第18話
「どこの世界に人間を治すんじゃなくて攻撃する薬草があるんだべ!」
ハイアサースの叫びはあまりに当然で、康大も心の中で大きく頷いた。
しかし事実なのだからしようがない。
「幹なのか茎なのかわからんでござるが、とにかくあの触手があると上の階に行くのは難しいでござる。康大殿、何か良い案はないでござるか?」
「知らぬ間に軍師ポジションにいるんだが……。そうだな、とりあえず俺達にとって必要なのはあの植物の根だけだ。さらにあそこまで巨大だと根も全部じゃなくて一部で良いはず。それを踏まえて圭阿、天井を例の爆裂苦無で吹き飛ばせないか?」
「苦無ででござるか。つまり天井ごと根を焼き払い薬草を無力化し、焼け残りが一部でも手に入ればそれで良しとするわけでござるな。苦無に関しては問題ないでござるが、それでごーれむが崩壊する可能性も否定できないでござるよ」
「そこは賭だな。逆に天井を壊せない可能性もあるし。ただ階段を上るのに比べたらはるかに分の良い賭だ」
「然らば参る!」
圭阿は懐から苦無を3本取り出す。あの時投げのは1本だけだったので、単純に考えると威力は3倍だ。
「先ほどの手ごたえから、おそらくこれぐらいの火力が必要なはず。非常に危険でありますから、康大殿とはいあさーす殿は下の階に避難してくだされ。拙者も投げるのと同時に下の階に飛び降ります」
「分かった、行くぞハイアサース」
「ああ!」
康大とハイアサースは階段を駆け下り、下の階から階段を見上げ様子を見守る。
「せい!」
下り階段付近で苦無を構えていた圭阿は、火薬の導火線に火を付け、投擲と同時に階下に飛び降りる。
微妙な時間差で投げられた苦無は、1秒もしないうちに天井にぶつかり、一偏に爆発するのではなく誘爆しながらより大きな爆発を起こす。
下の階にいる2人が立っていられないほどの振動が起こり、飛び降りた圭阿も珍しく着地を失敗しそうになった。幸いにもゴーレム本体に反応は無く、下の階でも天井から煉瓦の破片が落ちる程度の被害しかなかった。
「すごいな……」
「自慢になりますが、拙者最大火力でお城の天守閣を吹き飛ばしたことがあるでござる。人質さえいなければ、あの盗賊共も吹っ飛ばしていたでござる」
「いや、そこまでいくとすごいを通り越して怖いな。人間ロケットランチャーかよ」
「まあ私も修行すれば、いずれ似たようなことが出来るだろう」
「はいはい」
ハイアサースを適当にあしらって、圭阿を先頭に3人は再び階段を上る。
「うわ……」
未だに煙が充満している室内であったが、天井に空いた大きな穴は康大にもはっきりと分かった。階段付近にいた植物の一部も引きちぎれて残骸となっている。ここまで規模が大きいと、根が全く残っていない可能性の方が高かった。
「それじゃあ薬草の根っこをさが――」
「まだでござる!」
突然圭阿は天井に向かって苦無を投げつける。
今度の苦無は火薬を詰んでいなかったので、ただ掠っただけだった。
未だ健在なうねうねと動く薬草の触手を。
「な――、まだ無事なのか!?」
「無事というか、どうやら最初からあまり意味が無かったようでござるよ。2人ともあれを見てくだされ」
圭阿が指し示した穴の開いた天井のその先――上の階の天井に、巨大な大根の葉っぱのような植物があった。そこから例の触手のようなものが2本生え、その健在ぶりをアピールするかのようにうねうねと動いている。
「……つまり薬草は逆さで天井の方に生えていたのか」
「そういうことでござるな」
結局圭阿の苦無は、6階の天井と薬草の上部を破壊したに過ぎなかった。
「ちなみに爆裂苦無の残りは?」
「1本だけ。しかしあの触手がある以上、おそらく投げても上手く当たらないでござる。あの触手の動きはかなり機敏ですから」
「そっか……」
「ならばこの剣で切り捨てれば良い! 植物などに人間が後れをとるものか!」
「はいはいそうですね」
構うのも馬鹿馬鹿しいのでハイアサースの妄言を康大は聞き流す。念のため瞼を閉じてミーレにもアドバイスを聞こうとしたが、さすがにこの時間はいびきをかきながら熟睡していた。しかし仮にも派遣とはいえ、女神が※裸電球に煎餅布団で寝ているのはどうなのだろうか。
「頼りになる女神様から何か助言でも?」
「この時間だから普通に寝てた」
「まあそれでも拙者のに比べればマシでござるよ。拙者の女神は上から目線で四六時中正論をまくし立てるから、ほとほとうんざりしているでござるよ。今は声を聞かないで目を瞑る方法も編み出したでござる」
