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1夢 迷い人

「ここは…」


 俺は暗闇の空間に佇んで居た。

 暫くすると、こちらに『コツコツ』と革靴の様な足音が近づいて来る。


「おや珍しい…、迷い人ですか…」


 黒髪で前髪の一部以外後ろに纏めている紳士服の男性が話しかけてきた。


「ここはどこですか? 貴方は誰ですか?」

「自己紹介も無しに質問ですか…まぁ良いでしょう、ここは“夢オイノ世界”で私は…この世界の管理や観測、それと導きをしている者、名前はそうですね…アン…ノウン…、私のことはノウンっと呼んでください」

「何で俺はここに居るんですか?」

「さぁ、私は知りませんよ、それに最初にも言いましたが貴方は迷い人、貴方の名前すら私は知らないのですが?」

「俺の…名前…、カスミ 結城ユウキ…だと…思う…、あれ? 名前以外思い出せない? 年齢は…たぶん30歳…だと思う…」


 何故だか思い出せない、唯一思い出せるのが名前だけ…ここに来る前の事も思い出せない…。


「でしょうね、迷い人は記憶を無くして来ますからねここに、思い出せたら帰れるでしょうから…それまで私の手伝いでもしますか? 思い出す切っ掛けになるかもしれませんよ?」

「て、手伝いとは?」

「説明するより見た方が早いでしょう」


 ノウンは歩き始める、俺はその後ろに大人しく付いて行く。


「何ですか? あの浮いているモヤモヤした霧みたいな塊は」

「あれは夢の欠片です」

「夢の欠片?」

「ええ」

「それは…何ですか?」

「…何と説明したらいいものか…、そうですね…生き物が眠ってみる夢や自らの将来を望む夢などの欠片ですね」

「その欠片…、なんでそんなモノが…」

「ここはそういう場所なんですよ」

「その欠片をどうするんですか?」

「そうですね…付いて来てください」


 ノウンはそう言いながらもやの中に入って行った。


「付いて来いって言われても…行くしか…ないか…」


 俺はノウンの入った靄に意を決して入る。


「こ…ここは…」


 俺が見た光景は海外のスラムみたいな場所だった。


「ノウンは?」


 周りを見たがノウンが見当たらない。


―――――

 少年がカフェの席で入り口を見ていた。


「(兄貴にここに入ってくる人物を襲撃しろって言われたけど…、おれ…怖いよ。くそ! 来た!)」


 少年が待って居た人物がカフェ窓から来るのが見えた。


「(くそ!くそ! やるしかないやるしかない!)」


 少年はパーカーのポケットに入ってるハンドガンを握って席を立った。

 カフェの扉が開いてボディーガードが入ってきた、その後ろに目的の人物が見えたので少年はハンドガンを構えた。


「待って!」

「!」


 そこにハンドガンの銃身と少年の手を掴んでくる人物がいた。


―――――


 ノウンを探してたらカフェに居たんだけど…まさか子どもが銃で人を撃とうとしてたから止めたけど…、これ襲撃事件かな? 止めて良かったのか分からないけど兎に角ここから逃げないと。


「少年逃げよう!」

「はぁ!?」


 俺は少年の手をひぱってその場所を離れた。


「はぁ、はぁ、はぁ、こ…ここまで来たら、はぁ…大丈夫かな?」

「はぁはぁはぁ」

「大丈夫? 少年」

「はぁはぁ…何…何だよ、はぁ…お前」

「…何って言われても…、君が人を殺そうとしていたから…止めた?」

「お前には関係ないだろ!」

「うん、そうだね…でも君の大切な人が突然誰かに殺されたら許せないでしょ? 殺した人を」

「…当たり前だろ」

「それを君がやろうとしてた事だよ?」

「あいつは悪い奴なんだよ! そう言ってたんだ…アニキが…」

「うん…、確かに悪人かもしれないけど…いつもそうだとは限らないよ?」

「どう言う事だよ…」

「君は悪い人かな?」

「そんな事ないだろ!」

「だよね、そんな君も人を殺そうとしてたんだよ? なのに自分は悪人じゃないの?」

「そ、それは…」

「そうだよ、自分でも何となく気付いたよね? 悪人でも善人でも時には優しい人で時には悪い人になるって、見てる部分がそこだけで判断したら駄目だよ? それに悪人だから殺して良いなんてないんだよ?」

