(2-50)ゴムの樹液採取3(これは何だ?)
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(2―50)ゴムの樹液採取3(これは何だ?)
帰りもVIP待遇で馬車に揺られミグラス伯爵家に着いた。ミグラス伯爵家の衛兵さんが、偉そうな馬車にビックリしてたけど降りて来たのが自分だって判って更に驚いていた。
急いでハドック(家宰)さんにハッシュが戻って来ているか確認して、ハッシュの執務室に向かった。
「おっ、ナギ。どうした? そう言えば騎士になったんだよな、お目出度う。子爵か男爵になるのかと思ったけどな」
そうだ、それも確認しなきゃと思った。ハッシュの方は自分の姿を見ても特に変わった感じはしない。
「ああ、取り合えず有り難う。あのさ聞きたいんだけど、この服って、騎士爵の服で間違いない? なんか高位貴族の服とか?」
「ああ間違いないよ……。そもそも爵位が上がっても、あんまり変わらないし胸の飾りが増える位だからな」
そうなのか……じゃあこの飾りが怪しいのかも。
「じゃあ、この飾りは何だ? 勲章にも見えるんだけどさ」
「お、俺は……し、知らないし見た事無い! な、何も聞いてない!」
『ハァ? 見た事無い? それって変だろ! ここには居ないかもだけど、ミグラス伯爵家の領地には騎士もいるだろ?』
って言うか挙動不審だ。絶対に何か知ってるハズ。
「おい、ハッキリ言え! これは何だ? ハッシュが見た事無いってどう言う事だ? って言うか何も聞いて無いってなんだ?」
「だって言えねえもん! なんか功績が有って陛下から叙勲して貰ったんじゃねえの? 勲章は叙勲して貰うハズだからよ」
嘘くせー! 絶対に口止めされてるよな! だけどハッシュの言動から、勲章らしいと言うのが判った。
『コレ(勲章みたいなモノ)が今日起きた怪しい事の原因か……。全く陛下は余計なオマケまで付けて来やがって……』
絶対に陛下だよな、いや宰相の入れ知恵か? 貰った騎士服三着とも縫い付けて有ったんだよな。勲章なら普通一個だろ?
ハッシュは、これ以上教えてくれないみたいだ、なんか知ってる感じが無茶苦茶するんだけどな。
「ハッシュ。騎士服の事は、判んねえ事が判ったからもう良いや。んでさ、今日なんだけど夜に王城の兵士達十人を、ミグラス伯爵家に呼んでも良いか?」
「屋敷を使うのか?」
「いや、俺の自室の所。裸祭りしてる時だから」
「じゃあ構わない、あんまし煩くしないでくれればな」
それは保証できないな。まあ許可は貰えたと言う事で速攻で馬車に戻り、王城へ向かう。
王城では、先に兵士さんが先触れとして王城へ連絡しに馬で走ってくれたので、王城に着いたら、陛下と宰相が出迎えてくれた。相変わらず陛下は暇そうだ。暇イコール平和だと思う事にする。
「ナギ殿、ゴムの樹液採取は、どうでしたか?」
「はい、特に問題なくゴムの樹液採取は出来ました」
一応、幾つか見つかった問題点を報告する。それと、猟師さんの縄張りは除いて森の獣を狩って欲しいとも伝える。樹液採取中に獣に襲われるのは困るからね。ゴムの樹の場所も見つけておいて欲しいと。ゴムの樹が無い森を彷徨っても意味が無いからね。
「解りました、軍の兵達を狩りとゴムの樹を探すのに向かわせる事にしましょう」
「ゴムの樹液はともかく、荷台の上の獣が多いな……随分狩って来たんじゃな」
「ええ、まあ樹液採取中に時間が有りましたから。イノシシの肉は冷やした後分けて貰いたいです。明日辺りに取りに来ます」
やっぱ生肉は、あんまり食べれないから良いよね。
「他にも、持って来てるみたいですが、その土まみれのモノは何ですか?」
宰相は目ざといな。隠してる訳じゃ無いけどさ……。
「コレですか? コレは、山芋と蓮根です。山芋はムカーゴ(零余子)の蔓の下を掘ると取れるんです。蓮根はロタース(蓮)の根の部分です。まあ両方共味はどうかな……」
