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(2-53)森の恵みを食べよう3(アルフォノ)

よろしくお願いします。

(2―53)森の恵みを食べよう3(アルフォノ)


 夕方、ハッシュが王城から戻って来て、応接室に呼ばれる。


「ナギ、今日の夕方マーヴェイ殿下が来る。肉の事を話したら、食べに来ると言っていた」

「マーヴェイ殿下は、王宮で食べれば良いんじゃね?」


「そうだけどな、定期的な狩りならば王宮にも回るけど、今回は違うからな兵達で食べる事になるだろうな」


 そっか。まあそうなんだろう。会った事無いけどラビッシュ王太子殿下は、肉を食べるのに狩りに良く行ってたのかもね。


「俺、兵士さん達の肉祭りに行きたいんだけど……。王城の兵士さん達も来るし……」

「マーヴェイ殿下の食事が終わってから参加しろ。一応ナギは、マーヴェイ殿下の従者なんだからよ」


 まあ仕方無いな。従者っぽい事は今迄した事無いけど〝一応〟従者だし……。肉祭りに間に合わないようなら接待は料理長に頼む事にしよう。何を作るのか決まっているので大丈夫だと思う。


 自室で着替えて、マーヴェイ殿下の到着を待つ。


 丁度、夕食の頃合いになってマーヴェイ殿下とアルフォンシーノ殿下が一緒に来た。


「ハッシュ。肉食いに来たぞ!」

「くいにきたぞ!」


「マーヴェイ。そんな言葉使いは駄目ですよ。アルフ(アルフォンシーノ)が真似します、現に今も真似してますから」


 レスフィーナ様が嗜める。それは良いけどアルフォンシーノ殿下は肉の塊は食べれないんじゃ無いかな……。料理長が食べれる物を用意すると思うけどね。


「すいません、姉上」

「あねうえ!」


 アルフォンシーノ殿下はレスフィーナ様の所に駆けて行きレスフィーナ様が抱きかかえる。そのままハッシュ達が使う食堂へ向かった。


「ナギ」

「何でしょうか、マーヴェイ殿下」


「お前も座ったら?」

「いえ、従者ですし、料理長は自分の分は作ってないでしょうから」


 まあ料理長なら緊急事態でも直ぐに対応出来るとは思うけど、緊急事態にしないほうが良いからね。


「ハッシュ。料理長に確認してくれ」

「はい。ハドック(家宰)頼む」

「判りました」


 ちょっ! なんで俺が一緒に食べるの前提になってるんだよ。


「ナギ。その勲章、いつ貰ったのか知らねえけど、そんなの付けてる奴を立たせてる訳にいかないんだよな……マジで」


 どう言う意味だ?


「マーヴェイ殿下、この勲章って何なんですか? 宰相から聞いた話しでは、陛下と食事する事が出来る勲章と言ってましたけど。因みに、騎士服に勝手に縫い付けて有ったんです。自分は叙勲して貰った訳では無いんです」


「えっ? 知らねえの?」

「知りません。さっぱり判りませんね。外すのは駄目だと陛下がおっしゃってましたが」


「その勲章が有れば、確かに陛下主催の晩餐会に出席出来るけど、意味は違うんだよ」

「意味が違う?」


 マーヴェイ殿下が説明してくれる。


 グランデルグ王国では、陛下主催の晩餐会に、出席出来るのは、侯爵以上の高位貴族のみ、例外として、この勲章を授与された者との事。普通と言うか、今迄は例外無く功績の有った伯爵を叙勲して渡していたらしい。


 取り敢えずは、例外中の例外で貰ったのは判ったけど、勲章持ってたからと言ってマーヴェイ殿下と食事をすると言う理由が判らない。


「マーヴェイ殿下、意味が違うと言うのが判りませんが……」


「えっとだな、グランデルグ王国は、公爵、侯爵はこれ以上増えないと言うか、増やさないんだ。高位貴族を増やす事はしないんだよ。公爵家、侯爵家はずっと古い家だけど、昔は兎も角、今は何か功績が有る訳でも無いから。高位貴族を増やして権力を与えるような事はしないんだ。一応、何処(どこ)かの家が潰れたら、代わりに功績の有った伯爵家を陞爵すると言う事は有るけど。一応幾つか侯爵家の空きは有るけど今の所は何処(どこ)かの伯爵家を陞爵する事は余程の功績が無ければし無いだろう。

