(2-56)ゴムを作ろう4(ゴム作り説明会)
よろしくお願いします。
(2―56)ゴムを作ろう4(ゴム作り説明会)
午後になって、説明会をする会場の兵舎に有る大会議室(?)に向かう。取り敢えず陛下は付いて来なかった。多分来ちゃいけないんだろうと思われる。流石に下々の人々に簡単に顔を見せるのは価値が下がるんだろう……。違うかな、仕事が有るのかも知れないね。
宰相と一緒に会議室に入る。当然なのかな宰相の護衛も一緒だ。自分も今日は剣は持って来てないから暗殺者がいたら困ってしまう。
会議室には、人がいっぱい、商会と工房から来てるんだから多くなるなおは仕方無い。流石に全員椅子に座っているので、宰相が来たからと言って跪く事は無かったが、一応起立して礼を取っていた。
「本日は、王国の呼び掛けに集まって貰い感謝する。未だなんの為に呼ばれたのか判って無いだろうが、この後、ナギ閣下に詳しい話しをして貰う。ナギ閣下宜しくお願いします」
『はぁ? ナギ閣下だぁ? 宰相は何言っちゃっての? 頭狂ったんじゃね?』
思わず宰相を睨んでしまう。宰相は口笛でも吹いてる感じで、どこ吹く風って感じで笑っていやがる。全く何で閣下って呼ばれなきゃなんだよ! とは言え、今文句を言う訳には行かない。説明を始めないと……。
「ナギです。本日は宜しくお願いします」
先ずは、集まって貰った工房さん向けのプレゼンテーションを始める。何を使って、何を作るのかを説明した。
「最終的には、出来上がった生ゴムを使って、長靴を作って貰いたいと思っています。紙を回しますので、見て下さい、見終わったらら次の工房さんへ渡してください。各商会さん達は、後ほどこの紙を見てご自身の紙に写して行ってください」
「次に、各商会さんに依頼する仕事が有ります。期限は一ヶ月です」
依頼するのは、鍋。各工房でゴムを温める時に、同じ量で実験して貰わないと、同じ物が作れなくなるので。大体一リットルの容量の鍋を作って貰う。容量が一緒ならば良いと言う物では無いので、全く同一規格の物を作って貰いそれを各工房に渡す、最低でも三つ。
次にに、ゴム作りに使う硫黄の量も判るように、一センチ×一センチ×一センチの容量の小さな枡を作って貰う。多分この位で有れば調整出来る気がする。これも統一して貰う。それと、窯を工房に作る事。窯の熱が異なると困るので、これも同様のサイズの窯を工房に作って貰う。当然投入する炭も同じ大きさの物を用意して貰う事に。大体これで各工房での条件が揃う事になる。
作り方は説明したので、各工房に、生ゴムを作る時の硫黄の投入量一立法センチ単位で振り分けた。一回目のゴム作りが終わったら次は十一立法センチ~二〇立法センチに変えて貰う。硫黄投入量の上限が不明なので一応二一立法センチ~三〇立法センチまで実施する事に、硫黄の量が少ない場合と多いは場合は失敗する可能性が高い事も伝えておく。次に注意事項。絶対に守って貰わないといけない事。
「商会から、道具が一式揃ったら、ゴム作りを開始して貰います。大体一ヶ月後位になります。この段階で一旦進捗を確認したいので、一旦集まってください。
次の目標は生ゴムを作る事です。これは作り始めてから一ヶ月後を目処にしています。なので本日から二ヶ月後に再度集まって貰い、結果を持って来て貰います。結果とは出来上がった生ゴムだけでは有りません。どの条件で作ったら出来たと言う報告書とセットです。それと失敗した報告書も重要です。どちらかと言えばこちらの方が重要度は高いです。何をしたら失敗したのかキッチリ報告書に纏めてください。これが無いと、他の工房で同じ物を作ろうとしても出来ない可能性が有ります。微妙な差が大きな影響になる可能性が有るからですね。当然、レシピは全て王国の物になりますので、レシピを隠匿した場合は、報酬も払いませんし、処罰しますので認識しておいて下さい。長靴作りはその後一年程掛けて作って貰う予定です。もっと短く出来るかも知れませんが……」
