(2-22)返済の目処は無いけど、お金貸してください
よろしくお願いします。
(2―22)返済の目処は無いけど、お金貸してください
取り敢えず、洗濯庫と脱水庫の件は終わったので、宰相の執務室を退出しようと思った。
『あっそうだ! もう一つお願いが有る。言うだけはタダだ』
「えっと、報酬では無くお願いが有るのですが……」
「なんじゃ?」
「えっと、お金を貸して貰いたいんです。大金貨二十枚(二千万ネィ)」
『これで足りるかなぁ……?』
「何に使うんじゃ?」
「内緒です」
「ワシが貸すメリットは有るのか?」
「ん〜。多分無いですね。あえて言えば、ペンと時計の開発費の借金は、近いうちに返済出来ると思います。今回のは全く返済出来る目処が有りません。なので当分と言うかかなり長い間コツコツと返済して行く事になるでしょう。借金返済する迄はこの国に縛られますね。駄目でしょうか?」
「悩ましい所じゃの……何に使うのか聞かせて貰えば貸してやらん事も無い」
さ〜て。困ったな。言ったら貸してくれるんかい?
「陛下と宰相は、空を飛びたいと思いませんか?」
「ワシは思わんな。高い所は好きでは無い」
「私も別に飛びたいとは思いませんね」
「じゃあ、背中に翼が生えたらどうします?」
「そんな事が起きたら、典医に診てもらうじゃろうな」
「そうですね、王城の医師に診てもらう事にしますね」
やっぱりかよ! 空を自由に飛びたいとか、翼をくださいとかって発想はねえのか? 俺の気持ちを知ってるのはアルフォンシーノ殿下だけだな。
「ナギどの、まさか背中に翼が有るんですか?」
「無いです!」(きっぱり)
有る訳ないじゃんよ! 普通の人間だよ。
「では、若しかして、空を飛ぶ何かを作るつもりですか?」
「ええ、そうですね。実は、私は、それに乗って東方から来たんですが、海に沈んでしまって……」
嘘だけどね。だって本当の事言えないじゃん。
「では作ったら帰ると?」
「いえそれは考えていませんね。他の国を巡ってみたいとは思いますけど」
「ナギ、お主、ナパージュから船で来たのでは無いのか?」
『東方ってナパージュだったのか。定番の国名で安心したよ』
「いえ、もっともっと東方のノッピィンです。船では辿り着けませんよ」
『この名前も定番だけど大丈夫だろう』
「空から見ると、色々と判る事が有るんですよ。例えば地図を作るのに便利ですし。まあ使いたいとは思いませんが、戦争にも役立ちます。なんと言っても弓が届かない上空ですからね。敵陣の陣形とかも、伏兵とかも見つけ易いでしょう。攻撃力は無いですよ。有っても少し石を落としたりする位ですかね。油と一緒に火攻め位は出来るでしょう」
「ほほう……興味が有るの」
「それは、誰でも取り扱えるんでしょうか?」
「多分、扱えるのは私だけでしょうね……。訓練でどうにかなる物でも無いですから」
『だって移動魔法多様するもん。ヘリウム集めて、風に逆らって移動させないといけないし』
「フム……では、それが出来たとして、ナギに頼めば、使わせて貰えるのか? 当然お主込みでだがな」
「ええ構いませんよ。多少は、お金が貰えれば嬉しいですね。借金返済に当てたいので」
「判った、金を貸してやろう」
「陛下宜しいので?」
「ああ、構わん。それなりの金額では有るが、大した事は無い。国庫で無くワシから貸す事にする。借金返済迄は、ワシに縛られる事になるからの」
ですよねぇ……。でもまあ良いか。なんとなくだけど、作っておいた方が良いって感じがしてるんだよな。
「まだ大金貨二十枚(二千万ネィ)で足りるのかも、実は判って無いんです。足りなくなったらまた貸してください。今大量に借りすぎて、余りすぎるのも不安なので」
「良かろう、その時はまた借りに来い」
借金の書類を纏めて、王城を辞した。
「陛下、ナギ殿に金を貸した真意を伺っても?」
「ボニート。ワシとお主が、戦に出たとして、カッセルブラッド王国のバケモン三人に勝てると思うか?」
「負けない戦いは出来ましょう、ですが完勝は出来ないと思います」
「判っておると思うが、また攻めて来るぞ」
「陛下は、カッセルブラッド王国が今年も不作になると推測しているんですね。まあ私もですが……。なるほど、空からならばとお考えですか……」
「まあどの位使えるか判らんが、相手は空と地上両方を警戒する必要が出て来るだろう、今迄よりも勝率は上がる筈じゃ、ラビッシュの時は、負けてもと思っておったが、二万も兵を失うとはな。勝てずとも五分五分の結果で有ったなら、再びラビッシュを出しても良いが、ラビッシュでは勝てん絶対にな。流石に次は負けられん王家の信用が無くなる」
「ですな。とするとナギ殿とマーヴェイ殿下に任せるつもりですか?」
「ワシも最近身体の調子がな……マーヴェイに統治を任せられるなら行っても良いが、もう暫くは玉座におらんと」
「なるほど、戦の結果次第で、マーヴェイ殿下を王太子にする訳ですね」
「にしても、ナギは、タイミング良く良い提案をしてくる。借金を背負わせた事で当分は出て行く事もあるまい、かなり安心したぞ」
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