 だから普通の貴族がなれるのは、伯爵迄なんだよ。で伯爵が、その勲章を持つって言う意味は、功績が有るってのもだけど、宮廷序列が、1.5段階位上がるんだよ。爵位は伯爵でも、実際は公爵の直ぐ下位に扱われるんだ。

 俺と、アルフ(アルフォンシーノ)は、王族だから晩餐会には今の所普通に出席出来るけど……アルフ(アルフォンシーノ)は未だ出席はした事無いけどね。出席したら騒ぐし、寝るだろうからな。俺は成人したら爵位を貰って何処(どこ)かの領地を貰うと思う。多分伯爵位だとは思う。その時に俺にも、その勲章が授けられる。じゃないと晩餐会に出席出来ないからな。

 要は、その勲章は、大体伯爵が貰うモノで、持ってる者は、侯爵より上に扱うのが決まりなんだよ。だから今、この場では俺に次いで偉いって事だ、ナギ判ったか」


 なにぬねの……。


「い、いや、でも、その……。騎士爵の1.5段階上って……男爵のちょっと上じゃ無いんですか?」


「まあそうだな、だけど王城では、ナギの爵位なんて誰も判って無いだろうから、当然、侯爵以上の扱いをするぞ、それと、例え男爵だとしても、ハッシュは未だ後を次いでないから、この場では、ハッシュよりも上になるな。ちなみに勲章はミグラス伯爵も持ってるし、宮廷貴族のボニート宰相も伯爵だから持ってるぞ。公爵や侯爵が貰う事も有るらしいけど、今の陛下は叙勲した事は無い。それと領地持ちの貴族は国営には参加出来ない事になってるから、ハッシュは将来、王城に務める事は無いな」


 なんだよ、宰相は、タダの〝お食事券勲章〟みたいな事を言ってたじゃんよ。本当に位の高い勲章じゃん! 全然違うし! ムカつく。


「と言う事で、ナギ、夕食の準備も出来たみたいだから、席に付け、命令だ」


 渋々、席に付く。


「俺、テーブルマナー知らないんですけど」

「気にしなくて良い。アルフ(アルフォンシーノ)も出来ないから。それに姉上はアルフ(アルフォンシーノ)の面倒見るからマナーなんて無理だろうからな」


 いや、ちびっ子と比べても……。


 仕方無いので、適当に合わせる事にするけど……。出来るかな? 初めてのお使いより難しそうだ。


 食事は、なんかコース料理なんだよね……。和食みたいに全部一緒に出して貰えれば良いのに……。なんだけど、前菜、スープの後に、アルフォンシーノ殿下の前には、どう見てもナポリタンが置いて有る。自分達の前には、メインディッシュの肉。これはイノシシだな。


「ハッシュ。アルフ(アルフォンシーノ)の前に有る料理は何だ? あんな赤い料理は今迄見た事無いぞ」

「えっと、俺も判らないです。アルフォンシーノ殿下には肉料理は厳しいと思ってウチの料理長が出したんだと思います。人参で作った物ですかね?」


 アルフォンシーノ殿下は、ボロボロと溢して口の周りを真っ赤にしながら、フォークで食べている。レスフィーナ様が何度も口の周りを拭いている。手掴みを卒業したばっかり位だろうから、下手なのは仕方無いと思う。


「アルフ(アルフォンシーノ)。美味いか?」

「うん! うまい! むっちゃうまい!」


「アルフ(アルフォンシーノ)、俺にも、少し分けてくれ」

「だめ! いや! あげない! ぼくのだもん。でも あねうえは たべる?」


 アルフォンシーノ殿下はナポリタンを無茶苦茶気に入ったんだろうな。今迄無かった物だし。多分料理長がカスタマイズして更に美味しくなってるんだろう。


「アルフ(アルフォンシーノ)は、私に分けてくれるの?」

「うん! いいよ!」


 レスフィーナ様が、上手にフォークにパスタを少量巻いて口にした。

「あねうえ おいし?」

「ええ、すごく美味しいわね」


 レスフィーナ様も気に入ってくれたようだけど、社交辞令かな?