「じゃー誰が裁くんだよ!」

「それをするのは国だね、個人が誰かを裁くことは出来ないし、しない方が良い」

「なんで!」

「個人が裁けば恨みが終わらなくなるからだよ、国が法律で裁くなら国の問題だから嫌ならその国から出ていけば済むけど、個人が裁けば裁かれた人を大切に思ってた人はその人を絶対に許さない、そうなったら終わらない恨みの連鎖が続くんだよ? 最後には戦争になるんだ…嫌でしょ? そんなの」

「…」

「俺が言えるのはここまでで、このあと別れた後にまた君が行けば俺は止めれない…だから最後に決めるのは君だね、でも俺としてはしてほしくない…かな」

「…なんで関係ない奴が…」

「確かにそうだけど…、俺のエゴだから強くは言えないけど…子どもの手は未来を掴む手であってほしいからかな?」

「何でおれに聞くんだよ…」

「自分でも分からないから…俺はどうも記憶喪失みたいでね」

「…」


 少年は何故か頭を抱えているようだ…何故だ?。


「お前、俺の事をとやかく言う前に自分の事を…はぁ、……分かったよ、今日は帰るよ、それで良いか?」

「出来れば、諦めてくれると嬉しいかな」

「そんな事は明日になってみないと分かんねーよ」

「そっか…じゃ~気をつけて帰るんだよ?」

「少なくともお前よりは安全に帰れるよ!」

「あははは、そっか」

「じゃ~な!」


 走り出す少年。


「そうだ! お前! 名前はなんて言うんだ!? 名前ぐらいは分かるんだろ!?」

「俺はかす…」


 海外では名前が最初だったかな?。


「俺は結城ゆうき! 結城ゆうき かすみだ!」

「ユウキ…、ユウキカスミ…」

「君の名前は!?」

「おれは…マイ」


 少年が名前を言う前に俺は突然何かに飛ばされた。


「!」

「おかえりなさい」

「ここは…」


 どうもさっきの場所から弾き飛ばされたみたいで、夢の欠片の外まで飛ばされたみたいだ。


「さっきまで街の中に…」

「ええ、そこが夢の欠片の中でしたね、そして貴方が欠片の主に干渉したので目覚めて私達は弾かれました」


 さっきまでここに在ったもやは消えていた。


「あれ? 靄は?」

「あれは貴方が干渉したので消えました」

「それって大丈夫なんですか!?」

「ええ、寧ろそれが私の仕事…ですね」

「どう言う事ですか?」

「要はここに無数にある夢の欠片に干渉して変化を与えるのが私の勤め何ですよ」

「その…干渉してどうなるんですか?」

「ん~、言葉で説明するより見た方が早いので、今回の貴方が干渉した者のでも見ますか、付いて来てください」

「あ、はい…」


 俺がノウンの後ろを付いて行くと黒かった世界に明らかに浮いている空間があった。


「あれは…ソファ? それにテレビに…冷蔵庫もある、ここは?」

「ここは私の楽しみの場所ですよ、さてでは見てみますか」


 ノウンはテレビのリモコンを操作してテレビに映像を映す。

 俺はそれを見て驚いた。


―――――


「(はぁ~くっそ! なんで仕事前にあんな夢を…。)」


 男は目覚めてすぐに悪態をつく。


「ボスから命令とは言え…なんで俺がヒットマンなんだよ…」


~~~

 時間を遡ること数日前。


「ボス何ですか? 急の呼び出しなんて…」


 男の前には白いスーツを着た年配の男が座っていた。


「マイク、お前を呼んだのは頼みたい事があるからだ」

「何でしょうか…」

「お前も知ってると思うが、今度の市長になる奴がいただろ」

「は、はい…そいつがどうしたんですか?」

「その男はな、昔は俺の右腕だったんだが…俺を裏切ったやつなんだよ、それなのに俺を裏切っただけじゃなくこの辺一帯のギャングを一掃するだと、ヒーローになった気分なんだろうが…舐め過ぎだな、俺を」

「…」

「何でこんな話をするか不思議だって顔してるぞ、お前」

