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(2-35)気球作り4(飛べ! グランデ・ベンティ号)

よろしくお願いします。

(2―35)気球作り4(飛べ! グランデ・ベンティ号)


 気球が出来上がった。一応予算内でギリギリ納まった。


 この気球で、一番重要な所は、ゴンドラを吊るす部分。ここは別途作って貰った、直径二メートル位の鉄の輪を、これでもかと言うくらいに頑丈に縫って止めた。ここが切れたらゴンドラが落ちてしまう。ダンプバルブも四箇所付けている。まったく使う必要は無いんだけど、一応これが無いと、操作して無いってバレてしまうだろうから。


 藤製のゴンドラ内に、レンガで窯を作っているが、正直燃えないか怖い。金属のゴンドラにすべきだったかも。


 まあそれはおいて、試験飛行をしないといけない。布製なのでヘリウムを入れても相当漏れる筈なので、漏れる以上に供給する必要がある。


 だがその前に、人力でそこそこ空気を送り込んで行かないと、色々と不思議がられてしまう。なので事前に、少し大き目の板を何枚か用意して貰っている。団扇(うちわ)の代わりだ。


 そんなこんなで浪漫飛行をする為に王城へ。別に会いたいとは思って無いけど、宰相の所へ行った。


「ナギ、飛ぶ所を見せてくれるんじゃろ」


 相変わらず陛下は、宰相の執務室に居る。実は此処(ここ)が陛下の執務室で、宰相が来ているのかも知れない。どっちの部屋も豪華だからね。


「陛下、見たいんですか?」

「見たい」


「見物料取りますよ?」

「幾らだ?」


「冗談です。場所も貸して貰いましたし、お金も貸して貰ってますから……あっそうだ、これ借金の返済に当ててください」


 ミグラス伯爵家の風呂の設計料で貰った大金貨一枚(百万ネィ)を陛下に渡す。


「フム。本気で返して来るとは思わなんだ。良く大金貨一枚持っておったな」


「返しますよ、返さなきゃ一生借金が付いて来るじゃ無いですか。その金貨は働いて稼いだんです。一応毎月十万ネィを返済して行く予定です。完済まで十二年待ってください」


「まあ期待せずに待つ事にしようかの」


 陛下、宰相と一緒に、気球の置いてある倉庫に向かう。相変わらず王城の中は複雑なので何処(どこ)を通っているのかさっぱりだ。まあ一度通れば覚えるんだけどな。


 倉庫の所迄来た。宰相が事前に指示を出していたのだろう、兵士さん達が沢山いる。手伝ってくれるんだと思う。普通に超重いので一人じゃ運べない。


 五〇人掛かりで、倉庫から気球を王城内の兵士訓練場へ運んで貰う。


『作って貰ってなんだけど、こんな重いのが浮かぶのか? 計算上では平気だと思うけど……・』


 かなり心配になって来た。〝失敗は成功の母〟〝水は命のお母さん〟つまり、お母さんはどっちだ? まあそれは良いか。


 畳んで有った気球本体を広げて行く。


『デカイなぁ』


 さて、ここから膨らませないと。今日は風が殆ど無いので絶好の気球日和だ。


 ヘリウムを入れる所の前に、簡易的に炉を作って貰い火を熾す。それとゴンドラ内の窯にも火を熾して貰う。ゴンドラ内には、水を入れたバケツも四つ用意して貰った。消火用だ。着陸時にゴンドラが横倒しになっても火事にならないように。


 気球をファサファサしながら、用意して貰った板で、気球内に空気を送って貰う。自分も扇ぎながら、魔法で空気を送る。未だヘリウムは投入しない、いきなり浮いたら変だと思われるから。


