(2-15)弓魔法の練習1
よろしくお願いします。
(2―15)弓魔法の練習
マーヴェイ殿下が来てから翌々日、再度マーヴェイ殿下が来る。流れで一緒に弓の練習をするからだ。朝食を摂って待っていると、一昨日と同様に……。もっと大人数でマーヴェイ殿下が来た。
「ハッシュ、ナギ。来たぞ!」
「ハイ。マーヴェイ殿下。今日は良い天気ですね。良い狩りが出来そうです」
「ん? 狩り? ハッシュ、どう言う事だ」
質問すると、昨日王城に行った時に、王家の狩場を使わせて貰う許可を取ったとの事。
『直線距離を取れる所の方が良いんだけどな、でもまあ良いか、却ってバレにくいだろう』
『あれっ? アルフォンシーノ殿下も居るけど……流石に三歳のちびっ子には狩りは無理だよな、どうするつもりでマーヴェイ殿下は連れて来たんだ?』
「今日は、ピクニックも兼ねてるからな。狩場の手前に、狩場を管理してる役人と、王家の別荘が有るから、そこなら軽くお茶が出来るんだよ。アルフ(アルフォンシーノ)も遊べるだろうしな、なんだかんだで城は窮屈なんだよ」
『そう言う事か……。レスフィーナ様が少しラフな格好しているのもその所為か』
かなりの大人数で、王家の狩場に向かう。何故か自分は、ハッシュと一緒にマーヴェイ殿下の馬車へ乗り込む事に。アルフォンシーノ殿下は、ミグラス伯爵家の馬車にレスフィーナ様と侍女と一緒に。他にも侍女さんの馬車が一台。それと護衛の兵達が馬にのって一〇人程。そして荷馬車が一台。荷馬車は仕留めた獲物を運ぶ為だと思う。色々と積んで有るけど。ピクニックに必要な物なんだろう。
なんだかんだで一時間位馬車に乗っていた。王都を出て暫く行った所の森だ。一旦王家の別荘とか言う所へ、まあデカイよね。でも腰が痛い。途中から砂利道になったからかな。
「この横の森が、王家の狩場だ。定期的に兵達の訓練を兼ねて、獲物が増えすぎないように狩りをしている。王家の狩場だけど、そんなに狩りに来る事はないかな。ここに良く来てたのは、兄上位だな」
マーヴェイ殿下が説明してくれる。先ずは別荘の広大な庭へ。
「ナギ、これを使えよ」
ハッシュが弓を渡して来た。
「これ強弓じゃん」
「お前なら使えんじゃね?」
俺よりも、ハッシュの方が使えるんじゃねえの? ハッシュが持ってるのは強弓では無い。
「試し打ち出来るか?」
「ああ、今準備させてる」
庭の奥に、的と言うか目標物を兵達が設置していた。大体的まで五〇メルク(五〇メートル)位かな。
「どれ、俺の腕を見せてやるよ!」
ハッシュが、バビュンと矢を射る。
「ハッシュ、すげー! やっぱハッシュは何でも出来るんだな」
「マーヴェイ殿下には、剣がもっと使えるようになってから、弓を教えますよ」
「頼む」
いや、剣が出来るだけで、良いんじゃね? そもそも殿下が剣を持って戦うようじゃ戦自体負けてるような。まあ猪武者的な指揮官もいるけど、絶対にマーヴェイ殿下は総大将だよね。と思う。
『ハッシュ。別に良いけどさ、レスフィーナ様も居るんだから、そんなに格好付けなくても、侍女さん達の目がハートになってるぞ。一夫多妻かもだけど、レスフィーナ様の目の前で、侍女のハートを射るのは良くないって思うぞ』
ハッシュだけに格好を付けさせるのは、良くない。レスフィーナ様の為にもね。決して自分がモテたい訳じゃない。
「じゃあ、俺もやって見るか」
強弓を構える。
「おい! これ、むっちゃ重いぞ!」
「頑張れ!」
『軽く言いやがって!』
それでもなんとか、弓を引き絞る。
『やって見るか』
そう思った。
『弓魔法起動』
無詠唱で弓魔法を起動する。無詠唱は水魔法で確認済だ。矢を的を狙い更に弓を引き絞って行く。
「ファイヤー!」
バビュンって、真っ直ぐに矢が的に向かって行き。凄い勢いで当たった。
『侍女さん達、どうよ?』
って振り向いて見たけど、別に目がハートになって無い。なんでだよ! 格好付けたのに、かなり悲しい。まあ良いけどさ、それより、この魔法使えねぇ……いや使えるんだけど、この魔法は駄目だな。
この前新しく考えた魔法なんだけど、駄目魔法だったようだ。
どんな魔法にしたのかと言うと、矢の先から目標物に向かって、大気を移動させて真空のトンネルを作る。取り敢えずこれは成功した。そして弓を射るのだが、矢自体にも移動魔法を掛けた、具体的には、重力加速度と逆の方向へ移動魔法を矢に。真空中では速度は減衰しないので完全に水平に矢が飛ぶと思っていた。実際に矢は想定通り真っ直ぐ飛んで行った。
駄目だと思ったのは二つ。一つは想定してなかった事。魔法解除時に、真空トンネルが無くなるけど、その瞬間に、大気が一気に集まる事で、空間が歪む。蜃気楼みたいな感じかな。そこまでハッキリ見える訳じゃ無いけど、矢を射った自分からはハッキリ判った。横から見てる分には気付き難いかも知れない。
もう一つは想定出来た事なんだけど、今になって気付いた。これ弓魔法にする必要が無いってこと。相手の頭を狙って、真空トンネルを作った時点で、多分相手は死んでしまう。最悪、頭が爆発するんじゃ無いかな。頭の中の血液が沸騰冷却してボンって。なので狙っただけで、頭が爆発してったら、戦争だとしてもホラーだ。絶対に使えない。
弓だと駄目魔法だけど、応用も出来るだろう。と思う事にした。
そもそもこの弓魔法を作ろうと思ったのは、いつかマーリン団長を弓で驚かそうと思ったから。使う機会が無ければ無いで良いとも思った。マーリン団長には、管矢を教えたから、更に凶悪な矢を射って来る筈だもんね。なので対抗しようかなと。でも使うと不味い魔法に仕上ったのは失敗だ。
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