、今すぐにでも口づけしたくなるほどのぷるぷるした唇.....。

そして、なによりも制服が似合いすぎている.....!


これが「たまらん」というやつか.....。そうなのか....。


「あっあの...?」


「はっ!す、すみません!!つ、つい....えへへ」


「へっ....?は、はい...?」


やっと体を起こすことができた。


「す、すみません....!ありがとうございました。」


その子はペコペコと頭を下げて、俺に礼をした。


「い、いえ!こちらこそすんませんでした。」


 互いに礼を言い合っていると、背後から何か物凄いオーラがした。

なんなんだ....これは....。

強烈な....。


「オォイ!!なにやってんだ!!まき!!行くぞぉ!!」


 びっくりした俺は、思わず振り返った。

すると、猛スピードでこちらに向かってくる全身パンクファッションの男?がいた。


「あわわわ!ごめんなさいいいい!今行きますうう!」


「ありがとうございました」と言い残し、

まきという子はその男の元まで向かって行った。


「ま、まきちゃんって言うのか.....かあいいなぁ....実に....ってか、職場にあんなやつなんていたんだ.....制服着てなかったけど.....」


謎の2人だったな〜なんて思いながらも、仕事場に戻った。




ガチャっと、今にも壊れそうな仕事場のボロいドアを開け、自分のデスクへと向かった。


「ふぅ〜.....なんか色々ありすぎて疲れるぅ....。」

 

 ガチャ


「よぉ〜直樹ぃ〜」


あ、おーまいがー、、、、


「おーまいがー!!!!」


「.....うっっっっっせぇ!!!」


最悪や〜.....宮先輩が来てしまった。


「おいこらてめぇよぉ.....この俺を一人ぽつんと置いてけぼりにするなんてよぉ.....いいどきょうじゃあねえか.....」


「もう〜.....さっきはマジですみませんって〜」


「まっ、いいけどさっ。」


「良いんかいっ!切り替え早!」


「俺だって疲れてんだよ〜!お前から見りゃあ、 モテモテでいっつも合コン行って、女とヤって、日々充実した毎日を送ってるようにみえるかもしんねぇけどさ?黄金の仏さんにも、ちょっとした隙間に埃が溜まってくのと一緒でさ?それが辛いのよ〜〜〜.....」


「腹立つ!!ってか、最後の例えなんなんすか!!わからんでもないですけど、その前が腹立つ!!!」


「だって、しゃあないじゃん。俺はお前じゃないし、お前も俺じゃない。まっ、自分では掴み取れない、他人の悩みの感触もあるってことだな。」


 何気に深いな.....。でも、なんだかわかる気がする。

「ないものねだり」と同じで、あの人みたいになりたくてもなれないとか、そう言った辛さと同じだ。


「はぁ....、なるほどです。なんかよく分かんないですけど、何気に良いこと言ってるのは理解できます。」


「うむ。俺だったらいつでも悩み相談乗るからさ、いつでも来いや!」


「わかりました。じゃあ、一旦冷静になって、元気出して、宮先輩に奢ってもらいます!!」


「おい!!なんでお前なんかに奢らにゃならんのだ!!!」


「ははっ!良いじゃないすか〜!最近は俺の方がついてないんだしぃー!」


「はぁ....わぁったよ....!ってか、もう定時だ!」


「はっ!!まじすか!!!しゃー!!さっさ帰ってゲームしよ!!」


「相変わらず直樹はゲーム好きだな〜またやらせろ!!」


「いいっすよ!!あ、でも奢ってもらってからで!!」


「奢り奢りうるせ!!はいはい!わかりましたよぉー気ぃつけてかえろよ〜」


「どーもです!」


 まずい、つい宮先輩と盛り上がってしまった。

それにしてももう定時か。早いにも程があるだろう。

そんなことを考えながら、デスク周りを片付け帰る準備をした。




「そんじゃ、宮先輩おつかれっした〜」


「おうよ、あんま自分を追い込むなよ〜!」


「わかってますって〜!」


 宮先輩は稀にこういった言葉を俺にくれる。

よくテレビとかでやってる「理想の上司」そのものだけれど、

あの人は感情をうまく乗りこなせないというか、とにかく色々な面で極端な人なんだよな。


「ふぃ〜疲れたなぁ.....今日もあそこ行っちゃいますか!」


とエレベーターを待っていると、後ろから声がした。


「あっ、あの....!先程は本当にありがとうございました!」


振り返ってみると、さっき俺の不注意でぶつかってしまった相手、''まきちゃん''だった。


「へっ?!あっ!あぁ〜!!さっきの!!いえいえ....!こちらこそすみませんでした!」


 緊張しすぎて、俺は思いっきり頭を下げた。

それはそうと、あのモーレツなパンクファッションの人は、まきちゃんと一体どういう関係なんだろう、とものすごく気になった。


ってか、苦笑い混じりの笑顔かわい!


「そういえば、私の自己紹介まだでしたよね....!改めまして、空洞まきと申します...!つい最近転勤と共にこちらへ上京してきました...!」


 まきちゃんは急に手をパンと叩き、自己紹介してくれた。

そして、とても深く丁寧なお辞儀をしてくれた。

名前は知っちゃってるけど、最近こっちに来たんだ....!


「俺は上田直樹って言います!そうなんすね....!俺、結構東京....っつうか、ここ!秋葉原の事なら詳しいんで、遠慮せず、なんでも聞いてください!」


「直樹さんですね!本当ですか....!是非教えてください....!!」


「も、もちろんですっ!!」


 そう俺が言い放った瞬間に、エレベーターが来た。

もっと話したかったな〜なんて思ったけど、今日もあそこに行かなければ。


「あ、すみません....!私、少し話しすぎちゃいましたよね....!またお話ししてください...!」


「いやいや!とんでもない!また話しましょう!」

 

 「さよなら〜」といって互いに挨拶をして、エレベーターのドアの閉めた。

今日も疲れた。時々この会社にいて、「なにやってんだろ」って思うこともあるけれど、それはそれで捨てちゃいけない感情なのかなとか色々と考えてしまう。


 まぁ、その結果が今というわけだが......。


「っしゃ!気ぃ取り直して、あおいとひなんとこ行こ!」


 俺は顔面をパシッと叩き、自分を奮い立たせた。

今回も見ていただきありがとうございました。

ヤンデレの子がまだ出てないので、次くらいには出したいです。

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