「それは大変だな。ただ俺もアイツか美女でなければ、もっと扱いが雑だったと思うぞ。だいたい男主人公が女の子に優しいのは、全部相手が美人だからで説明できるぐらいだしな」
「そう考えると男の方が得でござるな」
「2人とも悠長に話してないで、どうするか考えたらどうだ!」
珍しくハイアサースがまともな意見を言った。
とはいえ康大も無駄話に没頭してたわけでもなく、これからどうするべきかは常に考えていた。
もっとも、考えているだけで良い案は浮かんでこない。まだ2本の触手は健在であり、階段で上に行けばその触手に叩き飛ばされる。だからといって、窓から出て外回る、という方法も危険すぎた。
本人も覚悟していたように、窓からの侵入は圭阿に任せることになるだろう。だが、その手段にはいくつかの絶望的な障害があった。
まずゴーレムの外壁には、窓から見た限り伝えそうなとっかかりがない。さらに7階にも窓はあり、そこから触手が伸びないという保障もない。そして何より、自分だけ安全なところにいて、圭阿に「多分死ぬけど行ってくれ」と言うことが康大にはどうしても出来なかった。
「とにかくあの触手をどうにかできればよいのでござるが。幸いこの階にいれば安全なのでござるが、ここにるだけではにんともかんとも……」
「そうだな……」
自分の手を見ながら康大は答える。たとえどんな怪力を持っていても、あの触手の素早い動きを捉えられなければどうしようもない。
「・・・・・・」
2人が顔を突き合わせて悩んでいる間、ハイアサースは何を思ったのか天井の瓦礫を拾い、それを薬草に向かって投げた。
突然の行動に康大も圭阿も慌てる。
「な、何してるんだよ!?」
「はいあさーす殿!?」
2人の批難するような視線に、心外だとばかりにハイアサースは言った。
「何も良い案がないのなら、とにかく行動すべきだろう。確かにこんなものでどうにかなるようには思えないが、それでも何もしないよりはマシだ」
「・・・・・・」
康大は何も言えなかった。最初から無駄と分かっている行動など、昔からする気になれなかった。
しかし圭阿はハイアサースの意見に賛同し「その通りでござるな」と、同じように瓦礫を投げる。
果たして瓦礫は本体である薬草にぶつかる前に、触手によって振り落とされる。ただいくつかの瓦礫は本体の薬草に当たったが、踏まれた雑草に大したダメージがないのと同様に、全く効いているようには見えなかった。
やがて無駄だと理解してか圭阿は投げるのを止めた。
それでもハイアサースは投げ続ける。
自らの無力さから目を逸らすかのように。
「はいあさーす殿……」
「私は諦めない! あの人がこの時代に生きていたら、きっと同じことしたはずだ!」
「・・・・・」
康大は何も言えなかった。
伝説の女騎士ならそんなことをせずとも、もっとスマートに解決したかもしれない。しかし、絶望していてもなお歩みを止めないハイアサースが、会ったこともない女騎士よりも気高く感じられた。
康大も落ちてる瓦礫を拾い、それを投げようとした。
無駄と分かっていても、今はそうしなければならない気がしたのだ。
薬草に狙いを定めるべく、じっとその様子を観察する。
そのとき、康大は気付いた。
全てが必要だったことに。
「……そうだな、その通りだ」
結局ただの一度も瓦礫を投げずに、康大はハイアサースの言葉を肯定した。
「俺はお前がしてる事なんて、無駄で意味の無いことだと思っていた。けど諦めないで目的のために続けてることに、無意味な事なんてないんだな。お前がそうしてくれたおかげで、俺は気付くことが出来た。この瞬間に至までの道程で、俺達がしたことにたった一つの無駄もなかったことに」
「コータ……?」
ハイアサースがようやく手を止め、不思議そうな顔で康大をみる。彼女には康大が何を言っているのかさっぱり理解出来なかった。それは圭阿も同じで、ハイアサースと似たような表情で康大を見る。
「あーなんだ……」
康大は我ながら熱くなりすぎたと照れながら後頭部をかき、今度は具体的な事を話した。
「まず触手は本体に近い方の攻撃を優先して防ぐ。これは多分2人もすぐに分かっただろう。ハイアサースの瓦礫が本体に当たりすぎていたんだよ。最初は完璧に防がれて、圭阿の速い瓦礫しか当たっていなかったのにね。おそらく圭阿の速い攻撃に慣れ、ハイアサースの遅い攻撃に触手が混乱して動きが緩慢になったんだと思う。これを利用すれば、ある程度触手を無力化することが出来るはずだ。ハイアサースが投げ続けてくれたおかげでそれが分かったってことさ」
