(2-55)ゴムを作ろう3(黒板とチョーク)
(2―55)ゴムを作ろう3
翌日、王城に朝食後に向かう。今日は午後から工房さん達とゴム作りの打ち合わせを行うので、その前の事前打ち合わせを宰相とする為だ。
「ナギ殿、本日は、よろしくお願いします」
「はい、判りました。会議室の準備は大丈夫ですか?」
「大丈夫です。軍の施設の会議室を使えるようにしています」
今日はゴム作りの基本説明をするけど、実際のゴム作りは工房に持ち帰って貰って行って貰うので、王城でゴム作りはしない。と言っても王城内の職人さん達にも集まって貰うので、王城でも作る事にはなるだろう。
「それでですね。作って欲しい物が有るんです。ゴム作りにも……。現場では無くて会議室で使うんですけど……他の事でもかなり使える物なんですよ」
「なんですか?」
紙に書いて来たのを見せる。大した物では無いんだけど、絶対に必要な物だ。
作って欲しい物は、黒板とチョーク。黒板は硯石で作ると最高級の物が出来ると思うけど、先ず不可能だと思うので、板を墨で黒く塗って貰って、漆を塗りヤスリか砥石でザラザラとした感じになるようにして貰う。漆はむっちゃ固くなるからチョークで綺麗に書く事が出来る筈。
チョークは、卵の殻を集めて貰って焼いた後、超細かく粉にして貰って、膠で棒状に固めて貰う。卵の殻の粉が余ったら貰いたいと思う。自室の裏に撒いておきたい。カルシウムはトマトを育てるのに重要だもんね。まあ余らないとは思うけどね。使い始めたらチョークは消耗品で常時作らないといけなくなるだろうから。足りなくなるようなら、鶏のエサで使う貝殻を集めて貰い、貝殻からも作った方が良いだろう。
「これは今日使う物では無いんですけど、今後、ゴム作りの進捗管理に使うつもりです。他にも使い道は沢山有りますよ。会議で使うのが一番だと思いますし、戦争で作戦を考える時にも有効でしょう。なんと言っても書いても直ぐに消せますからね。重要な会議には別途、紙に移す書記を用意をした方が良いですよ。それと勉強を集団に教えるのにも絶対に有効です」
「ほう、戦争でも有効なのか……ナギ、もっと詳しく教えろ」
陛下は、なんで軍事関係ばっか興味が有るんだ? 自分的には教育に使うのが一番重要なんだけどな。手に持てるサイズの黒板を生徒に配れば、無茶苦茶勉強が捗るって思うもん。書いて覚えるってのは重要だよ。
面倒だけど、黒板とチョークを作って貰う為に説明する。
先ずは準備段階で、兵数、糧食等を準備する担当決めや、量。そんなのを黒板に書いて、いつ迄に誰が責任を持って実行するのかを書いた方が良いよって。他にも、総大将配下の将兵を決めたりなんだり……。まあ戦争前には、作戦決めとかも有るだろうしね。作戦名だってカッコイのを決めるのだって有ると思う。〝Twilight Of the Crabs(蟹々の黄昏)〟とかラグナロックっぽくてカッコいいもんね。
次に、実際の戦場で使用する場合は、テーブルの上に置いて、地形、敵の陣形や兵力、武装(騎馬、槍、弓、剣)を、その場で描いて行って。それに対応した作戦を考えるのに使える。そんな事を説明した。まあ使い始めれば、普通の会議の方が有用だって判るだろう。
「フム……。確かに使えそうじゃな。それでどの位、ゴム作りには必要なんじゃ?」
「そうですね、最低でも、一メルト(縦)×二メルト(横)の物が三枚、出来れば五枚位有ればと思います。ちゃんと脚を付けて立つようにして欲しいです。チョークは出来る限り沢山ですね。消耗品ですから随時追加して貰いたいです。書いた文字を消すのは、まあ布で有れば直ぐ消せますけど、水を絞った雑巾であれば早くキレイに消せるでしょう。一ヶ月位で出来たら良いかなと思います」
「判った。手配する事にする」
良かった。やっぱ進捗管理は、黒板に描いてフォロー出来るようにしたいもんね。小さい個人用の黒板は、未だ先で良いかな。教育現場が整って無いもんね。
「それと、購入して欲しいのが有るんですけど……今回、ゴム作りに集まる工房は幾つ来ますか?」
「王都の商会に依頼しましたが、複数と取引してる工房も有りましたので、商会の数よりも少なく、十の工房が来る予定です」
「商会も来ますよね?」
「はい、来ますよ。各工房は直接王城に来る事は無いので、案内をする商会が必要ですから……。それにナギ殿と付き合いの有るロテック商会は兎も角、他の商会は、ナギ殿と顔を繋ぎたいと思っていますから喜んで来ると思いますよ。まあナギ殿の事は話してはいませんが、今回は誰が何かをしようとしているのかは推測しているしょう」
「はっ? 何それ?」
「お主は、自分の価値を判っておらんの……。まあ別に構わんのじゃがな……。王都では、地方領主の御用商人のロテック商会が最近、売上を伸ばしているのは、他の商会も判っておる。その原因が、ナギ、お主だと言う事もな、商人共も独自の情報網を持っておるからの。今日、ここで顔繋ぎしたいと、出来れば何か情報を貰いたいと思っておるのじゃろうな。まあ、今のお主を見て気軽に声を掛けて来るバカな商会連中は居ないと思うがの」
いや、そんな事言われても困るんだけど……。でも流石に勝手にミグラス伯爵家に来る事は無いよな? 金持ちの商会でも伯爵家に押しかけたりしたら、プチっとされちゃうもんね。
「で、購入して欲しいと言うのは何じゃ?」
「それはですね、各工房に、振り子時計を渡したいんですよ。ゴム作りで、時間を図る事が必要になります。多分ですが、各商会も未だ振り子時計を持ってる所は少ないと思いますので、工房に貸す事は出来ないでしょう。なので発注を纏めてるのは王国ですから、直接優先購入して欲しいんです」
「そうか、判った次の十台は優先的に工房に回す事にする」
「ちなみに無料で渡す必要は無いですからね。期間限定の貸与でお願いします。返却時に返すか購入するかは工房の判断で構わないです。一応期間は一年を予定しています。多分購入するとは思いますけどね」
現時点で、振り子時計は高級品だし、手に入れるのが難しいもんね。一年後でも手に入れるのは未だ難しいかも知れないから。工房は購入すると思うな。
「それで、各工房への報酬はどの位を考えていますか?」
「ナギ殿の考えは、幾ら位ですか?」
「そうですね、かなり高額を払った方がプレッシャーになってちゃんと物が出来るとは思います。ペナルティーも考えていますからね。大体月に大金化二枚(二百万ネィ位)程度渡したら真面目に取り組んでくれるかなと思っています」
「フム……。将来の事を考えれば、その位は仕方無いかも知れませんな。その金額で手配する事にします」
「有り難う御座います」
やっぱ国家だと違うよね、最大で開発に三億ネィ以上掛かるのに、ぽんと出せるんだもんね。長期で見ればメリットは大きいと思うけど、一〇年程度は利益は出無いとは思うな。取り敢えず、午前中の打ち合わせは、これで終了した。




