そんな展開!?
「召喚に応じて頂きありがとうございます、勇者たちよ。私が貴方たちを召喚したのは、私が見守っている世界の崩壊を防いで欲しいからです」
俺が勇者たちにキャラ負けしてることを気にしてたら、突然滅茶苦茶美しい女神みたいな人が現れたんだが!?
なんか俺の勘が「あの女神性格悪そ〜」とか言ってるが関係ない!
言ってることから照らし合わせるにこれはもう、確実に異世界転移だー!!俺の時代きた〜!!
……女神様が俺に背を向けていなければね。アレ?もしもーし!女神様聞こえてますか?おーい!!
力の限り叫んでみたが、どうやら声が届いていないようだ。勇者君や女神様が俺の声に一切の反応を示さない。あれれ?おっかしいぞ〜?
……これは不味い。何が不味いかと言われるとよく分からないが、このままでは俺の存在が忘れ去られたまま勇者物語(仮)が進んでしまうような気がする!!
慌ててみんなが集まっているところに向かおうとしたが、何故か前に進めない。どうやら俺の前に透明なガラス?バリア?のようなものがあるみたいだ。
「皆様にはそれぞれユニークスキルを授けます。スキルとは異世界において素晴らしい力を発揮するものですが、その中でもより珍しく、そしてより強力なものがユニークスキルと呼ばれています」
おいコラ待てや。……じゃなかった、待ってもらえませんか?俺の居ないところで話を進めないでほしいんですけど!?あと俺もそのスキル欲しいです!!
「ステータスと念じてみてください。皆様の所持しているスキルとレベルが表示されるはずです」
え!?嘘!ステータスなんてモノがありやがりますの!?……俺も念じてみよう。向こうに行けない問題はとりあえず後回しだ。
☆☆☆☆☆
佐々木 三郎
レベル3
スキル:居眠り
☆☆☆☆☆
出た!!……けど、これ絶対強くないよな?しかもスキルの『居眠り』ってなんだよ。
☆居眠り(どんな場所でも眠ることが出来るスキル)
「スキルの効果についても、念じれば分かる筈です。ちなみにレベルは5もあれば異世界の一般的な住人の平均身体能力になります」
随分タイミングの良い説明をありがとう!!俺に対する説明じゃなくてもありがたいよ!!……一般人より弱くてスキルがゴミみたいだとしてもね!……泣いてないよ。
「それでは勇者たちよ。そろそろお別れの時間です。貴方たちにはこれから数多の試練が訪れるでしょう。それでも、貴方たちなら必ず乗り越えられると私は信じています。私もここから見守っていますからね」
女神さまがそう言うと、勇者君たちは光に包まれ……そして跡形もなく消え去った。きっと異世界の冒険に出たのだろう。ここから彼らの伝説が始まるのだろう。ああ、感動的だ。……俺が読み手だとしたらね。
ガチで勇者君たちに置いてけぼりにされちゃったじゃん!え?俺このままここで一人寂しく死んじゃうんですか!!気づかない女神様の無能!バーカバーカ!残念美人!おたんこなす!!
やけくそになった俺が女神様にブーイングを浴びせていると、ずっと背を向けていた女神様が突然俺の方に向き直った。
「……大変色々なことを言ってくれましたね」
おでこの所に青筋を浮かべながら。……わりぃ、俺死んだかもしれねぇ。
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