 ある程度膨らんで来たタイミングで、炉の熱を送り込んでもらう。自分も此処(ここ)からヘリウムを投入。


 兵士さん達に気合を入れてもらってガンガンに扇いで貰った。未だ浮き上がる事は無いがかなり膨らんで行く。


『おっ、行けそうじゃん』


 気球の球皮が膨らんで起き上がって来た。気球の先端の方へヘリウムを送り込む、こうしないと、ちゃんと起き上がらない。風で飛ばされないように、移動魔法で固定しておく。


「よっしゃ!」


 完全に気球が起き上がった。兵士さん達も汗だくだ。兵士さん達は、ロープを掴んで気球が浮き上がらないように押さえてくれている。


「ナギ、随分時間が掛かるもんなんじゃな」


「気球って言うのは、そう言うものですよ」


 ちょっと違うかもだけど、誰も知らないから良いよね。


「陛下、この気球は、グランデ・ベンティ号って名付けましたけど宜しいでしょうか?」


「フム……。悪く無いの、我が王家の名も入っておるし。で、どう言う意味だ?」


 えっ? そんなん知らんよ。グランデよりベンティの方が量が多いんじゃないの? とは言え、そんな異世界のコーヒー事情なんて言っても駄目だよな。


「えっと、東方ではグランデサイコー! って意味ですね」

「そうか、ならば良いな」


 よかった。騙されてくれて。


「では、グランデ・ベンティ号の初飛行をして参ります」

「ウム。そのまま逃げるなよ」

「逃げませんよ、借金が有りますから」



 ゴンドラに乗り込む。ヘリウムを更に投入していく。


「掴んでいるロープを離してください、一緒に浮き上がっちゃいますよ」


 四本出ているロープを掴んで押さえている兵士さん達に言う。五〇人いるけど、多分全員を浮き上がらせる事も出来るって思うから。


『窯の熱が結構熱いからゴンドラは、もっと大きくした方が良いかな』


 気球に、ヘリウムを更に追加して行く。


『おっ、浮いた!』


 未だ移動魔法で浮き上がらせてはいないけど、気球が浮き上がった。


『ヤバっ』


 浮き上がる速度が思ってた以上に早い! ダンプバルブを開いて、中のヘリウムを抜く。なんだけど抜きすぎると一気に高度が下がって行く。水上船舶が簡単に曲がらないし止まれないのと同様に気球のコントロールも難しい。


『でも、ダンプバルブを開く方向で、少し進行方向制御も出来るのか』


 ヘリウム投入とダンプバルブで高度を安定させる。それと気球全体に移動魔法を掛けて、進行方向の制御もしていった。


『ゆっくりだけど、なんとかなりそうだ。ここまで出来ればもう良いかな、試験飛行は終わりにしよう』


 ゴンドラ内の炉に水を掛けて火を消す。ジワジワと高度を下げて行き、元の場所に戻って無事着陸する。ロープがぶら下がっているので、下にいる兵士さん達に、大声で頼んで引っ張って貰う。


 なんとか、無事に軟着陸出来たけど、やっぱりゴンドラは倒れた。


『火が付いていたら火事になる所だったな』


 気球は、兵士さん達に任せて、陛下と宰相の所に行く。


「只今戻りました。無事飛行出来ました」


「ん。そのようだな」

「ですな……かなり危なっかしい感じにも見えましたが」


「そうですね、今日は風が少ないので未だ良いですけど、風が強いと、飛ばすのは難しいですね」

「そうか……運用するのは難しいかもしれんな」


 作ったのは良いけど、一人で動かすのも難しいもんな。重いし、多分二トン近く有るんじゃないかな? 兵士さん達五〇人で運ぶんだから。なんか、無駄遣いした感じ。


 そもそも、よく考えたら自分に移動魔法掛けて空飛べば良いんじゃねって思ってしまった。まあそうすると、何百年後になって科学と工業が発達してテレビが出来たら。〝超常現象なんちゃらファイル〟にフライングヒューマノイドは、何百年前に、グランデルグ王国の王都グランディアで初めて見られた現象です。なんて放送されてしまうんだろう。名前までバレてしまうと、存在しない国〝ノッピィン〟から来た人物らしいなんて放送されてしまう。多分宇宙人扱いになるだろうね。




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