(2-17)弓魔法の練習3(狩り)
よろしくお願いします。
(2―17)狩り
「さて、じゃあ行くか?」
「ああ、大丈夫だけど、この森って鳥が狩れるのか?」
「鳥もいる事はいるな。でも狩るのは、ウサギ、鹿、イノシシ、クマだな。特にクマは冬眠あけで餌を探してウロウロしてると思うぞ」
そう言えば春だな。って、イノシシとクマ? 森でクマを仕留めるのに、弓は無いんじゃないか?、見通しが良ければ、弓の方が楽だけど。それにこの季節のクマって美味く無いんじゃ……。でもまあ良いか。魔弓の練習はもう済んだからな。なんなら刀を使って倒せば良いんだし。イノシシはタイミングが間に合えば弓でも良いかな、真っ直ぐ来るからね。
と言う事で、森に行く。マーヴェイ殿下、ハッシュ、自分。それと五人の兵達。兵達は、色々と荷物を持っている。木製の背負子。縄、背嚢。ズタ袋。
獲物が狩れたら、持ち帰る為の道具とかかな。俺も下っ端なんだけど、お世話になります。
森に入って行く、定期的に兵達が来ているので、獣道がハッキリと出来ている、それに戻る方向が判るように樹に目印がとなる矢印が彫ってあった。
『余程の事が無いかぎり、迷っても戻って来る事は出来そうだな』
ん? ハッシュが何かに気付いた。
「マーヴェイ殿下、うさぎです、あっちの方です」
「あっ、判った、狙ってみる」
自分で狩るんじゃなくて、マーヴェイ殿下にやらせるのは、流石だな。まあ外しても良いと思ってるんだろう。
「ハッシュ、どうする? 二段目をやるか?」
「うさぎは小さいからな、美味いけど、狙いはイノシシと鹿なんだよ。だから逃げられても良いとは思う」
そうか。じゃあ殿下が外してから、殿下に聞いてみるか?
マーヴェイ殿下が、弓を射る。残念ながら、当たらない。
「マーヴェイ殿下、どうします?」
「うさぎ食いたい!」
ハッシュと顔を見合わせる。なぜか同時に弓を構えてしまった。てっきり任せるって言う視線だと思ったけど間違いだったかも、まあ仕方無いどっちかが当たれば良いだろう。
『ちょこまかと動いて……。狙い辛い……」
同時にうさぎに向かって矢を射った。
「ナギ流石だな!」
「ハッシュの方が先に当たっただろ」
ハッシュは、やっぱ狩りに慣れているんだろうな。動いていても簡単に狙っていた感じだ。付いて来た兵達が、うさぎの所に向かう。うさぎと放った矢を回収して来てくれる。うさぎは血抜きをしてズタ袋にしまってくれた。
さらに森の奥に行く。
「大体この辺で。鹿がいるんだよな」
鹿だって学習するだろ? いねえんじゃね?
