表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【天空のカヴァルリー】 〜若き元空挺軍総帥の憂鬱〜  作者: 瀬道 一加
Section 12. リングにて。
70/77

Scene 70. 疑惑と、反発。

---やっぱりだ。


全く意味を成さない攻めの手を次々と繰り出しながら、その攻防に感じる僅かな違和感を頼りに、マイクは疑念が確信に変わっていくのを実感していた。



多分、この人カンフーの類の取得経験があるわけじゃない……。ロブソンとやって見せた、レスリングとボクシングもきっとそうだ。



僕の構えを真似て見せた辺りからまさかとは思ってたけど……それより決定的なのは、彼の動作には、特定のスポーツを治めたものにあり得る「無意識」の動作が殆ど無いこと。


ただ、とんでも無く「実戦慣れ」している。


そしてそれはおそらく「スポーツ」の範疇じゃない。


その経験と、何度かは見聞きしたであろう実際の動きとルールを基に、「それらしく」振舞っているだけだ。それが出来てしまう頭脳と身体能力も信じられないけど……


しかも、僕の幾つ上なんだろうこの人……低く見積もっても30代半ばは超えてると思うのに、さっきから20代入ったばかりの僕が殆ど合間なく攻撃を続けてるのに、全く疲労の色が見えない。


半端ないのは単純な身体能力と経験だけじゃない。自分の身体機能、物理法則に対する理解力とコントロール、相手の動きを読む観察力、そしてそれに反応する瞬発力。そして、型にはまらずそれらを総合して最適な一手を導き出す応用力。引っ括めて言えば、「カン」。


これは、ただ決まったルールのもと決まった型に沿って運動して身につく能力じゃない。


人の上に立つ人が、自分を律する為に武道を嗜むのは別におかしくない。だが、この人のレベルはその範疇を大きく逸脱している。まるで、ルールの存在しない戦いを何度もくぐり抜けてきたかのような……


何なんだ?『バク』相手に宇宙船を操って戦うはずの軍人に、どうしてそこまで「人」を相手にした実戦経験があり得るんだ?地上の何処かの軍での兵役経験があるのか?でも、将官として名を馳せて、最短でマザー・グリーンの艦長の座についた人が、他の場所でそんな経験を積む時間があった筈が……



一つの疑惑の解消は、また別の疑惑をマイクの中で強くした。


だが、それよりも大きい感情が勝って、マイクの攻撃の勢いが衰えることはなかった。



---気に入らない。


キャリアも実績も地位も、僕らなんかは足元にも及ばない。確かに敬うべき存在なんだろうさ。人当たりも悪く無いし、ロブソンの礼を欠いた振る舞いにも寛大だ。女性に対して少し自信過剰な印象を受けたけど、まぁこの見た目だからある意味仕方ないとして、でもそれよりも……


何というか、常に上から見下ろして余裕がたっぷりある感じが鼻に付く。


さっきも、僕ら相手に防具が必要なんてこれっぽっちも思ってないような風だった。僕らになんか、この人にダメージを加えられるとは思ってもいないんだろう。実際そうかもしれないけど。


……そうだ、多分結構前から、僕はこの人が気に入らなかった。だって……




誰かさんは、随分貴方にご執心のようだしね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