「食えるのか?」
「間違い無く食べれますよ。でも、もしかしてコレも毒味が必要なのでしょうか?」
「ボニートどう思う?」
「一応、毒味した方が宜しいかと……」
「じゃあ、山芋は寒くなってムカーゴ(零余子)が育ってから掘るようにして下さい。もっと大きくなってますから。味が良いと判ればムカーゴ(零余子)を畑に植えて山芋を育てた方が良いかもですね。森で掘るのは大変ですし、冬前ですと腹を空かせた獣に襲われる可能性も有りますから。蓮根はもう少し早くても良いとは思います。ですが育てるのは難しいでしょう。池を作る必要が有るので、食べれると判っても冬になってからでは採りに行くのは結構危険ですよ水が冷たいですからね」
王都は一冬過ごして比較的温かいとは思った。それでも体感で一〇度以下になる事も多い。公転軌道がそこそこ楕円だと思われるので、夏、冬の寒暖差が大きいんだと思う。
蓮根掘りは専用の農具を作れば良いかも知れないね。どんな農具が有れば良いのか良く判んないけど。それと今日みたいな池ならば、全身が入る胴付長靴が有ればもっと楽に採れると思う。未だ長靴も出来て無いから作るのは遥か先になるだろう。
「で、陛下、宰相。この騎士爵の服に付いている勲章はなんですか?」
「そ、そんな物は付けてないぞ」
既に言動が怪しいな。
「ミグラス伯爵家に、ここへ来る前に寄ってハッシュに聞いたら、これは勲章らしいじゃ無いですか。そんなの貰った記憶は無いんですけどねぇ……」
「あのバカ! なんでバラすんじゃ」
やっぱりね。全く騙しやがって。
「じゃあ勲章なんですね。外しても良いですか?」
「絶対に駄目じゃ! お主は約束したでは無いか、〝王城に来る時はその服で来る〟って言ったであろう」
くっ……揚げ足を取りやがって! ムカつく! でも確かに言った事は間違いない。
「判りました。勲章を外す事はしませんし、王城に来る時はちゃんと着ますよ。で、これは何なんですか?」
「ナギ殿、それは陛下と食事が出来る勲章です」
「はぁ? そんなの要らねえ」
って言うか、陛下と飯食う為の勲章が有るのか? そっちの方が驚きだよ。
「をい! 結構位が高い勲章なんじゃぞ」
「だって、別に陛下と食事する事なんて無いですよね。テーブルマナーも良く判りませんし」
ナイフとフォーク位は使えるけど、他が全然判んねえもんな。
「じゃあ夕飯に誘ってやる!」
「お断りします。絶対に行きません。仮病になります」
「では、テーブルマナーを覚えて貰う為に王城へ呼びましょう。ナギ殿は用が有れば呼んで良いと、呼べば王城に来るとマーヴェイ殿下に伝えた筈ですよね」
確かに言ったな……。だけどこんな用事で呼ばれるなんて思って無いよ。トホホだよ。
「宰相、ズルいです」
「ズルく無いですよ。テーブルマナーは覚えて損はしないですよ」
「じゃあ、ハッシュも一緒に呼んでください」
「あ奴は、未だワシと食事する権利は無い」
「じゃあ、ハッシュにも同じ勲章を授けてください、レスフィーナ様の旦那さんなんですし、マーヴェイ殿下の守役、剣術指南役なんでしょ?」
「むむむ……。ボニート、どうじゃ? ハッシュを叙勲しても大丈夫か?」
「まあ、伯爵家を継いでからの予定でしたが……。多少早いですが叙勲しても周囲は反対しないでしょう」
「判った、ハッシュにも同じ勲章を渡す。それで有れば王城に来るのだな」
「まあ、嫌ですけど、呼ばれたら行くしか無いですからね」
全く、面倒な物を寄越しやがって! テーブルマナーは確かに役には立つとは思うけど、役に立たない所で生活したいよ。
取り敢えず、今日の要件はお終い。採って来た山芋と蓮根はそのまま持ち帰る事にする。明日肉を貰って、明後日ゴム作りを開始すれば良いだろう。
採って来た山芋と蓮根が、結構重いので、偉そうな馬車でミグラス伯爵家まで送って貰った。今日、偉そうな馬車が使われた理由は勲章の所為だろう。それと王城の衛兵さんが驚いていたのも。




