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(2-04)敗戦

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(2―04)敗戦


 ナギが馬車に乗っている時、ハッシュは、王城に呼び出されていた。陛下の執務室に、マーヴェイ殿下とハッシュが呼び出されている。


「お前達は謹慎しておったろうから、未だ噂も聞いとらんと思うが、ラビッシュが負けた」


「えっ? 兄上が? 負けた……」

「陛下! ラビッシュ王太子殿下は?」


「さあ、どうしておるのかのう……。逃げて来た兵達の情報では、カッセルブラッド王国に、ブルマン・ド・トール公爵の(せがれ)と共に捕らえられたらしいがの。であれば近いうちにカッセルブラッド王国から交渉の使者が来よう」


「あの武勇に優れているラビッシュ王太子殿下とキリマン・ド・トール公爵公子が捕虜に……」


「まあ()の件は、今は良い、こちらは何も出来んからの。今日呼んだのは、お前達の謹慎を、今日この時点を持って解く。戦に負けてしまう奴の命は意味が無いからな。それを伝える為に呼んだ。もう用は無い下がれ」


 二人は、執務室から退出する。廊下に出た所で話しをする。


「ハッシュ。兄上はなんで負けたんだ?」

「判りません、こちらの方が兵力も多く、しかも野戦です。負ける要素が思いつきません。相手の作戦が非常に良かったのかもですが、どんな作戦を取れば勝てるのかも判りません」


「そうか、そうだよな。ハッシュでも判らないよな」

「それよりも、謹慎が解けましたから、明日からまた何時(いつ)もどおり王城に行きます。剣と統治についてまた勉強しましょう」


「剣は、ハッシュが教えてくれるから良いけど、統治の勉強は嫌いだ」

「私も得意では無いですが、いずれ殿下はどこかの領主になるでしょうし、私もミグラス伯爵家を継がないといけませんから勉強しなくてはいけません」


「判っているよ。嫌いなだけだから」


 ハッシュは、それで王城を辞した。




 国王陛下の執務室では、残った国王と宰相が話しを始める。


「ボニート(宰相)、お前の手の者の報告は?」

「報告が来る前に、兵が逃げて来ました。逃げて来た兵達への聞き取りでは、相手の将を一人討ち取ったようです。兵の人的損害は二割を超えるかと……」


「二割も兵を失ったのか……。ラビッシュのバカめ! 相手の将を討ち取ったのはラビッシュか? それと将の名は?」


「ラビッシュ王太子殿下が討ち取ったのかは未だ判りません。それと将の名も、ですがラビッシュ王太子殿下は自分で討ち取ったと宣言して、士気を上げたそうです。その後で、後方以外の全てから火攻めに遭ったと……」


「そうか、判った。カッセルブラッド王国にはバケモンが三人いるからな、ラビッシュでは勝てないとは思っていたが、此処(ここ)まで酷い負け方をするとは……」


「そう思うならば、作戦を授けて戦に向かわせれば良かったのでは?」


「ワシが伝える前に出て行ったからな。全く……誰に似たのか」


「陛下に似たんでしょうね」

「だがワシには、ブレーキとなるボニートが居った。ラビッシュにもトール公爵の所のキリマンが居るだろう」


「キリマン公爵公子ではブレーキとして弱かったのでしょうね、ブルマン公爵本人で有れば強力なブレーキになったと思いますが……」


「そうだな、だからブルマン公爵にラビッシュを任せていたのだが……」

「中々上手く行きませんでしたな」


「国庫は平気なのか、二割も兵を失ったが」

「まあ大丈夫ですが、かなり厳しくなって来ますね。糧食は十分有りますが、売っても大した値段にはなりません。豊作続きですから。増税も不可能かと。農民からは、これ以上取りようも有りませんし、貴族に払わせるのは王家の弱みを見せる事になります」

「そうか、頭が痛いの」






 ミグラス伯爵邸に戻ると、なんか雰囲気が変わっている。裏庭の広場に、兵達が集まっていた。


「何か有ったの?」


「どうも戦争に負けたらしい……。未だ噂だけど、間違い無いようだぞ」

「王都内で国軍の兵達が、隊列も組まずにバラバラで逃げ帰って来てるのを見た」

「俺もだ」


 ええっ? 負けたって……。いや、確かに、団長達は負けねえとは言ってたけど、野戦で戦力差が二倍以上有っただろ?


「ハッシュ様は、王城に行っている。()しかしたら、再度戦争になるのかも……」


 ん〜、それはどうなのかなぁ……。カッセルブラッド王国にそんな余裕は無いと思うけど。そこを狙って攻めるのかな。此処(ここ)で話していても何も出来ないんだけど。と思ってるとタイミング良くハッシュ様が帰って来たようだ。そのまま、屋敷に行かずに、裏に回って来る。


「諸君、噂は聞いていると思うが、カッセルブラッド王国との戦争は負けだ……。それとマーヴェイ殿下と俺の謹慎が解かれた」


「ハッシュ様。再度、戦争に行くって事は無いですか?」

「ああ、それは無い。ラビッシュ王太子殿下とキリマン・ド・トール公爵公子が人質になってるから、今後は身代金の交渉になるからな」


「ハッシュ様、そんな事軽々しく言っても平気なんですか?」

「ん、ああそうだな、だが直ぐにバレるだろ、逃げて来てる兵達が大勢いるんだし。(いず)れにしても戦争は終わりだし、謹慎も解かれた、後の交渉は宰相と外交部が進めるだけだ」


 そう伝えると、ハッシュ様は屋敷に戻って行った。


『団長達は、どんなマジック使ったんだ? 全然判んねぇ』






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