(2-01)王都グランディア
(2―01)王都グランディア
十日程掛けて、グランデルグ王国の王都グランディアへ辿り着いた。道中で色々と教えて貰った事が有る。このグランデルグ王国の国王陛下は、グラーシュ・ド・グランデ国王陛下。戦争でグランデルグ王国の総大将をしているのは、第一王妃の息子で有る、ラビッシュ・ド・グランデ第一王子王太子殿下。王都迄一緒に帰って来ているのが、同腹のマーヴェイ・ド・グランデ第二王子殿下。王都には、第二王妃子女のレスフィーナ様、子息のアルフォンシーノ・ド・グランデ第三王子殿下がいる。
レスフィーナ様は、なんとハッシュ様の奥さんらしい。ハッシュ様は俺より三、四歳位しか違わないのに……。なんかリア充爆発しろって感じがする。
そのハッシュ様は、ミグラス伯爵家長子で次期伯爵だそうだ。マーヴェイ殿下の守役、剣術指南役との事。かなりの使い手である事は、一緒に戦ったので判る。剣の先生をしているのも納得だ。
それと、判った事が有る。距離の単位だ、会話で出て来た単語から、一センチは一セクト、一メートルは一メルト、一キロメートルは一クィロメルトっぽい。大体同じならばまあ良いと思ってる。この辺は定番だね。安心感がある。
王都のミグラス伯爵邸に着いた。まあ当然のように王城の近くにある。大きな敷地にドーンと二階建ての大きな屋敷が建っている。俺達下っ端は、敷地内にある兵舎の方へ、先触れを出して伝わっていたようで、俺も兵舎の中に部屋を与えて貰った。
マーヴェイ殿下、ハッシュ様は寛ぐ間も無くサクッと着替えて護衛複数と一緒に王城へ向かった。
王城に着いた、マーヴェイ殿下とハッシュは、直ぐさま、陛下の執務室に通される。グラーシュ・ド・グランデ国王陛下とボニート宰相の前でラビッシュ王太子殿下から王都で謹慎するようにと命を受け戻って来たと事の次第を報告した。
「フム……判った。ではラビッシュの命通り暫く謹慎しておれ」
「判りました陛下、王宮で謹慎します」
「ハッ……」
ハッシュは少し不満な様子だ。陛下によって謹慎が解除されるのを期待していた。
「判ったなら下がれ」
と言われ、国王執務室から退出する。マーヴェイ殿下はそのまま王宮へ、ハッシュは王城から出る方向へ向かう。
ボニート宰相は当然の事ながら自軍内にも密偵を潜り込ませている。戦の状況が悪くなった時に直ぐに準備対応できるようにだ。大体指揮官は、最悪な状況になるまで報告せずになんとかしようとするので、自分で情報を入手するようにしている。当然、マーヴェイ殿下とハッシュの事、そしてナギの事も報告される迄もなく判っているし、その内容も陛下に伝えてある。
ボニート宰相は執務室から退出したハッシュを追いかけるようにして呼び止める。
「何でしょうか、ボニート宰相閣下」
「ハッシュ殿、謹慎が不満のようですね。陛下に報告すれば謹慎せずに済むと思いましたか? もう少しハッシュ殿も頭を使った方が良いですよ」
「ボニート宰相閣下、どう言う事でしょうか?」
ちょっとイラついてしまう。まあ宰相からすれば、未だ経験不足なのは否めない。
「ラビッシュ王太子殿下が、謹慎を命じた事を、現場を見ていない陛下が覆す事は出来ません。それが例え誤りであったとしてもです。そんな事をすればラビッシュ王太子殿下の立場が無くなります。まあそんなに長い期間でも無いでしょうから休暇のつもりで謹慎してれば良いでしょう」
「あっ……。有難う御座います。全く考えが及んでいませんでした」
当初は不満だったが、ボニート宰相の話しを聞いてスッキリした感じで王城を辞した。
夕刻になって、王城からハッシュ様が戻って来て、兵舎に居た全員に伝えて来る。
「陛下と宰相に会って、報告して来た。マーヴェイ殿下と俺は、ラビッシュ王太子殿下の命令とおり、謹慎する事となる。そんなに長くは無いと思う。マーヴェイ殿下と俺だけなので、皆んなには特に何も無い。何時も通りに過ごしてくれ。俺も休暇を貰ったつもりでのんびりする事にする」
そう伝え、屋敷に戻って行った。
『それは良いけど……俺は、何すれば良いんだ? ハッシュ様も言ってたし休暇だって思う事にするか』
翌日から、起床後、ミグラス家の私兵と共に軽く訓練的な感じで体を動かし、食事後はフリータイムで過ごす事になった。丁度良い機会なので、少しこの世界の事、魔法の事なんかを考えて纏めておこうと思った。とは言え兵舎では、兵達の目も有るので、パーソナル・デバイスを出したりするのは止めた方が良いと思う。そう思っていると、このミグラス伯爵邸の裏に目立たない小さい小屋が有るのが判った。
なので、裏口から、家宰さん経由でハッシュ様を呼び出して貰い、小屋を使わせて貰いたいと交渉した。
「あの物置小屋を使いたいのか? 別に構わないぞ。まあお前はマーヴェイ殿下の従者だし、ウチの兵じゃ無いからな。ハドック(家宰)に言って使えるようにしておく」
『おっ! ラッキー。すげえ良い奴じゃん! でも、そう言うのは、貴族からしたら、どうでも良いんだろうな』
その後、三日で、小屋を使えるようにして貰えた。小屋の中はきちんと片付けされ、ベッドと、机、そしてランプまで置いてくれていた。ランプの油は、無くなったら言えば貰えるとの事。超親切だ。
『此処なら色々と出来るな』
アルフォンシーノ ー> キンメダイ
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