「成る程! しからば康大殿とはいあさーす殿が、速さを調整して瓦礫を投げて、触手の動きを封じている間、拙者の爆裂苦無を使うのですな!」
「・・・・・・」
康大は首を振った。
「それは俺も考えたが確実じゃない。礫自体が苦無の邪魔になるし、たった1本の爆裂苦無じゃ致命傷を与えるには弱いと思う。もし本体じゃなくて苦無で触手を引きちぎることが出来れば、話は別だけど……」
「あの触手はただの苦無で切ることはおそらく無理でござる。だからといってああも動いている物を、爆裂苦無とはいえ一偏に排除するのは、拙者の腕では不可能に近いかと……」
「ああ、そうだろうな。だから俺がどうにかする」
康大は断言した。
「ちょ――ちょっと待ってくれ! いくら動きが遅くなったと言っても、コータの力であの触手をどうにかするのは無理だ!」
明らかに動揺しているにも拘わらず、珍しくハイアサースが標準語で康大の案に反対した。それだけ彼女もこの状況で憧れの騎士のように振る舞おうと、努力しているのだろう。ここにいる皆を守るために。
その意志の強さを康大は素直に尊敬する。
だが引くわけにはいかなかった。
「これが今考える最善だ。それにおそらく時間も無い。お前が役立たずでいるのが嫌なように、俺もただ口だけの人間でいたくないんだよ。男がこう言ってるんだから、せめて女は笑って頷け」
「ぐぬぬ……こんな時だけ男だの女だの」
「まさに武士の一言でござるなあ」
圭阿は肩をすくめた。彼女はハイアサースと違い、もはや反論する気など欠片もなかった。
「し、しかし触手は2本だろう! お前の怪力があるのは右腕だけじゃないか!」
「ああ、それか」
ハイアサースの言う通り、康大の右腕は人間離れした形状になっているが、左腕は表面が土気色しているだけで、ほぼ人間の頃と変わらない。康大もハイアサースに斬られた胴体と噛まれた右腕、そして腐りかけの気がする顔を除けば、ハイアサースとそこまで変わりは無かった。
「お前覚えてるか、俺が手斧をお前に向けた時」
「忘れた!」
「……まあそうだろうな。実はあれ、左腕だったんだよ」
そう言って落ちている赤ん坊ほどの瓦礫を左腕で持ち上げ、そのまま粉々になるまで握りつぶした。
「そういうわけで、安心して瓦礫を投げてくれ。動きがゆるくなたっところを俺が全力で引っ張るから」
「コータ……わかった、お前を信じよう」
「サンキューな。後成功したらおっぱい揉ませて」
「寝言は寝てから言え」
「拙者のおっぱいでは康大殿を満足させることが出来ず無念でござる」
3人は笑い合う。
ただ、その裏にはこれからこの中の誰かが死ぬかもしれないという覚悟があった。
「それじゃあ行くか、サポート頼むぞ」
「腕がもげるまで投げてやる!」
「場合によっては爆裂苦無も使うでござるよ」
「了解、それじゃスタートだ!」
康大は上り階段に向かって走り出した。
天井が空いたため、真下を通りかかった時触手が伸びてくる。
しかし、その直後にハイアサースと圭阿が本体めがけて投げた瓦礫を優先して排除し、康大は無事通り過ぎることが出来た。
(しんどい!)
ほんの少しの距離を全力疾走しただけで息が上がる。
ゾンビになっても、いや、なってから余計に動きが鈍くなった気がする。この世界に来た当初よりは体の使い方を覚えてマシになったが、元の状態の半分のスピードしか出せていない気さえした。
ただそれはあくまで康大の主観で、実際のところ今の状態だと人間だった頃とそこまで違いは無い。康大が遅く感じるのは能力以上に、ただ疲労しているからだった。
そのため、階段を登り切った頃には、息も絶え絶えになっていた。
(もっと体力つけるべきだった……)
スタミナのなさに関してはゾンビ化と結びつけていない康大は、素直に反省する。
ただそれでもようやく7階までたどり着くことが出来た。
「俺が合図したら瓦礫を投げるのを止めてくれ! その瞬間俺が触手を捕まえる!」
下の2人に向かってそう指示を出す。康大の運動神経では瓦礫を避けながら触手を上手く掴む自信が無かった。
「それでは危険すぎるでござる! 拙者がコツをつかめたようなので、康大殿の方に触手を誘導するよう投げるのでござる。康大殿は機を見計らって掴んでくだされ!」
「分かった! 助かる!」
「ならば私も私の出来ることをしよう」
ハイアサースは石を投げるのを止め、何を思ったのか階段に向かって駆け出す。
瓦礫の投擲要因はタイミングを1人でずらせる圭阿だけで充分だったが、この行動には康大も圭阿も呆気にとられた。
しかし2人とも自分のすべきことまで忘れたわけではない。