先ず、皆さんの顔を見ると少しビビっている感じがする。面倒事に巻き込みやがってって感じだね。
「王国からの貸与品は、ゴムの樹液、硫黄、それと振り子時計です。ゴムの樹液、硫黄は消耗品ですので返却不要ですが、振り子時計は、長靴が完成したら返却して貰います。ただし返却時に購入希望が有れば王国から販売します。次に各工房に支払う金額ですが、月に大金貨二枚です。まあ商会と相談して取り分を決めて下さい。ただし商会さんは取り過ぎないように。個人的意見は一割ですよ。出来れば全額工房に払って欲しいとは思います」
報酬の話しをしたら、なんか元気が出て来た感じだね。やっぱお金は重要だよね。
「次に、硫黄の取り扱いについて、超重要な話しが有ります。実際に実験した方が判り易いと思いますので、外に出ましょう。宰相少し広い場所は有りますか? それと火を使いたいので、炭が欲しいのですが……」
「広い場所は、軍の訓練場が使えます。端の方であれば訓練を止める必要も無いでしょう。炭は直ぐに用意させます」
全員で、軍の訓練場に向かう。会議室自体が軍の施設なので、出たら直ぐ目の前だ。伝言された兵士さんが炭を持って来てくれた。それと一応トングも。
「炭に火を付けてください」
兵士さんに頼む。自分でやっても良いけど。ここは頼むのが正解だろう。偉そうにしておいた方が良さそうだから。多分、宰相も偉そうにしろって意味で閣下と呼んで来たんだろうね。リウットさん以外は全然知らない人達だからな。
「ハッ!」
兵士さんが、着火魔法で、炭に火を付けてくれた。しばらくして大分良い感じに燃えて来たので、実験する。
「風上の方へ移動して下さい、危険ですからね」
硫黄の塊を地面に置いて、そこに燃えている炭を乗せた。シュワ~って感じで硫黄全体に一気に火が着いて行く。
『良く燃えるなぁ……』
燃えたガスが危険なんだよね。亜硫酸ガス……と言うか二酸化硫黄。どっちも一緒だけど。このガスを水に溶かせば亜硫酸が出来るんだよね。それに酸化剤よして過酸化水素水を入れると、更に酸化して、硫酸が出来るんだけどな。
「見て判る通り、硫黄は簡単に燃えるので取り扱い注意です。火事になって工房が焼けても責任は取りませんからね。燃えた時の煙も危険ですから注意してください。それとこの硫黄は戦略物資になりますので、ゴムを作る時の使用量はハッキリと報告書に記載してください。それと硫黄の情報を、人に漏らさないように。特に他国に硫黄の情報を流したのが発覚したり、使用量を過大報告して、何処かに横流しした場合は、工房だけで無く、仲介した商会も罪に問います。まあ簡単に言えば死罪ですよ。それだけ重要な物なんです。判りましたか?」
皆さんを伺うを、ビビった感じで頷いて来た。自分的には流石に死罪にするつもりは無いけどね。でも実際に起こったらかなり厳しい処分がされるハズ。
実は、硫黄が揃ったので既に火薬を作る事が出来る状態になったんだよね。なのでこの位言っておかないといけない。
火薬の原料は、硫黄、炭、硝石なんだけど。硝石も既に有るのが判っている。ハムを作るのに使われているから。ハムを焼いても色が、ピンクだから間違い無いと思う。防腐剤兼発色剤に硝石が使われているハズだ。なので材料を集めれば火薬が出来てしまう。今の所は教える気は無いし自分で作る気は無いけど、誰かが気付くかも。特に王城の職人さんは、色々と実験して見ると思うから。要注意だね。
硫黄だけでも、粉にして大量に敵陣にばら撒いちゃえば、かなりの効果だって上げられる筈だもんね。ガスの発生も有るけど、燃え易い物が周辺にあれば火攻めが楽に出来ちゃうから。出来れば思い付かないで欲しいとは思うけど。
取り敢えずは、こんな所かな。
一旦会議室に戻って、説明会をお開きにした。質問が有る場合は、商会経由で王城に出して貰う事に。持って来た資料を会議室に置いて、自分と宰相は退散する。各商会が写し終わったら、宰相の部屋迄持って来て貰う事にした。