と思ったけど。二頭居た。〝二兎を追う者は一兎をも得ず〟だが、俺もハッシュも別々に狙う。
『ここならバレないな』
さっき、無能魔法と決めつけたが、獣相手ならば、大丈夫だろう。そう思って、弓魔法を起動する。鹿がなんかクラっとした。真空のトンネルで酸欠と脳内沸騰で異常を来たしたんだろう。目が死んでるし。
「ファイヤー!」
狙った鹿の頭に、矢がヒットした……。のは良いんだけど、矢が当たったら、鹿の頭がぶっ飛んだ。
『マジっ?』
えっと、どうなったんだっけ。良く判んねぇ……。頭の中が凍ったのか? やっぱこの弓魔法は危険だな。封印しよう。
ハッシュの方も、鹿の頭に命中させ、鹿を倒した。
「ナギ、お前、その弓でそんな威力が出せるのか?」
「俺もびっくりしてる。なんかかなりの威力が有ったな、まあ鹿を倒せたんだし、良いんじゃね」
取り敢えず誤魔化しておく。
「そうだな。明日は肉三昧、肉祭り出来そうだな!」
ハッシュと話してる間に兵達がさっきと同様に、倒した獲物の所に行く。
ロープで後ろ足を縛って、枝から吊るし血抜きをしている。ハッシュが倒した方は、未だビクビクしてたので、血抜きは早そうだ。俺が倒した方は完全に死亡してるので、完全な血抜きは無理だろう。
「ナギ、クマが出る可能性が有るから、注意しろ、血の匂いで来るかも知れないからな」
「だな」
血抜きが終わるまで、兵士達の周りで警戒する。
「ナギ来たぞ、相当腹を減らしてるからな、気を付けろ!」
「ああ、判った。俺は刀で行く、ハッシュは?」
「当然、剣だ、弓で一撃で殺せるなら良いが、変な所に当たって手負いになって手が付けれなくなると不味いからな」
だよな。まあ二人掛かりだし、なんとかなるだろう。
「お前達、マーヴェイ殿下を守れ。最悪、鹿はクマに与えても良い」
「「「「「ハッ!」」」」」
血抜きしている鹿の前に陣取る。ここを狙って来るんだから、その方が楽だ。ハッシュも側に来た。
「この鹿は、肉祭りするんだから、渡せねえな」
「だよな。痩せて不味そうだけど、お前も肉祭りの具材になれよ!」
どう来る? 立ち上がって来たら、胴を切るか? 四足で駆けて来たら、手足を四本共切り飛ばそう。
四足で近付いてたクマが、俺達の手前で立ち上がる。
『でけぇな!』
そう思った瞬間に、二人同時に動き出す。ハッシュは、正面上段から、俺は側面に周り横薙ぎを。
お互い、ズバッとクマを切った。ホントに切った。
俺は上下に胴を分離。ハッシュは脳天から縦に分割、クマは悲鳴を上げる間も無く。四分割される。切った後から血が出てくるパターンだ。切ったのが早かったのは、俺の方。単に胴の方が切るのが少ないから。
「ハッシュ。お前バケモンだな、キレイに真っ二つじゃん。その剣も相当切れ味良さそうだし」
「お前もだろっ」
「俺は、骨が少ない所切っただけ、ハッシュは、頭から下まで、ズバッと骨まで切っただろ?」
相変わらずと言うか、あらためてハッシュの剣の凄さを知った感じだ。
「少し失敗だったか? これだと使える毛皮が少なくなったか……」
「どうする? 大して美味そうじゃ無いけど」
「一応持って帰る。城には、腹を空かしてる兵達がいるからな、肉は貴重なんだよ」
そうなんだよな。この世界は冷蔵庫が無いから、生肉はお店で売っていない。有るには有るけど、売ってるのは生きている鶏。自分で絞めて、その日に生肉を調理したモノしか食べれない。
牛や豚は、通常ハム、ソーセージ、干し肉、燻製肉系の保存用の肉だけ。保存の事を考えたら当たり前の事。
牛や豚の生肉を調理して食べるには、おとして直ぐに食べなるしかない(熟成なしで)。王都のお店では、牛や豚を屠殺してはいないらしい。そう言うのは生産者側の方で。生肉を食べるなら生産者の所まで行けば食べれる可能性がある。食べる分以外は保存加工を施すのが普通だから。なので王都で食べれる肉は加工肉ばかり。
「取り敢えず狩りは、こんなもんで良いか。クマよりもイノシシの方が良かったんだけどな」
兵隊さん達が、四分割されたクマを一応血抜きをしている。鹿と合わせて血抜きが出来たら戻る事になった。
「マーヴェイ殿下、宜しいですか?」
「ん、ああ、自分で仕留めたかったけど、お前達二人を見ると未だ無理そうだな」
「そうかも知れませんが、イノシシならば仕留める事も出来ると思いますよ」
「そ、そうか!」
「マーヴェイ殿下、イノシシは直進して来ますからビビったら負けです、しっかり避けてズバッと切るんです」
取り敢えず俺もアドバイスしておく。
「わ、わかった。でもちょっと自信無いかも」
「もっと剣の練習をしましょう。それとまた狩りに来ましょう」
「そうだな」
と言う事で、戻る事にした。兵士さん達、むっちゃ重いのに、運んでくれて有難う御座います。
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