圭阿の誘導によって近づいて来た触手に狙いを定め、康大は手を伸ばす。
「ちっ!」
最初の1回は空振りだった。2本の内1本もつかめない。
2回目も同じように空振りだった。
そうこうしている間に、上まで登ってきたハイアサースが康大の背後に立つ。
「やはり鈍くさいな」
「放っとけ! それよりなんでこんな所に来たんだよ! 圭阿が投げるものだって限りが有るし、俺が触手を捕まえられなかったら殺されるんだぞ!」
「分かっている。だがお前のへっぴり腰を見ていたら心配になってきた」
「お前にだけは言われたくなかったよ!」
「ふっ……、とにかく私がこの剣であの触手をまとめてこちらの引き寄せる。お前はそれを死ぬ気でつかめ、いいな!」
「分かった、圭阿とは打ち合わせ0みたいだけど、アイツならやってくれるだろう」
「では行くぞ!」
ハイアサースは剣を抜き、圭阿が投げている瓦礫を叩き落とそうとゆらゆら動く触手を剣で絡ませながら、まとめてこちらの引き寄せる。
鎧の本来の持ち主の魂でも乗り移ったのか、ハイアサースは腰を無駄に屈めることなく素晴らしい姿勢で剣を振るう。
その結果、見事触手を剣に絡ませることが出来たが、それが完璧すぎたため、逆に剣ごとハイアサースが引っ張られそうになる。
ただ触手を捉えた時点で、彼女の仕事はこれ以上ないほど完璧に終わっていた。
「サンキューな!」
康大はハイアサースに背後から手を伸ばし、ついに2本の触手を掴むことに成功した。
だが、あまりに気合いを入れていたため、触手を握りつぶしそうになる。元からダイヤ型という触手の形状も合わさり、かなり掴みにくい形状でもあったのも災いした。
それでも中心部分は強化繊維のようにしっかりしており、周囲の果肉部分のようなところは潰れても触手自体が引きちぎれることはない。
「うおおおおお!!!!!!」
康大はそこから触手を力一杯引っ張る。
しかし触手はすぐに千切れることはなく、信じられないような力で抵抗された。とても植物とは思えない怪力である。
(まあこれぐらいの力が無ければ、人間吹っ飛ばすなんて不可能なんだけどさあ!)
康大はそう心の中で皮肉を言いながら、さらに力を入れる。
「加勢するでござる!」
これ以上瓦礫を投げる必要は無いと圭阿も、空いた天井から直接7階に移動した。
ここまで来たら康大もいちいち止めたりはしない。
「はいあさーす殿!」
「ああ!」
ハイアサースは康大の腰に、圭阿はハイアサースの腰に手を回し、力の限り後ろへ引っ張る。端から見れば大きな蕪の童話だ。ただしこちらの童話は、手を離した瞬間高確率で参加者が殺されるが。
「なんという力でござるか!?」
「ぐぬぬ、こんなタチの悪い植物、私の田舎でもこんなやつはいないぞ!」
「触手の力に加えて、根がゴーレムの身体に深く入り込んでるんだよ! 天井ぶっこ抜くぐらいの気合い入れろ!!!」
康大は叫んだ。
しかし、ブチブチと音を立ててはいるものの、薬草が抜けるどころか触手が切れる気配も無い。しかも触手を握っている康大の手に繊維が食い込んで傷つき、握っているだけでもひどい痛みに襲われる。
(どうなるか分からないから、あんまり怪我したくないんだけどな!)
それでも手は離せない。離せば全てが終わる。
「コータ、私も直接触手を持った方がいいか!?」
「いやこのままでいい! なんかもう1人減ったら、そのままこちらが引っ張られそうな感じだ!」
薬草の抵抗は弱まるどころか強くなっている気がした。
康大はもっとしっかり触手を持てるよう、より傷つき血が出るのも恐れず繊維の部分をぐるぐる巻きにして手に絡ませる。
だが、そこまでしても事態は改善しない。
(ていうかこのままだと、おっぱいも揉めないよう手になっちまうじゃねーか!)
結局ゾンビになっても怪力だけで、その怪力ももっと強い存在の前ではものの役にも立たなかった。
これがフォックスバードの言う隠れた力の全てというのなら、全然大したものじゃない。
もっと力が欲しい。
康大は心の底から、血の涙を流すほど思った。
(ここまでか……)
あれほど諦めないと思っていたのに、弱気の虫が首をもたげる。
自分を信じ危険を顧みずに後ろで引っ張ってくれる2人に、死ぬほど申し訳ない気持ちになった。
悔し涙がその窪んだ目から流れ落ちる。
ゾンビでも涙はでた。
次第に背後で引っ張るハイアサースの力も弱くなっていく。
万事休す。
当事者達の誰もがそう思った。
ただ、もしこの状況をフォックスバードが見ていたら、こう言っただろう。
勝負は康大が触手を握った時点で決していたと――。
※簡単に言うと貧相で昭和な家