「アルフ(アルフォンシーノ)、なんで俺は駄目なんだよ!」

「だって にいさま いじわる するもん」


「マーヴェイ。アルフ(アルフォンシーノ)は、未だ小さいんだから意地悪しちゃだめよ」

「してねえよ!」


 そうだよ。気を付けないと、本人は意地悪してるつもりが無くても、アルフォンシーノ殿下は意地悪されたって思うんだからさ。


「ハドック(家宰)、料理長に言ってもうひと皿……いや二皿頼んで来てくれ」

「畏まりました」


 ハッシュも食べるのか? 今は言わないけど、トマト使ってるって判ったらどうするんだ? まあ食べて驚けば良いんだけどな。


 直ぐに給仕さんが二皿持って来る。料理長は少し多めに作っていたんだろう。()しかしたら賄い用かも知れないな。二人が直ぐに食べ始める。


「美味っ!」

「マジで美味っ。ハッシュ! これなんて料理だ? 王宮でも作って貰うから、教えてくれ」


 マーヴェイ殿下、無理だよ。ハッシュも初めて食べたんだから。それに王宮でも作れないと思うよ、レシピって結構重要だと思うもん。公開してくれないんじゃ無いかな?


「えっと……。俺も初めて食べるんで、料理名は……。ハドック(家宰)、料理長を呼んで来てくれ」


 ハドックさんに呼ばれて料理長が来る。


「若旦那様、御用があると伺いましたが、なんで御座いましょう?」


「この、パスタの料理名は何だ? マーヴェイ殿下が、王宮でも召し上がりたいと言っているので教えてくれ」


「えっと、それは……。私も判っていません。ナギ様が作った料理なんです。なのでナギ様、料理名を教えて貰えますか?」


 えぇ、俺? 別に料理長がオリジナルの料理名付けて構わないんだけど。


「ナギが作ったのか?」

「最初はそうだけど、多分料理長が、更に美味しくしてると思うよ」

「それは、良いけど、なんて料理名だ?」


 さて困ったぞ。ナポリタンなんて言っても意味不明だもんな。グランディアン、グランドプリックス、グランド・バザール、グランド・スラム……。それも変だよな、そもそもトマト料理が無いのに、王国名を料理名にするのも……。


「えっとですね、料理名を聞いても、王宮では作れないですよ」

「なんでだ?」

「だって、コレ、トマトを使った料理ですから、王国ではこの前(ようや)く食べても大丈夫って陛下がお墨付きを出したばっかりですからね。この料理を作れるのは、世界でこのミグラス伯爵家の料理長だけですよ」


 取り敢えず料理長を持ち上げておく。さてマジで料理名をどうしようか。


「えっ……。トマト? マジで?」

「ハッシュ見て判るだろ? こんな赤い料理有るか?」


 見た事は無いだろうけど、寒い地域のカッセルブラッド王国ならボルシチが有るかも知れない。でもここでは他に赤い料理は見た記憶が無い、激辛唐辛子まみれも無いし。あぁ、麻婆豆腐とご飯が食べたくなって来た。


「トマトって、こんなに、美味いんだ……」

「ハッシュ、生のトマトは、もっと違う味だからな。料理長、今後はサラダにして出しても大丈夫だと思いますよ」

「そうですね。トマトは生でも美味しいですからな」


 と言っても、あと少しでトマトも食べれなくなるだろう。


「アルフォンシーノ殿下。美味しかったですか?」

「うん。おいしかったよ!」

「アルフォンシーノ殿下。この料理名に、アルフォンシーノ殿下の名前の一部を貰っても宜しいでしょうか?」

「ぼくの なまえの りょうりめい に なるの?」

「ええ。そうですよ」

「いいよ! どんな りょうり めい?」


「この料理名は、アルフォルノですね。アルフォルノ・パスタです。アルフォンシーノ殿下が最初に気に入った料理名として、これから王国で知られて行くでしょう。何百年経ってもアルフォンシーノ殿下の名前は後世に伝えられて行きますよ」

「やった! ぼく の りょうりだ! にいさま は りょうり ないもん ぼくの かち!」


 ちょっと違うけどアルフォルノで良いか。チーズを乗っけてオーブンで焼けばアルフォルノになると思うし。


「お、おい! ナギ、俺にも何か俺の名前の付いた料理をくれ!」

「そう言われても……無いですよ」


 そんなんで、ちびっ子に対抗しなくても……。なんか有ったらマーヴェイ殿下の名前が付くような物を考えておこうかな。と言っても難しい感じがする。マーヴェラス(驚くべき)なんちゃらになるかな……。サーロインをマーヴェラス・ロインとかに……。


 メインディッシュを食べる時に色々有ったけど、その後はデザートを食べてお終いだった。全くテーブルマナーの勉強は出来なかったけど、緊張せずに食べれたので良かった。こんな雰囲気なら良いんだけどね。王宮の晩餐会や陛下との食事がこんな雰囲気になる訳が無いので絶対に行きたく無い。





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