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91話・11月19日 妻の病室


 11月19日…東京の病院にて。


叶の運命が、先生の口から発せられた。

それは、逃れられない結末であり、何よりも「現実」であった。


 悠人の妻「鈴木叶」の命日は明日…

つまり、十一月二十日の夜になる。


 病院側は、最善の手を尽くしたらしく。

もはや、知識のない男(悠人)に、抗う術などなかった。


 負け犬の寂しい足音が、薄暗い廊下にて響き。

少しずつ、叶の病室へ近づいてゆく。


 悠人の内心は、どん底まで落ちて。

差し入れをする気分にすらなれなかった。

 だが、このとき…

彼のポケットにて、たった一つ「叶の筆」が入っていた。


 もう、幼女魔王には転生しない…

妻を救うチャンスは、二度と巡ってこない。

 それでも、今の悠人は理解していた。

異世界転生なんかよりも…叶との時間を大切にするべきだと。


 感情そのものは、絶望に飲み込まれそうだが。

普通の正解は、最後の時まで、妻の隣に寄り添う事なのだ。


 ピッ、ピッ、ピッ…


 叶の病室には、心電計が置かれて。

非情な機械音が、終わりへのカウントダウンをする。


「はると…私ね…みたんだ………」


彼女は、呼吸器ごしに声を発するも。

その言葉は途切れており。


 どこに悠人がいるのか?

もう、叶の視力は機能しておらず…「盲目」である事が分かった。

 

 目が見えなくたって…

彼女は「描いて」いた…「描き」続けた。

やせ細った手で、慣れない筆ペンを走らせた。


 悠人の頭は良くないけど…これだけは、ハッキリと分かる。

妻は、医者の言う「結核」なんかじゃない。


 この世の「ありとあらゆる障害」に侵された…妻の姿は。

「呪い」の類を、背負っているみたいで。

医学や医療などの「現実の領域」から逸脱していた。


 こんな思考を、するようになったのも。

異世界転生による影響で、凡人(鈴木悠人)が「幼女魔王」に転生したからだ。




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