「い、いえ…」

「まぁそうなるのは分からんでもない、…お前はなその男と面識があるんだよ」

「お、俺は知らないんですが…」

「お前が知らなくとも向こうは知ってるんだよ、でだそんなお前だから頼みたいんだよ」

「…(嫌な予感しかしねーな…)」

「お前いしてほしいのは…その男を殺して欲しいんだ…、安心しろお前が捕まっても保釈金を払って出してやるからな」

「は、はい…(信用できねーよ!)」

「やるか?やらねーか?」

「や、やります…(どうせ断れねーだろうが!)」

「そうかそうか! 助かるぞ! 銃はこれを使え」


 そう言ってギャングのボスは机に銃を置く。


「今日は休んで、これで英気を養え」


 ボスは銃の上に札束を置く。


「は、はい…」


~~~

「はぁ~、このままこの金持って逃げてやろうか…いや無理だな、組織の連中が血眼で探すよな…」


 男…マイクは銃を腰に入れて札束をポケットにしまい込んで出かける。


「(悩んでる間に着いちまったか…)」


 マイクは次期市長に決まった男が来る場所まで着いてしまった。


「(こんな事…くっそ! あの夢が離れねー!)」


 マイクが考えてる間に次期市長が来る時間になり現場ではSPらしき者達も来た。


「(! 来た! くそくそ!)」


 ターゲットの次期市長が目の前まで来た瞬間にマイクは銃を構える。


「(!!)」


 マイクが銃を構えた瞬間…夢で見た手が銃を掴んだ気がした。


「っな…!(ユウキ…)」

「! 何だお前! その銃を下ろせ!」

「下がって下さい!」

「ユ…ウキ…」

「! 君! その名前…」

「下がって下さい! ダルベン様!」

「大丈夫だ、君…私を殺しに来たんだろ? どうせあの男だろう…何故撃たない?」

「…そ、それは…」

「今なら間に合う、私と共に変えようこの街を」

「な! 何言ってんだ…俺は…」

「分かっている、君も知っているのだろう? ユウキカスミの事を」

「っな! 何でその名前を!」

「私も見たんだよ…大分前だけどね、夢の中で会った人物だが、私は尊敬している人物だ」

「お、俺も…」

「そうか、なら私を助けてくれないか? 彼のエゴを叶える為に…」

「…俺に…何かできるのか?」

「何でも出来るよ、初めて遅い事なんかないんだからな」

「…」


 マイクの手から銃が落ちる。

 ダルベンは銃を拾うよりマイクの方に手を置き立たせる。


「さぁ、先ずは君が見た夢の話をしよう、その後に私の話をしよう」

「は、はい!」


―――――


「どうですか? 貴方が変えた可能性は」

「俺がしたからこうなった、何てことは無いんじゃ…」

「いいえ、それは無いですよ」

「何故ですか?」

「貴方があの時銃を握って止めなかったら? あの時言葉を交わさなかったら? それは可能性を狭める考えですよ、過去は変えれなくとも未来は変えれるんです、ここは夢オイノ世界…そう言った可能性を広げる世界です、良くも悪くも変えることに意味があるんです、手伝ってくださいますか?」

「それしか…無いんですよね?」

「そうですね、貴方が記憶を思い出す一番の近道です」

「…分かりました」

「それではこれからもよろしくお願いしますね、霞さん」

「はい、ノウンさん」


 こうして俺とこの夢オイノ世界を管理しているノウンの物語が始まった。

どうも軽井です、気晴らし的な物で書きました。

完全に不定期で更新しますが、1話ならぬ1夢の1、1夢の2みたいに更新するので更新したら読み切りになると思うので楽しんでください。

基本の話はいつでも終わらせれますが気晴らし用なので長くなると思います。

それでは次の夢でお会いしましょう。

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