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8話・新兵の少女


鼠が蔓延る廊下…

壁も天井もカビだらけで。

ランプの灯が、薄汚れた通路を照らす。


 ここは、牢獄の通路。

悪が潜む「牢屋」に繋がっている。

 

 奥に進むと…そこには「合鉄の扉」が待ち受けており。


 コレ(合鉄の扉)は…


 この世界に存在する、全ての金属の中で「最も頑丈な金属」で生成されていた。

ゆえに、この扉を「破壊」する事は。

たとえ、神々であっても不可能だろう。


 そんな代物(合鉄の扉)の前で。


「ここまで、徹底する必要あるか?」


「知るか、俺にきくな」


 二人の監視兵が、扉の見張りをしていた。


彼ら(監視兵)の様子は、どうにもいい加減で。

ずっと雑談ばかり、微塵の警戒もしていない。


 彼ら(監視兵)の装備は。

高級なロングソードという…貴族が使いそうな武器を備えている。


 片方の男が、扉を見てボヤく。


「ひょっとして、バケモンでも、捕えてんのか?」


すると、相方が、その不安を鼻で笑った。


「はっ、この扉は無敵さ」


「なんせ、神の技術で造られてるんだ」


 賢い二人(監視兵)は、これ以上…どうでもいい事など気にせず。

「まあ、危険は無いだろう」と、警戒を緩めっぱなしだ。


 そこへ、小さな足音が、近づいてきた。


その気配に気づくと…

二人の監視は、足音の主に、ヤジを飛ばした。


「おい!新兵!」


「ボケッと、してんな!」


「新兵」と呼ばれた、その者は。

どうやら少女らしく、歳は16~18程だろうか?


 彼女(新兵)は、一般兵のヘルメットを、深く被っており。

どんな顔をしているのか?よく分からない。


「俺たちの番は終わりだ」


「あとは、お前一人で見張れや」


 先輩の理不尽な命令に。

新兵の少女は、すんなりと頷いた。


 そんな彼女を、大の大人が茶化してくる。


「いいかあ、聞いて漏らすなよ?」


「へへっ、扉の向こうにはな…」


「バケモンが、捕えられてるってよ」


 そんな脅し話をされても…

彼女は、怖がる素振りすら見せない。


「ちっ!つまんねえガキだな」


 彼女の様子に、苛立ちながら。

監視兵の二人は、さっさと退屈な仕事から離れる事にした。


「さっさと祭りにいこうや」


「ああ、長いこと、女と無縁だったしな」


 祭りとか、女とか。

色々な欲求(台詞)を吐きながら。

彼らは、持ち場を離れてゆく。


 後に、残されたのは…たった一人「新兵の少女」のみ。

彼女は、扉の前に佇みながら。

クスリ…と、暗闇の中で笑った。




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